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魔女と奇妙な男 (75) 賭け
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え? クレオンは、薬の副作用を無効化できる魔法が備わっている体質だと、言ったじゃないかですって? いや、よくご記憶の事で……。
はい、そうです、その通りです。しかし彼の魔法にも、限度というものがあります。もしドラゴンさえ死んでしまうような副作用のある薬を飲めば、たとえクレオンだってひとたまりもありません。
「早く! メサイトにぶつけた薬の効果が切れる前に!」
ネリスが叫びます。それは懇願とも言える必死の訴えでした。
どうする? このままでは確実に、僕は化け物の餌食となってしまうだろう。でも……。彼の生きもののとしての本能が、出所不明の薬を体に取り入れる事を拒否しています。
しかしその刹那、クレオンの脳裏にある人物の顔が浮かび上がりました。コリスです。最も信頼できる間柄であり、かつては、いいえ、今でも背中を預けられる盟友のその顔です。
バカ野郎。僕は何を迷っているんだ。ネリスは、コリスの信じた娘じゃないか。ならば僕も信じよう、命を賭して!
覚悟を決めたクレオンは、薬びんのフタを開け、一気にそれを飲み干しました。自らのノドがゴクンと鳴る音を、クレオンは確かに聞き届きます。今まで飲んだ事がない味とも言えるし、良く知っている味とも言える、そんな不思議な感覚でした。
さぁ、吉と出るか凶と出るか。
ネリスの薬が、クレオンの五臓六腑に染みわたっていきます。ネリスもホールの壁にある高窓から、かたずをのんで見守っていました。
上手くいって!
自信があると言えばウソになるけれど、”大丈夫”と、私の中の声がそう言っている。
ネリスは両手を組んで、魔女の神様に祈ります。魔女の薬工場では仕事の始まりと終わりの時間、皆が魔女の神様に祈りを捧げます。ネリスも恰好だけは祈っていましたが、大抵は別の事を考えておりました。
今度からは、ちゃんと祈りますから!
ネリスが、虫のいい願い事を頼みます。魔女の神様の御心が、とても広い事を願うばかりですね。
「何だ、小娘、何をした!」
ようやっと収まった火花の残像を両手で振り払いながら、メサイトが小窓の魔女に向かって叫びます。
でも彼の関心は、すぐに幾メートルか離れた男に移りました。
「がぁっ、がっ、がっ、がぁぁぁっ!!」
薬を流し込んで数秒も経つと、クレオンは恐ろしい苦痛を訴え始めます。その場にうずくまり、両手で何度も床を打ちつけもがきます。彼の全身は炎のように熱くなり、今にも口から火を噴き出しそうな有様でした。
「お、おい、どうしたんだ?」
さっきまでの勢いはどこへやら、仇敵への配慮を見せるメサイトです。
こ、これは……!?
何かを感じながらも、意識が飛ぶのを必死に押さえつけようとするクレオン。
「あぁ!わかったぞ。おい小娘! お前も見かけによらず、酷い仕打ちをする女だな? オレの頭の周りに火花が散っている時に、チラリと見えたんだが、その戦闘魔女は何か受け取り飲んでいただろう?
お前が投げてよこした物。多分、それは毒薬だな!」
自らの頭の冴えを自慢するように、化け物が言いました。
「こいつがオレに、なぶり殺されるのを不憫に思って、毒を飲ませたな? お前は毒薬を取りに、上の階へ行ったのか。なんて恐ろしい娘なんだ」
メサイトは自らの説を披露し、それに酔いしれます。
でも実際、彼の言う事が正しいとさえ思えるような状況でした。
はい、そうです、その通りです。しかし彼の魔法にも、限度というものがあります。もしドラゴンさえ死んでしまうような副作用のある薬を飲めば、たとえクレオンだってひとたまりもありません。
「早く! メサイトにぶつけた薬の効果が切れる前に!」
ネリスが叫びます。それは懇願とも言える必死の訴えでした。
どうする? このままでは確実に、僕は化け物の餌食となってしまうだろう。でも……。彼の生きもののとしての本能が、出所不明の薬を体に取り入れる事を拒否しています。
しかしその刹那、クレオンの脳裏にある人物の顔が浮かび上がりました。コリスです。最も信頼できる間柄であり、かつては、いいえ、今でも背中を預けられる盟友のその顔です。
バカ野郎。僕は何を迷っているんだ。ネリスは、コリスの信じた娘じゃないか。ならば僕も信じよう、命を賭して!
覚悟を決めたクレオンは、薬びんのフタを開け、一気にそれを飲み干しました。自らのノドがゴクンと鳴る音を、クレオンは確かに聞き届きます。今まで飲んだ事がない味とも言えるし、良く知っている味とも言える、そんな不思議な感覚でした。
さぁ、吉と出るか凶と出るか。
ネリスの薬が、クレオンの五臓六腑に染みわたっていきます。ネリスもホールの壁にある高窓から、かたずをのんで見守っていました。
上手くいって!
自信があると言えばウソになるけれど、”大丈夫”と、私の中の声がそう言っている。
ネリスは両手を組んで、魔女の神様に祈ります。魔女の薬工場では仕事の始まりと終わりの時間、皆が魔女の神様に祈りを捧げます。ネリスも恰好だけは祈っていましたが、大抵は別の事を考えておりました。
今度からは、ちゃんと祈りますから!
ネリスが、虫のいい願い事を頼みます。魔女の神様の御心が、とても広い事を願うばかりですね。
「何だ、小娘、何をした!」
ようやっと収まった火花の残像を両手で振り払いながら、メサイトが小窓の魔女に向かって叫びます。
でも彼の関心は、すぐに幾メートルか離れた男に移りました。
「がぁっ、がっ、がっ、がぁぁぁっ!!」
薬を流し込んで数秒も経つと、クレオンは恐ろしい苦痛を訴え始めます。その場にうずくまり、両手で何度も床を打ちつけもがきます。彼の全身は炎のように熱くなり、今にも口から火を噴き出しそうな有様でした。
「お、おい、どうしたんだ?」
さっきまでの勢いはどこへやら、仇敵への配慮を見せるメサイトです。
こ、これは……!?
何かを感じながらも、意識が飛ぶのを必死に押さえつけようとするクレオン。
「あぁ!わかったぞ。おい小娘! お前も見かけによらず、酷い仕打ちをする女だな? オレの頭の周りに火花が散っている時に、チラリと見えたんだが、その戦闘魔女は何か受け取り飲んでいただろう?
お前が投げてよこした物。多分、それは毒薬だな!」
自らの頭の冴えを自慢するように、化け物が言いました。
「こいつがオレに、なぶり殺されるのを不憫に思って、毒を飲ませたな? お前は毒薬を取りに、上の階へ行ったのか。なんて恐ろしい娘なんだ」
メサイトは自らの説を披露し、それに酔いしれます。
でも実際、彼の言う事が正しいとさえ思えるような状況でした。
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