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魔女と奇妙な男 (79) 決着へのゴング
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こりゃ、まずいな。本当に次の一発で決めなきゃ危ないぞ。……それには。
クレオンの顔から、軽薄な笑みがスウッと消え失せていきます。
「オまえヲ、ぶットばす! あ、あのカタの、アノ方のタメにぃィイぃ!!」
メサイトが、その場で両腕を振り上げて雄叫びました。
そして戦闘魔女から、微笑みの最後の一片が消えた時、それが勝負を決する戦いのゴングとなりました。
先に動いたのはクレオンです。彼はダチョウの脚力を使って、神速のダッシュをかけました。常人からみれば、それこそ目にも止まらぬ速さですが、赤鬼のような姿に変わったメサイトは妙に落ち着いています。まるで、クレオンの動きが見えているようです。
化け物のそんな様子は、クレオンにも不審を与えました。しかし、ここで止まるわけにはいきません。彼は化け物から少し離れた所で、より強く足を踏み込んで更に加速します。
しかし、あとは化け物めがけて一直線、ゴリラのパンチを放つだけとなったところで、
「ゼんぶ、見エてるゾ! オ前ノ負けダ!!」
と、メサイトが叫びます。やはり彼の変化は、単に体の色が変わっただけではなく、能力の更なる向上をも意味しておりました。
そして既に方向転換が出来ない状態で突っ込んで来るクレオンめがけて、その深紅の拳を振るいます。究極までにパワーアップしたメサイトの一撃は、確実にクレオンの体を砕いてしまうでしょう。
勝っタ!
獣と化したメサイトの心が、そう叫んだ次の瞬間です。
突然、クレオンの姿がフッと消えました。少なくともメサイトには、そう見えたのです。
「消エた?」
以前のように、パンチの空振りでバランスを崩すような醜態こそ晒さなかったものの、メサイトは急いで首を左右に振りました。しかし、クレオンの姿はどこにもありません。
その光景には、ネリスも目を見張りました。ただし上階の小窓から戦いを観覧していたネリスには、クレオンが何処にいるかはわかりました。でもその動きは、ネリスにも予想できなかったのです。
クレオンは、いったいどこへ行ったのでしょうか?
果たしてクレオンは、メサイトの”上”、いえ、上というよりも”上空”におりました。化け物の拳がクレオンに当たる寸前、彼は上空へと飛び立ったのです。その体は、既にホールの天井へと近づいておりました。
え? なんで!? どうして飛べたりするの?
ネリスは困惑しますが、すぐに一つの仮説を打ち立てます。
そうか! クレオンさんは「脚力と目」「パワーと耐久力」の力を発揮する薬の他に”飛べる”薬も持っていたんだわ。だってクレオンさんの背中に、何か魔法の羽ばたきを感じるもの。
新米魔女は、そう結論付けましたが、ちょっと変ですね。薬をクレオンに渡したネリス自身が、なぜわからなかったのでしょう?
その種明かしは、もう少し先のお話となります。
とにもかくにも、ネリスの考えは当たっておりました。クレオンは、予め三種類の薬を持っていたのです。ダチョウ、ゴリラ、そして”ハヤブサ”の力を発揮できる薬です。
天井に達する直前、クレオンは体を180度反転させます。つまり頭が下に、足が上になった状態です。そしてその勢いのまま、天井に足をついたクレオンは、膝をグイッと深く曲げました。
これで、終わりだ!
クレオンは、ここぞとばかりに天井を思い切り蹴飛ばします。となれば無論の事、彼は床へと向かって、真っ逆さまに落ちて行きました。ただし、只の落下ではありません。重力に加え、天井をダチョウの脚力で思い切り蹴飛ばしての落下です。そのスピードは、正に一陣の疾風といって良い速さでした。
「こっちを向け! 化け物くん!」
クレオンの顔から、軽薄な笑みがスウッと消え失せていきます。
「オまえヲ、ぶットばす! あ、あのカタの、アノ方のタメにぃィイぃ!!」
メサイトが、その場で両腕を振り上げて雄叫びました。
そして戦闘魔女から、微笑みの最後の一片が消えた時、それが勝負を決する戦いのゴングとなりました。
先に動いたのはクレオンです。彼はダチョウの脚力を使って、神速のダッシュをかけました。常人からみれば、それこそ目にも止まらぬ速さですが、赤鬼のような姿に変わったメサイトは妙に落ち着いています。まるで、クレオンの動きが見えているようです。
化け物のそんな様子は、クレオンにも不審を与えました。しかし、ここで止まるわけにはいきません。彼は化け物から少し離れた所で、より強く足を踏み込んで更に加速します。
しかし、あとは化け物めがけて一直線、ゴリラのパンチを放つだけとなったところで、
「ゼんぶ、見エてるゾ! オ前ノ負けダ!!」
と、メサイトが叫びます。やはり彼の変化は、単に体の色が変わっただけではなく、能力の更なる向上をも意味しておりました。
そして既に方向転換が出来ない状態で突っ込んで来るクレオンめがけて、その深紅の拳を振るいます。究極までにパワーアップしたメサイトの一撃は、確実にクレオンの体を砕いてしまうでしょう。
勝っタ!
獣と化したメサイトの心が、そう叫んだ次の瞬間です。
突然、クレオンの姿がフッと消えました。少なくともメサイトには、そう見えたのです。
「消エた?」
以前のように、パンチの空振りでバランスを崩すような醜態こそ晒さなかったものの、メサイトは急いで首を左右に振りました。しかし、クレオンの姿はどこにもありません。
その光景には、ネリスも目を見張りました。ただし上階の小窓から戦いを観覧していたネリスには、クレオンが何処にいるかはわかりました。でもその動きは、ネリスにも予想できなかったのです。
クレオンは、いったいどこへ行ったのでしょうか?
果たしてクレオンは、メサイトの”上”、いえ、上というよりも”上空”におりました。化け物の拳がクレオンに当たる寸前、彼は上空へと飛び立ったのです。その体は、既にホールの天井へと近づいておりました。
え? なんで!? どうして飛べたりするの?
ネリスは困惑しますが、すぐに一つの仮説を打ち立てます。
そうか! クレオンさんは「脚力と目」「パワーと耐久力」の力を発揮する薬の他に”飛べる”薬も持っていたんだわ。だってクレオンさんの背中に、何か魔法の羽ばたきを感じるもの。
新米魔女は、そう結論付けましたが、ちょっと変ですね。薬をクレオンに渡したネリス自身が、なぜわからなかったのでしょう?
その種明かしは、もう少し先のお話となります。
とにもかくにも、ネリスの考えは当たっておりました。クレオンは、予め三種類の薬を持っていたのです。ダチョウ、ゴリラ、そして”ハヤブサ”の力を発揮できる薬です。
天井に達する直前、クレオンは体を180度反転させます。つまり頭が下に、足が上になった状態です。そしてその勢いのまま、天井に足をついたクレオンは、膝をグイッと深く曲げました。
これで、終わりだ!
クレオンは、ここぞとばかりに天井を思い切り蹴飛ばします。となれば無論の事、彼は床へと向かって、真っ逆さまに落ちて行きました。ただし、只の落下ではありません。重力に加え、天井をダチョウの脚力で思い切り蹴飛ばしての落下です。そのスピードは、正に一陣の疾風といって良い速さでした。
「こっちを向け! 化け物くん!」
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