206 / 218
魔女と奇妙な男 (83) メサイトとレアロン
しおりを挟む
クレオンは、事のあらましを端的にレアロンへ話しました。そして、メサイトの見張り番を彼に頼みます。
「そんな状況だったのか。すまん、必死にネリスを探していたんだが、不思議な事に、ついさっき初めてこの倉庫から、ネリスとお前の気配を感じたんだ。
それほどの事態が起こっていたのなら、俺が察知できなはずはないんだが……」
既に人間の姿に戻ったレアロンが、口落ちそうに唇を噛みました。
「信じるよ。とにかく今は、けた違いに異常な何かが起こっている」
珍しく弱気のレアロンを、戦闘魔女が気遣います。
「じゃぁ……」
レアロンはそう言うと、何やら呪文を口にしました。とりあえずの危険は去ったと知った彼は、屋敷に張り巡らせた結界を解いたのです。そうしないと、病院に設置されている魔法電信の装置を使い、コリスを呼び出す事が出来ませんからね。
使い魔執事は、クレオンがサジルを背に担ぐのを手伝いながら、
「さっきの話の通り、あそこに転がっている若造の見張りは任せてくれ」
と、言いました。
「あぁ、頼む。病院に着いたら、そこから警察へも連絡をして、こっちへ来てもらうからな。それまで、奴を逃がさない様にしておいてくれ」
と、クレオンが返すと、
へぇ、クレオンさんとレアロン。中々、息ピッタリじゃない。そういえば、名前の響きもどことなく似ているし……。
と、ネリスが二人を見て、少し感心します。
戦闘魔女と新米魔女。この何ともおかしな組み合わせの二人が、程なく倉庫から出て行くのを確認したレアロンは、ホールの中央付近に寝転がっているメサイトの方へ、ゆっくりと歩み寄っていきました。
そして何を思ったのか、突然、縛られ横たわっているメサイトの体を、ドンと蹴飛ばします。
「おい、さっさと起きろ」
レアロンの声が、いつもより一段低くなっています。これは彼にとって、非常に機嫌が悪い証拠なのです。
蹴飛ばされ、多少の呻き声をあげたものの、メサイトはまだ意識を取り戻しません。
「起きろっつってんだよ!」
レアロンが更に強く、メサイトの背中を蹴りました。その衝撃に、ようやく彼が目を覚まします。
「う、うん?どうなったんだ、俺は……」
メサイトは自分が横たわっている事には気がつきましたが、縛られている状態とは認識していませんでした。
「あぁ? なんで動けないんだ」
若者の姿に戻ったメサイトが、何とも滑稽に体をくねらせます。そしてやっとこさ、自らの境遇を悟りました。
「おい、さっさとこの縄を解きやがれ! 俺様を誰だと思ってるんだ」
メサイトが、相も変わらず横柄な口を叩きます。
彼は自分が既に元の姿に戻った事を、頭ではわかっていたものの、心がそれに追いついてはいないようです。そのため、自分を尊大に見せるような言葉遣いが続きました。
「ただの若造だろ? それ以外の何者でもないさ」
レアロンがメサイトのすぐ横に立ち、さげすむようにその顔を見下ろします。
「あ? てめぇ誰だ? あのふざけた戦闘魔女はどうした!?」
少しずつ現実が見えて来たメサイトは、突然目の前に現れた二十歳前の青年に悪態をつきました。
「お前をブッ飛ばしたクレオンは、サジルを連れて病院へ行ったよ。ネリスも一緒にな」
レアロンがそう言うと、
「俺をブッ飛ばした? いや、そんなはずはねぇ。俺が負けるはずはねぇ! 奴の運が少しばかり良かっただけだ。今度戦ったら、絶対に俺が勝つ!」
と、メサイトは反射的に自らのプライドを守ろうと、空威張りをします。
「そんな状況だったのか。すまん、必死にネリスを探していたんだが、不思議な事に、ついさっき初めてこの倉庫から、ネリスとお前の気配を感じたんだ。
それほどの事態が起こっていたのなら、俺が察知できなはずはないんだが……」
既に人間の姿に戻ったレアロンが、口落ちそうに唇を噛みました。
「信じるよ。とにかく今は、けた違いに異常な何かが起こっている」
珍しく弱気のレアロンを、戦闘魔女が気遣います。
「じゃぁ……」
レアロンはそう言うと、何やら呪文を口にしました。とりあえずの危険は去ったと知った彼は、屋敷に張り巡らせた結界を解いたのです。そうしないと、病院に設置されている魔法電信の装置を使い、コリスを呼び出す事が出来ませんからね。
使い魔執事は、クレオンがサジルを背に担ぐのを手伝いながら、
「さっきの話の通り、あそこに転がっている若造の見張りは任せてくれ」
と、言いました。
「あぁ、頼む。病院に着いたら、そこから警察へも連絡をして、こっちへ来てもらうからな。それまで、奴を逃がさない様にしておいてくれ」
と、クレオンが返すと、
へぇ、クレオンさんとレアロン。中々、息ピッタリじゃない。そういえば、名前の響きもどことなく似ているし……。
と、ネリスが二人を見て、少し感心します。
戦闘魔女と新米魔女。この何ともおかしな組み合わせの二人が、程なく倉庫から出て行くのを確認したレアロンは、ホールの中央付近に寝転がっているメサイトの方へ、ゆっくりと歩み寄っていきました。
そして何を思ったのか、突然、縛られ横たわっているメサイトの体を、ドンと蹴飛ばします。
「おい、さっさと起きろ」
レアロンの声が、いつもより一段低くなっています。これは彼にとって、非常に機嫌が悪い証拠なのです。
蹴飛ばされ、多少の呻き声をあげたものの、メサイトはまだ意識を取り戻しません。
「起きろっつってんだよ!」
レアロンが更に強く、メサイトの背中を蹴りました。その衝撃に、ようやく彼が目を覚まします。
「う、うん?どうなったんだ、俺は……」
メサイトは自分が横たわっている事には気がつきましたが、縛られている状態とは認識していませんでした。
「あぁ? なんで動けないんだ」
若者の姿に戻ったメサイトが、何とも滑稽に体をくねらせます。そしてやっとこさ、自らの境遇を悟りました。
「おい、さっさとこの縄を解きやがれ! 俺様を誰だと思ってるんだ」
メサイトが、相も変わらず横柄な口を叩きます。
彼は自分が既に元の姿に戻った事を、頭ではわかっていたものの、心がそれに追いついてはいないようです。そのため、自分を尊大に見せるような言葉遣いが続きました。
「ただの若造だろ? それ以外の何者でもないさ」
レアロンがメサイトのすぐ横に立ち、さげすむようにその顔を見下ろします。
「あ? てめぇ誰だ? あのふざけた戦闘魔女はどうした!?」
少しずつ現実が見えて来たメサイトは、突然目の前に現れた二十歳前の青年に悪態をつきました。
「お前をブッ飛ばしたクレオンは、サジルを連れて病院へ行ったよ。ネリスも一緒にな」
レアロンがそう言うと、
「俺をブッ飛ばした? いや、そんなはずはねぇ。俺が負けるはずはねぇ! 奴の運が少しばかり良かっただけだ。今度戦ったら、絶対に俺が勝つ!」
と、メサイトは反射的に自らのプライドを守ろうと、空威張りをします。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる