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ニールの目ざめ (44) もう一つの告白
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「いてっ!」
突然、リュンデムが叫びます。ゼペックが何処から取り出したホウキの柄で、リュンデムの頭をコツンと叩いたのでした。
「ちょっと、オーナー。何するんですか!」
リュンデムが、抗議をします。
「”何するんですか”じゃないわい。弟子の分際で、一番おいしい所を師匠から”かっさらい”おって!」
いつものカンシャク声で、ゼペックが叫びました。これにはさすがのリュンデムも”しまった”という顔つきになります。
ゼペックは続けて、
「もう、許さん。お前は今から倉庫へ行って、今日、わしが仕入れて来た品の全部を検品して棚に収める事。
わかったな、今日中じゃぞ!」
と、甲高い声で怒鳴りました。
「えぇっ? 確かオーナーが今日、仕入れてきた品って、相当ありましたよね。今日中なんて、無理ですよ」
リュンデムが、情けない声で不満を口にします。
「そんなもん、わしの知った事か。残業代は出ないから、まぁ気張ってやるんだな」
腕組みをしたゼペックが、フンと鼻を鳴らしました。
”誰か、手伝ってくれないかな”という、顔つきで辺りを見回すリュンデムでしたが、他のスタッフが、彼と目を合わせないようにしたのは言うまでもありません。
諦めたリュンデムは、とぼとぼと出口へと向かい、重そうな扉を、本当に重そうに開いて倉庫への道を歩いて行きました。
リュンデムの去ったカウンター。二人残された形となったニールに、ゼペックが再び真剣なまなざしを振り向けます。
「なぁ、ニール。わしが父親……親父の凄い魔法に劣等感を抱いていた話。あれには、続きがあるんじゃ」
ゼペックが、遠くを見るような顔つきで話し始めます。
「親父はな、わしの魔法がどんなものか知った後でも、何も言わなかった。もちろん、態度にだっておくびにも出さなかった。
でもな、それがわしには、かえって辛くてな……。何か、憐れみを掛けられているように感じたんじゃよ。
そんな事もあって、わしは学校を卒業したらすぐに家を出て、少しでも早く、親父に胸を張れる人物になろうと必死に頑張った」
ゼペックが、自らの成功に関する、もう一つの理由を明かします。
「……お父さんは、認めてくれたんですか?」
ニールが、恐る恐る聞きました。
「それがな、わしが親父と正面から向き合って話したのは、家を出てから何十年も経った後、親父が病気で死ぬ一年くらい前だったんじゃよ。
よくよく聞いてみると、親父は親父の方で、わしが魔法について悩んでいるのを知っておってな。なるべく、触れないようにしていたそうだ。
もちろん、わしの使える魔法を、自分の魔法と比べるなんてしなかったし、わしが商売で成功した事も、当の昔に喜んでくれていた。
つまり、全てはわしの一人相撲だったんじゃよ」
ゼペックは、懐かしむような、また後悔しているような声でニールに語ります。ニールは、何も言えません。
「だからな。お前さんとセディーには、わしらのように、なってほしくないんじゃ」
ゼペックは自らの轍を踏ませないよう、小さな友人にアドバイスをします。
いつになく真面目な顔のオーナーを間近に、
パパは、ボクが使えるようになる魔法について何も言わないし、自分の魔法を自慢した事もない。ボクが、一人で勝手に悩んでいただけなのかも知れない。
と、ニールは思いました。でも、自分の気持ちを咄嗟には言葉に出来ず、ただ小さく頷きます。
それからしばらくの間、極上の炭酸入りグレープジュースを楽しみながら、ニールはゼペックの語る骨董品の話に心を潤わせました。そしてまだ陽が高い内に、名残惜しくはありますが、エンシャント・ケイブを後にします。
暗くなってから帰宅してしまえば、ママに色々と詮索されるからでした。下手をすれば、ニールは二度とここへは来られなくなるでしょう。
突然、リュンデムが叫びます。ゼペックが何処から取り出したホウキの柄で、リュンデムの頭をコツンと叩いたのでした。
「ちょっと、オーナー。何するんですか!」
リュンデムが、抗議をします。
「”何するんですか”じゃないわい。弟子の分際で、一番おいしい所を師匠から”かっさらい”おって!」
いつものカンシャク声で、ゼペックが叫びました。これにはさすがのリュンデムも”しまった”という顔つきになります。
ゼペックは続けて、
「もう、許さん。お前は今から倉庫へ行って、今日、わしが仕入れて来た品の全部を検品して棚に収める事。
わかったな、今日中じゃぞ!」
と、甲高い声で怒鳴りました。
「えぇっ? 確かオーナーが今日、仕入れてきた品って、相当ありましたよね。今日中なんて、無理ですよ」
リュンデムが、情けない声で不満を口にします。
「そんなもん、わしの知った事か。残業代は出ないから、まぁ気張ってやるんだな」
腕組みをしたゼペックが、フンと鼻を鳴らしました。
”誰か、手伝ってくれないかな”という、顔つきで辺りを見回すリュンデムでしたが、他のスタッフが、彼と目を合わせないようにしたのは言うまでもありません。
諦めたリュンデムは、とぼとぼと出口へと向かい、重そうな扉を、本当に重そうに開いて倉庫への道を歩いて行きました。
リュンデムの去ったカウンター。二人残された形となったニールに、ゼペックが再び真剣なまなざしを振り向けます。
「なぁ、ニール。わしが父親……親父の凄い魔法に劣等感を抱いていた話。あれには、続きがあるんじゃ」
ゼペックが、遠くを見るような顔つきで話し始めます。
「親父はな、わしの魔法がどんなものか知った後でも、何も言わなかった。もちろん、態度にだっておくびにも出さなかった。
でもな、それがわしには、かえって辛くてな……。何か、憐れみを掛けられているように感じたんじゃよ。
そんな事もあって、わしは学校を卒業したらすぐに家を出て、少しでも早く、親父に胸を張れる人物になろうと必死に頑張った」
ゼペックが、自らの成功に関する、もう一つの理由を明かします。
「……お父さんは、認めてくれたんですか?」
ニールが、恐る恐る聞きました。
「それがな、わしが親父と正面から向き合って話したのは、家を出てから何十年も経った後、親父が病気で死ぬ一年くらい前だったんじゃよ。
よくよく聞いてみると、親父は親父の方で、わしが魔法について悩んでいるのを知っておってな。なるべく、触れないようにしていたそうだ。
もちろん、わしの使える魔法を、自分の魔法と比べるなんてしなかったし、わしが商売で成功した事も、当の昔に喜んでくれていた。
つまり、全てはわしの一人相撲だったんじゃよ」
ゼペックは、懐かしむような、また後悔しているような声でニールに語ります。ニールは、何も言えません。
「だからな。お前さんとセディーには、わしらのように、なってほしくないんじゃ」
ゼペックは自らの轍を踏ませないよう、小さな友人にアドバイスをします。
いつになく真面目な顔のオーナーを間近に、
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と、ニールは思いました。でも、自分の気持ちを咄嗟には言葉に出来ず、ただ小さく頷きます。
それからしばらくの間、極上の炭酸入りグレープジュースを楽しみながら、ニールはゼペックの語る骨董品の話に心を潤わせました。そしてまだ陽が高い内に、名残惜しくはありますが、エンシャント・ケイブを後にします。
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