アーリウムの大賢者

佐倉真稀

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再会編(ヒューSIDE)

クエスト⑧ ※

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 かるいR18表現があります。
 背後注意。
 苦手な方は飛ばしてください。



  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※  ※※※



 メルトの魔力器官は俺の魔力が通ることでうまく流れ始めている。
 ただ、お腹のところにある魔力器官だけはまだ時間がかかるようだった。
 セックスをしても効果があるけれど、メルトから恋人になる覚悟ができたと言ってもらえるまではそれはできない。
「あっ……ヒュー……あっ」
 甘い声が腰に響く。上気した肌に汗が浮かぶ。手が俺に伸ばされてその手を握る。
 眼福だ。
 メルトは快感に弱い。こんなに敏感で、色っぽいメルトが独り身だったのは信じられない。ラーンのメイルどもは節穴だらけだったんだろう。

 チュッと握ったメルトの手にキスを落として、メルトを見る。
 快感に酔った表情を浮かべて、俺を見る。
 俺に身を任せてくれるメルトの期待に応えないと。動きの悪いお腹の魔力器官に思い切り魔力を注いだ。すでに二回は吐精をしているメルトはあっけなく果てて、気を失った。

「また気絶したのか? 俺は」
「うん。ごめんね」
「謝ることはないぞ? 治療なんだからな。次は気絶しないように頑張るから」
「わかった」
 メルトは俺にすり寄って寝るようになった。凄く嬉しい。

 岩山に大分近付いているのか、空から鳴き声が聞こえるときがあった。
 魔物も頻繁に現れてそれを主にメルトが仕留めていた。俺は支援魔法をかけてフォローするだけだ。
 メルトはほんとに強い。
 剣を持った時は雰囲気が変わって、目が鋭くなる。魔力を使ってないのに素早く動いて敵を斬る。日本刀じゃなく西洋剣の片手剣だから叩き斬るになるんだろうけれど、鮮やかに斬り伏せていくのだ。返り血も浴びないように斬っている。そこが凄い。

「魔の森だからか、魔物に会う率が高いな」
 こともなくCランクの魔物を斬り捨ててメルトが言った。
「そうだね。でもちょっと多いかな?」
 魔物も縄張りがあって、それなりに敵対関係がある。出会い頭とか、人間を襲う習性のある魔物はいるが魔の森にそういう集団は出現しずらい。魔物同士の争いが厳しいからだ。
 今回はさまざまな種類の魔物に出会った。狼系、虫系、ボア系、猿系、鹿系等、ゴーレムと人型、竜系を除く魔物のオンパレードだった。
 魔物の出現量が増えてるってことはワイバーンから逃げているんだろう。もうだいぶ岩山に近づいているから。
「まあ、これくらいなら、問題ないだろう。ヒューのテントでよく休めているから、疲れも少ないしな」
「メルト……」
 思わず嬉しくなってメルトを見る。じっと見てたらメルトはくすりと笑った。
「夕飯期待している」
 胃袋の掴みはオッケーみたいだった。
 がっつり肉を出したよ!

 メルトの魔力の流れは大分スムーズになっていて、お腹の魔力回路が活性化すれば問題はなくなるはずだ。
 三日目にして、メルトはやっと気絶しなくなった。
「大分、よくなったよ。魔力を動かす訓練も近いうちにするようにしよう。魔力を流すのも苦手なんだよね」
「そうなのか? ああ、ヒューのテントに魔力を通すのもやっとだった」
「お腹の魔力器官はもう少しかかるだろうけど、回路自体に流れる魔力は綺麗に流れるようになったし、回路も太くなってきたから前より多くの魔力が体中を巡っているよ」
 そう。今は俺の魔力と混じった色で流れている。事後のように。
 メルトが何かに気付いたように俺の股間に視線が行った。
 俺の象徴が勃っていることに何か言いたげだったけれど、これはあとで処理するからいいんだ。
「さあ、明日も早いから寝てしまおう。浄化」
 メルトを抱き込んで眠った。

 岩山に大分近づいてきて空からワイバーンの鳴き声が聞こえるようになると、逆に魔物の出現数が少なくなった。
「これから山登りになるから、慎重に行こう。巣の調査は岩山の中腹で一泊してからにしよう。頂上に近くなると寒くなるから防寒対策も必要だからね」
「え、寒くなるのか?」
「うん。高くなると気温が下がるんだ」
「ヒューは物知りだな。ラーンには山らしい山はないから知らなかった。ダンジョンがある岩山もこの先の岩山に比べれば丘みたいなものだった」
「へえ。僕も行ってみたいな」
「岩山ダンジョンは初心者向けだから、面白くないと思うぞ」
「メルトの生まれた国だから行ってみたいんだ」
「そ、そうか。行くなら案内する」
 メルトの顔が赤い。意識してもらえてるんだろうか。
「お願いね」

 山登り用の装備に変えて岩山の中腹を目指した。
 メルトは息も切らせずに上っている。俺のほうがばてそうだ。
 マップに映る光点は岩山の頂上近くだけだ。魔物もワイバーンから逃げているってところか。

「この辺にしよう」
 頂上が見える崖の上の木々に囲まれたテントを張れる広場を見つけ、そこにテントを張った。煮炊きはテントの中にすることにした。
「認識阻害の結界を張っているから襲撃はないから安心してね」
 メルトは頷くと、俺と一緒に木々の隙間から山頂を窺った。
 岩山の山頂を飛び交う黒い影が見える。それは一つに限らず飛び立ったり戻ったりしている。
「ワイバーンだ。いるな。思ったよりも多そうだ。繁殖期に当たる時期だから、卵もあるな。それが孵ったら大騒ぎになるところだ。んー」
「調査と言うならもう充分じゃないのか?」
「まあね。でも稼ぎ時だから、ちょっと狩って行こうよ」
 ワイバーンは高値で売れるのだ。卵は竜騎士団に更に高値で売れる。
 狩ってもいいと思う。
 きっと俺は悪い笑顔になっていたんだろう。
 メルトはため息とともに「ヒューだからな……」と呟いた。

 俺は一つ保険をかけておくことにした。
『龍、聞こえる?』
『なんじゃ。お主か。もう戻りたくなったのか』
『いや、伴侶を見つけたから、挨拶に行くくらいしかもう行かないと思う』
『……ほう、見つけたのか。思ったより早いな』
『実は頼みがあるんだ。浅層と中層の間の岩山にワイバーンが巣を作っている』
『またあの羽虫どもか。すぐ湧くな』
『それでやってもらいたいことなんだけど……』
 龍は俺の頼みを聞いてくれ、あとは襲撃するだけになった。

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