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古池悠久

世界は美しく愛おしい

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「ハル…」
 王様はやはり執務が忙しく、ほとんど夜しか来られない。それでも10日に一度くらいは半日一緒にいてくれる。べたべたに甘やかされて抱きつぶされそうになる。
 まだ、最後までしてはいないけど。大分開発されて、受け入れ準備はそろそろ整いそうなんだけどね。初めて抱かれてからもう、半年ほどが過ぎていた。王様はかなり慎重でずっと我慢をしてくれていて、ツォ―もさすがに、王様の俺に対する好意を認めたようだった。

 でも王様、俺のお腹ばかりを摘むのはやめてほしいのだけど。

「テオ…何でお腹と胸ばっかり…」
 チュッと頬にキスをされる。今俺は彼に膝の上に乗せられて抱っこされている。胸とお腹を揉みしだかれている。
「さわり心地がいい。どこもかしこも柔らかで吸いつくような肌でいつまでも撫でていたくなる。」
 お腹は前より少しへこんだ気がしてるんだけど、王様の割れた腹筋と比べてしまったらまだ脂肪の塊だ。なんとなくへこむ。気に入ってくれてるならいいのだけど。

「あ、そう…なんだ?」
「ハルはどこも可愛いからな。髪を伸ばしてみたらどうだ?きっと似合うぞ。」
 髪…髪かあ…。この世界に来てツォ―が手入れしてくれて、さわり心地がよくなりつやつやになっているけれど、ハゲが治るわけじゃないと思う。
 いや、この世界に来て鏡を見てないからよくわからないけど。下を向くと、前髪が目に入るようになったから、そこそこ伸びて、薄さをカバーできてるのかもしれない。

「もう少し伸びたら考える。あん…」
 乳首をキュッとつままれて仰け反った。そこはもう開発されて、触られてない時でもつんと立ったままになった。そこは俺の弱いところの一つだ。王様が弄り倒してくるところでもある。

「気持ち、いい…テオ…」
 王様に背を向けて抱っこされているので後ろを向いて強請る。すぐに王様は俺にキスをしてきた。
 胸、お腹、そして俺の息子へと手が伸びていく。握られると俺のつつましいそこはすぐにだらしなく涎を垂れた。胸を触られただけで立ち上がってしまう息子は節操なしに育っている。
 その節操なし具合が王様に気に入られているようだから、問題はなさそうなんだけれど。というか、王様の俺に対して気に入らないところってないみたいなんだけど、それが不思議だ。
 元の世界でいろいろ蔑まれていたから今が夢ではないかと思う時もある。

 まあ、王様の目が近眼で、俺の姿が見えてない可能性もあるけど。この王様と肌を合わせている時間は、熱を感じて、現実だと俺に知らせる。
 俺の尻の谷間を押し上げる剛直はこんな俺に欲情していると知らせてくれる。俺を欲しがっている王様の気持ちを。

「テオ、これ、欲しいよ。」
 手を伸ばして先端にそっと触れて割れ目に指を這わせた。それだけでそれはますます猛って俺の指を濡らした。
「ハル、煽るんじゃない。」
 耳元に熱い吐息を掛けながら囁かれてぞくりと背筋が震えた。
「もう、多分大丈夫だと思う。優しくしてくれるんでしょう?」
 そう、自分から強請ってしまった。きっかけが必要じゃないかって思っていたんだ。欲しい、という気持ちは本当だけど。
「もちろんだ。痛い思いはぜったいにさせない。」
 俺は真剣な瞳で言う王様にふっと微笑んで頷く。
「嬉しい。」
 胸に何とも言えないむずがゆいような痛いようなそんな感じが広がった。

(テオが愛しい)
 そう素直に思った。

 くちゅくちゅと後孔から水音がする。潤滑剤(なんなのか俺は知らない)をたっぷりと使い、中を解していく。最近は3本でもなんとか受け入れることができるようになった。
 まあ、それよりも怒張した王様のモノは太いのが難点だったが、それでも俺は挿入に慣れて、後ろで快感を拾うことができるようになっていた。王様の忍耐力は凄いものだったと思う。

 中がうねって、王様の指を咥えこんでいる。それでも広げる動きに蕩けて柔らかくなっていった。俺は今、ベッドの上で腰を高くあげて四つん這いになっている。前も弄られて腰が揺れてしまっている。恥ずかしさに耳も赤くなっているが、快感で次第に気にならなくなってきていた。

「テオ、あ…も、もう…来てッ…」
 王様が俺の頭を優しく撫でた。指が抜かれてぞくりとまた背筋が震えた。ヒクヒクと戦慄く襞は、口を開けていた。そこに王様の熱い先端が宛がわれた。

「…あ…」
 びくりと身体が震えた。腰を支えられてぐっとそれが押し込まれていく。
「…ッ…」
 違和感に身体が硬直すると、前を扱かれてそっちに気を取られた。その瞬間にまたぐっと中に入ってきた。

「ハル、もう少し力を抜いて…」
 言われて深呼吸した。大丈夫だ。怖くない。優しくしてくれてる。
 嬉しい。愛しい。応えたい。いろんな感情が溢れる。
 ぐっとまた奥へ押し込まれて揺さぶられる。浅く抽挿を繰り返しながらゆっくりと中に入ってくる。やがてすべてが収まった。

「入ったぞ?」
 覆いかぶさって耳元で告げられる。きゅうっと王様のそれを締め付けてしまって、王様が震えた。
「嬉しい。テオ。やっと、だね。」
「そうだな。ハル。嬉しくて、踊りだしそうなくらいだ。」
 しばらく王様は俺を抱きしめて動かなかった。そして少しずつ腰をゆらし始める。

「あ…あっ…」
 中を擦る剛直に内壁が擦られる。亀頭に前立腺が刺激されて俺は跳ねた。じわじわと身体が熱くなって、快感が意識を攫う。繋がっているところから何かが注がれている気がする。ちかちかと目の前が点滅する。俺は達した。何度も。

「…変だ…テオ…やだ。変になる…あっ…あっ…」
 何度達しても去らない快感に怖くなった。体勢を変えられて正面から抱きこまれた。唇をそっと吸われた。
「ハル…愛している。私も変になりそうだ。ハルが、愛しすぎて…」
 ぎゅっと、心臓を掴まれた。見上げる王様の表情が、俺を真実愛していると訴えていた。
「…俺も、テオが…好きだ。多分じゃなく、好き。愛してる。」
 上擦った声で訴えた。瞬間、一気に突き上げられて揺さぶられた。余裕を見せていた、動きが貪るような動きに変わった。奥へ奥へと、腰がぶつかる音を立てて入ってくる。

「ハル…ッ…」
 切羽詰まった声で呼ばれるとますます俺はきゅうっと胸を掴まれたような気がして、達してしまう。

「あっ…あっ…あああっ…テオ、…テォッ…」
 俺は何度も達して精を吐きだした。その内吐き出すモノがなくなって、女のように吐き出さずに達した。
 うねる快感は頭からつま先まで熱さをもたらして、王様に全身愛されているように感じた。繋がってるんだと思うと、嬉しくて目の端から涙が零れた。

 その内、何も考えられなくなって、快感が意識を支配した。最奥に熱を感じて、俺は意識を手放してしまった。


 青い空が広がっている。眼下に美しい世界が広がっている。広がる森、なだらかな丘陵、広がる海。流れる川、村、街。険しい山脈、草原、この世界に生きとし生けるものすべてが見えた。

『愛し子よ。よく来てくれた。礼を言おう。』
 威厳と畏怖を感じる、性別も年齢も感じさせない声が響いた。

『この世界の王を愛してくれたこと、嬉しく思う。』
 あなたは、ラウ神様?タリア神様?

『我らは二つにして一つ。一つにして二つの存在であるのだ。愛し子よ。』
 この、ところどころ黒い点はなんですか?
 世界に点在する黒い染みのようなものが、世界の美しさを損なっている。

『この世界の穢れだ。荒れた土地や、人々の貧困、すさんだ心、犯罪や戦争などだ。』
 それをなぜ、俺が見ることができるのでしょう?

『愛し子よ。そなたが神の愛し子であり、王と心が繋がったからだ。王は政治を神子は世界のバランスを保つ者でもあり、王と神子は現人神。世界と我らを繋ぐものだ。そなた達の心のありようがこの世界を豊かにする。』

 どうして俺なんでしょう。もっとふさわしい人がいたと思うんです。

『そなたの心のありよう、魂の輝きが最も王と相性がよかったからだ。それともう一つ。そなたはもっと幸せになっていい。それに、そなたの器はこの世界に順応するように作りかえられている。もっとも、この世界に定着するには1年ほどかかるが、定着する頃にはそなたの器は本来の輝きを取り戻すであろう。何も心配することはないぞ。最も王は器がどんなであれ、関係ないというだろう。』

 ??本来の輝き?

『幸せになるのだ。それがこの世界に幸せをもたらすのだ。任せたぞ。愛し子よ。』

 ふっと意識が落ちていく。空から、地上へ。
 俺の器へ。


「…ハル…」
 心配そうな声にハッと目を開けた。
「…あ…テ、オ…」
 声がかすれて出ない!!
「すまない。優しくすると言ったのに。止まらなかった。」
 俺は首を横に振る。声が出ないからボディランゲージだ。

 ぎゅっと抱きついて、すり寄る。客観的に見たらちょっとひくかもしれないけど、王様は俺がいいっていうことだから大丈夫。

 チュッと唇にキスをすると、ほっとした顔になって、俺の奥で何かがピクリと跳ねた。

 さすがにもう無理だから。

 でも一回だけして、寝た。起きたら相当ベッドは酷いことになっていて、しかも寝坊した。王様もだ。
 ツォ―が説教をして王様を叩きだした。俺は声が出ないし、腰は立たないしで、一日休養日だ。ツォ―にかいがいしくお世話になって、恥ずかしかったけど、感謝した。

「むかつきますけど、ハルヒサ様がお幸せそうだから許します。」

 どんだけ、ツォ―にディスられてるの、王様。

 でも幸せそうか。うん。
 神様に幸せになれと言われた。そんなこと前の世界ではありえなかった。
 王様に大切にされているのも、ツォ―に慕われていることも全部俺にとっては身に余ることだ。小言を言っているツォ―もこの美しい世界ももちろん王様も全てが愛おしく感じた。

 だから俺は十分幸せなんだと、実感したのだった。
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