私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第三章

第48話

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エリーさんからの連絡が来てルーフォートに戻ったのは、エリーさんが駆けつけてくれた日から10日目でした。

「エアさん。久しぶりです」

城門で待っていてくれたのは、キッカさんとボンドさんでした。

「・・・お久しぶりです。お二人は、エリーさんの『お手伝い』ですか?」

「ハハハ。何時ものメンバーで来ましたよ」

「オレたちはエアさんの『お出迎え』です。さすがに王都ではないため『守備隊詰め所』は使えませんからね」

「此処では、皆さん何処に泊まってるのですか?」

確かに『何時ものメンバー』が来ているなら、拠点は何処かに必要でしょう。
二人に連れられて、ルーフォートの町の北側にある貴族たちの住む地区へ向かっていました。

彼処アソコですよ」

ボンドさんが指をさしたのは、ひと際大きなおやしきでした。




「エアちゃん。コイツらがこのルーフォートの先代町長で冒険者ギルドマスターのブラームスと、ブラームスの息子で現町長のギルモアだ」

「はじめまして。エアと申します」

目の前の男性に頭を下げるが、ブラームスさんとギルモアさんは私を見ていません。別に失礼な態度を取っている訳でもありません。

「この度は本当に申し訳御座いません!」

私が部屋に招き入れられた時点で、フカフカの絨毯をがした外側で床に額をこすりつけて土下座していました。


「話が進められないから、とりあえず此方コッチに来て座りなさい」

「「はい」」

フィシスさんに返事をした二人は顔を上げて立ち上がり、疲れた様子でソファーに腰掛けました。しかし、私の姿を見て慌てて立ち上がりました。

「あ、あの・・・?」

「・・・腰掛けても宜しいですか?」

「あ!はい!どうぞお掛けください!」

「失礼します」

私がペコリと頭を下げてソファーに腰掛けると、二人もソファーに座りました。

「エアちゃんに謝罪と説明がしたいと招いたのはお前らだ。エアちゃんが、家主の許可なく座るようなマナー知らずだと思っていたのか?」

「いえ・・・。本当に申し訳御座いません」

「エリーさん。この10日間ずっと大変だったんでしょ?だから疲れて判断力が落ちてるだけですよ」

「上に立つ者にはそれが許されない」

「でも、今回は許してあげて?」

キツい目で二人を睨むエリーさんにお願いすると、「ハァァァァァ」と肺の中の空気を声と共にすべて吐き出し、二人にキッと睨みつけます。

「まだ何も知らない、優しいエアちゃんからの『お願い』だから今は許す。しかし、まだ『完全な解決』はしていないことを忘れるな」

「はい。申し訳御座いません」

俯いている二人はふたたび頭を下げます。その姿は痛々しいです。
私のテントにある私室の半分もないものの、教室並に広いこの部屋にいるのはエリーさんとフィシスさん。そして二人のストッパーのキッカさんとボルドさん。
ですが、エリーさんたち四人は結構お怒りのご様子。エリーさんが私のことを『まだ何も知らない』と言っていました。それは皆さんがいかり、ミリィさんが泣いて離れない( のは何時ものことですね )ですが、『それほどのことが私の身に降り掛かっていた』ということでしょう。

「エリーさん。話を進めてください。・・・私のことで皆は怒っているんでしょう?」

「エアちゃん・・・」

「エリー。エアさんには『知る権利』がある」

「・・・分かった。エアちゃん。嫌になったら何時でも言って」

エリーさんの言葉に、私は黙って頷きました。





「・・・・・・・・・はぁ」

話をすべて聞き終えた私に『やっと終わった』という疲労感が襲いかかっていました。

「エアさん。大丈夫ですか?」

「エアちゃん。何かほしいのある?」

「・・・・・・ミリィさんの『ギュ~』」

「・・・もう。エアちゃんったら」

私の言葉に、部屋の空気が少し柔らかくなりました。少しすると、足音が聞こえてきました。それと同時にキッカさんが部屋の扉に近付き開くと、そのままの勢いでミリィさんが飛び込んできました。

「エアちゃ~ん!」

「ミリィさん」

ソファーから立ち上がりミリィさんに抱きつくと、何時ものようにギュ~ッと強く優しく抱きしめてくれます。どのくらい、そうしていたでしょう。かなり長い間抱きついて、やっと気分が落ち着いてきました。

「ハァァ・・・。やっぱり、ミリィさんの腕の中が一番落ち着く」

「エアちゃん、大丈夫?」

「うん。・・・やっと落ち着いた。ありがとうミリィさん」

「話は全部聞いたの?」

ミリィさんの言葉に、私は黙って頷くしか出来ませんでした。


エリーさんとフィシスさんからの話は衝撃的でした。
まずエリーさんから聞いたのは冒険者ギルドの話からでした。初日に私が報告した受付嬢メルリによる様々な暴言の数々。それはギルドへの『書面による警告』でひとまず終わりました。
その際に、二度とトラブルを引き起こさないために、ギルドがメルリを受付嬢から解任したそうです。そのため、ギルドを訴えた私への恨みと憎しみが深くなったようです。・・・自分の行いが招いたせいでしょう?

ですが、責任転嫁能力を如何いかんなく発揮したメルリは私がギルドに来るたびに恨み、『薬草依頼以外受けない』ことに憎み、幾度となく『闇討ち』しようと宿の食堂に行っても素泊まりのため降りて来ずに失敗。
ムシャクシャしていたある日、男に声を掛けられて以来、繰り返し身体を重ねた。
そして「宿に泊まっている女冒険者の情報がほしい」と言われた。「愛しいキミの心を狂わせるソイツにオレが鉄槌を下す」と言われ、王都から来たこと。しかし『王都所属』ではないこと。そして名前と、称号は『冒険者』しかないことを話した。
・・・『ギルドでの騒動』が起きたのは、それから三日後のこと。



「エアちゃんが連絡をくれた時ね、実はギルドと宿の調査も兼ねて全員でルーフォートに向かってたのよ」

それでエリーさんがメールを送って五分もしないで飛んできたんですね。

そして、私が送り続けた『証拠』を元に、エリーさんとアンジーさんは冒険者ギルドに乗り込み、ギルドの一時封鎖と『個人情報漏洩』の取り調べを開始。メルリはギルド内の一室に移されて、鑑定石を使った厳しい取り調べを受けることに。
フィシスさんとミリィさんは町長宅に突入し、『エンシェント男爵』についての情報を取得。ブラームスさんとギルモアは、相手が貴族ということで手を出せず。それでも関わっていると思われる犯罪をリストアップしていたそうです。

「何故それらを王都の貴族院に訴えなかった!」

ミリィさんがそう怒鳴ったら、「相手が貴族なので・・・」「証拠がないと・・・」と言い訳を繰り返したらしいです。私の一件が起きたばかりでまだ耳に入っていないからと言って『知らなかった』では済まされないことです。そして、冒険者ギルドでの騒動を知ると、ギルモアは保身に走った言い訳に変わったそうです。

「それで・・・。ミリィさんが殴った、と」

ボコボコにされても「そんなハズはない」と言い続けていたが、ギルド長の父親が戻り、メルリが個人情報の漏洩を起こしていたことと、漏洩相手が『エンシェント男爵の使用人』ということを知った。メルリはギルモアの幼馴染みだったため、「信じたくなかった」そうです。

「だったら、貴方は『身内の犯罪』は見逃すのですね?」

「いえ・・・そのようなことは」

「『幼馴染み』というだけでメルリの罪を『揉み消そうとした』じゃないですか。身内なら『そんなハズはない』ではなく平等に調査し、正しく、厳しく罰するべきではないのですか?平等に出来ないなら、上に立つ資格はありません。今すぐ町長を辞めて下さい。貴方みたいな存在は町民に迷惑です」

「そんな・・・」

「貴方はさっき言ったでしょ?エンシェント男爵は『貴族だから』って。それで犯罪を見逃してきたクセに、貴方もエンシェント男爵と『同じこと』をしようとしたんですよ?分かってます?貴方はエンシェント男爵を『訴える権利を喪失』したんですよ」

「私はまだ・・・」

「何を言ってるの?『未遂』でも同罪だよ?そして、貴方、気付いてないの?貴方のその優柔不断な態度が、メルリの犯罪を増長させたんだよ。『何かあってもギルモアが揉み消してくれる』ってね」

「違う!そのようなこと・・・!」

「じゃあ、何故『私が泊まった宿の食堂で騒ぎを繰り返し起こしているのに取り締まられない』の?」

私の言葉に驚くギルモア。その表情は青褪めています。隣に座るブラームスさんから「お前・・・まさか」と責める言葉を言われると俯きました。

「いくら軽微の罪であれ、罰を受けなければ『図に乗る』のではないですか?それも一度や二度ではないですね?そうじゃなければ『捕まえても町長命令で釈放させられるから意味がない』と諦めて、守備隊が任務放棄するわけ無いですよね」

「何度か、イザコザで捕まったメルリが『自分は町長の幼馴染みだ』とか『町長に言ってお前らをクビにしてもらう』と騒いで、守備隊から身柄引き受けを頼まれたことがある。忙しかったのと罪が軽かったから、『そのまま放せ』と言ったことがありました」

「何故そこで突き放すことをしなかったんです?口調から、もっと前・・・子供時代からそんなことがあったんじゃないですか?『私の幼馴染みは町長の身内だ』って」

「・・・はい。そうです」

「何故貴方は突き放すことをしなかったんです?その時から貴方が『罪を見逃してきた』結果、現在いまの事件が起きたんです。貴方の責任ですよ?」

『自分の責任』。そう指摘されて、ギルモアは俯いて両手を握りしめています。

「何故、貴方はメルリを突き放さなかったんです?」

「・・・私は、彼女が・・・メルリが好きでした。だから、」

「贔屓にしていれば、何時か自分の恋心を分かってもらえるかもって?」

「・・・はい」

「残念だけど。彼女にとって、貴方は罪を揉み消してくれる『便利な道具』でしかありません。貴方の価値は『その程度』です。そして、使えなくなったら『ポイッ』です。そこに『恋愛感情』は一切ありません」

「そんな・・・!」

「『そんな』と言いますが、彼女を『そうした』のは貴方のその愚かな感情からです。貴方は自ら跪き、彼女の靴に『忠誠の口づけ』をしたのです。その瞬間から、彼女にとって、貴方は『奴隷』でしかありません。貴方は自ら『対等の立場』を放棄したのです。そんな貴方に、彼女が『恋愛感情をいだく』とでも?自ら『奴隷』に身を堕とした貴方に?」


すでにノックアウトし気絶直前のギルモアに、さらに地獄へ落とす『訪問者』が扉を叩きました。



ボルドさんが扉を開くと、青年が立っていました。彼の姿を見たギルモアがそれまでの落ち込んでいた表情から、一瞬で顔を真っ赤にし赤黒く変えて立ち上がりました。

「出てけ!貴様なんか誰も呼んでない・・・!」

「呼んだよ。私が」

「巫山戯んな!オレの許しもなく何勝手なことを!!・・・あっ」

「それが貴方の『本性』だね」

「あ、あの・・・これはその・・・」

「反省してる素振りだったけどね。目は『憎しみでいっぱい』だったから。それは私に対して、だよね。『愚かな自分』を露呈させたから。町長である自分に土下座『させた』から。そして、今までブラームスさんに隠してた『権力の悪用』をバラしたから」

ギルモアは握りしめた拳を震わせています。

「チクショー!貴様のせいで・・・!!」

ギルモアはローテーブルに足をかけて、乗り越えて、私に殴り掛かりました。

「エアちゃん!」
「エアさん!」

ミリィさんが私を守ろうと抱きしめてくれました。

拘束バインド

咄嗟に魔法を掛けたのですが・・・。

「ギャア!イタ!やめ・・・」

「うるさい」

「自業自得よ」

「その程度で済んで良かったと思え」

「・・・そのまま、首を切り落としても良かったのに。これ以上煩くするなら、スパッと切ってもいいですよね?」

「煩い!黙れ!」

沈黙サイレント

ボルドさんのセリフに、ギルモアが逆ギレして煩いので静かにさせました。まだ『話し合い』は続いています。ここで気絶させても、同じ説明をするのが面倒ですからね。起きてて下さい。
自分の声が出ていないことに気付き、目を丸くしています。もちろん『風の拘束』は継続中。大人しくしていれば『かまいたち』は起きません。ちなみに『紙で指を切った』時と同じで、痛みはありますが血は出ていません。

「エアちゃん。アイツ、あとで私に頂戴」

「いいけど、ミリィさん。『殺しちゃダメ』だよ?」

「大丈夫。殺さない。ホネをボキボキに砕くだけ」

それなら回復薬もあるし、いっか。
ギルモアに自動で回復魔法を掛け続けていたら、ギルモアの上でタップダンスして、骨が折れて肺に突き刺さっても、内臓破裂しても、回復するから死なないって思ったんだけど、そんな『好都合な魔法』は存在しませんでした。
・・・何か方法を考えたいですね。
ギルモアは、エリーさんがソファーの後ろに投げ捨てています。何時までもローテーブルの上に転がっていると邪魔ですからね。私の所から転がって暴れているギルモアが見えています。


「・・・ところでエアちゃん。あの子はだれ?」

「知らない」

「知らないって・・・」

「エアさんは此処に来た時に言ったんですよ。「貴方たちが『主人となってほしい』と思っている人をすぐに部屋まで連れてきて下さい」って。それで来たのが彼、という訳です」

「オーガスト。こちらに来て皆さんに挨拶しなさい」

ブラームスさんにオーガストと呼ばれた青年はギルモアの『処罰』に驚きの表情をみせていましたが、ボルドさんに促されて部屋の中へ入ってきました。

「オーガスト・レイダーと申します。『すぐに来てほしい』と言われて来たのですが・・・」

そりゃあ、呼ばれて来たら、ギルモアに怒鳴られるわ。ギルモアが暴れたと思ったら、魔法で拘束されて、床に投げ捨てられるわ。
・・・何も説明されてなければ困惑するよね。

「ところで・・・ダレ?」

「エアちゃん。ブラームスの『弟の子』。ブラームスの甥っ子よ。そして、そこに転がっている『出来損ない』の弟。ブラームスは独身だから甥っ子のギルモアが継いだのよ」

シシィさんが部屋へ入ってきました。

「エアちゃんが何のために呼んだのか分からなかったけど・・・『町長交代』のためね」

シシィさんの言葉にギルモアがまた暴れだしました。

「なに暴れてるの?『間違った権力の使い方』を繰り返した貴方に、誰が付き従うというの?すでに守備隊は貴方を見限っているというのに。それに私は言ったよね。「上に立つ資格はありません。今すぐ町長を辞めて下さい」って」

「言ったな」

「言ったわね」

「『上に立つもの』の責任は重い。つい最近も、『お家騒動』があったばかりですよ。・・・王家という、この国の『一番上に立つ者たち』でね」

「そうですね。国王ですら『責任を取った』のですから、貴族や庶民も国王を見倣って責任を取らなくてはいけませんね」

「まあ、王都の混乱は『元・第二王子』が引き起こしたことだ。それを父親、国王が責任を取った」

「このルーフォート内の混乱は町長が責任を取るべきだな」

「それでしたら私も」

ブラームスさんはギルモアに対する責任を負うつもりでしょう。ですが、それは『別の形』で責任を取ってもらいましょう。

「ブラームスさん。ギルモアは町長としての責任を負う必要があります」

「私はギルモアを正しく導けなかった責任が」

「それは『別の形』でお願いします」

私がブラームスさんの横へ目を向けると、ブラームスさんも自身の横に立つオーガストを見上げる。全員の目が集中して内心焦っているのでしょう。気の毒なくらい目が泳いでいます。あとで、ブラームスさんから聞いてください。

「分かりました」

「冒険者ギルドと『二足のわらじ』で大変だと思いますが、それも罰だと思って下さい。『個人情報の漏洩』で名と信頼を失墜させた中で、ギルドのマスターまでいなくなれば、混乱は必至です」

「エアちゃん。『それでいい』のね」

「『ここ』はね。エリーさん、『メルリ』の処分は?」

「ブラームスとメルリの両親には了承を貰った。メルリ自身は『自宅謹慎』で家にいる。ブラームス。謹慎解除の時期はお前に任せる」

「分かりました。本人に会って、反省を確認したら職場復帰をさせます」

「エンシェント男爵に関しては、王都から貴族院の連中が来て連れて行った。ブラームスたちが揃えていた書類もあるからな。『永久奴隷』として鉱山送りだ。・・・そこに転がっているバカもすでに『メルリの奴隷』だったからな。今さら『犯罪奴隷』となっても変わらんだろ」

「エリー。そんなことしたら、逆に喜んで官吏の靴を舐めるぞ」

「『借金奴隷』が『犯罪奴隷』になったら、どうなるの?」

「ん?それは『犯罪奴隷』の重さによるよ。期間限定なら犯罪奴隷の方が優先される。でも大体は長期になるね。そうなると永久奴隷として奴隷商人に売却される。その売却金は借金と同額ね。それが借金返済にあてられるから。永久労働者になれば、鉄球付きの足枷を嵌められて鉱山の奥深くで死ぬまで働かされるわ」

「でもエアちゃん。急にどうしたの?」

「・・・ああ。メルリが個人情報を流した『ガータン』のことか」

「はい。借金奴隷なのに、すっごく『上から目線』で・・・」

「エアちゃんに攻撃して怪我まで負わせた『バカ者』ね。すでに、永久労働者として鉱山に送ったわよ」

「宿の処分は?」

「一応、エンシェント男爵が関わってるからね。保留してるってところかな」

「じゃあ、今日も宿に泊まって来ます」

「あの宿、また罪状を増やすかもな」

「さっき聞いたエンシェント男爵の子飼いだった『奴隷商人』は?」

「犯罪に加担したとして王都で公開処刑よ。『奴隷商人』という立場を悪用してきたからね」

「便利よね~。審神者さにわっていう『嘘発見器』があるもの。今までは下調べとか色々大変だったけど、審神者を使えば簡単に分かるから、短時間で終わるようになったわ」


あれだけ大きな騒動を起こした審神者を、簡単に処刑するだけでは気が済まないと判断された。そのため、新国王の即位の『恩赦』という形で『使う』ことになった。貴族院や裁判所で被疑者の真偽を『嘘偽りなく』証言している。審神者は『隷属の首輪』をつけているが、最低限の自由が与えられている。しかし、審神者は与えられた部屋から出ようとはしなかった。今まで王城に住んでいたが、さすがに『大量殺人犯』を城に入れることは出来ない。そのため、裁判所の一室に住んでいる。
それまで『世話をされて当たり前』だったのが一転、すべて自分でする生活になった。もちろん料理も何もできない。そのため、一日三食の食事は裁判所内の食堂で取っている。もちろん有料。審神者は元々魔力がない。誰もが使えるはずの生活魔法も使えない。そのため、シャワーやクリーニングを使うことになった。もちろん部屋のシャワーは無料。シャンプーなどは自腹購入。クリーニングは有料。

審神者はやっと、「自分は何も出来ない」と分かり・・・反省はしなかった。自分の生活を一転させた上、『死ぬまで真実しか話せない』という呪いを掛けて、自分を追い詰めて苦しめている『見知らぬ冒険者』を憎んでいる。
憎む度に『反逆の意思あり』と隷属の首輪に判断されて、全身に電流が走る。毎回、その激しい痛みで、涙もヨダレも垂れ流して床を転げ回る。それを目撃した者たちは嘲笑う。
・・・・・完全に『自業自得』でしかない。
この『隷属の首輪』を作ったのは、審神者を含めた『王都治療院』の連中だったのだから。そして、今まで『自分たちがしてきたこと』が審神者自身に返っただけだ。
人に隷属の首輪をつけて、憎む度に、恨む度に『反逆の意思あり』の判断した首輪から感電死直前まで全身に電流が走るようにしたのも。激しい痛みで、涙も涎も垂れ流して床を転げ回る姿を嘲笑ってきたのも。

すべて、審神者自身が今まで行ってきたことだった。
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