私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第四章

第92話

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「ところで。エアさん。此処に国王やおもだった重鎮が揃っているということは、エアさんが交渉人だと気付かれたのですか?」

「いえ・・・。それが、その・・・」

「それとは関係なく国王バカに襲われたらしい」

「それは一体どういうことなのかしら?」

「「 エリー!」」

声がした方を見ると、『大変怒っています』というより『大魔神降臨』に近い状態のエリーさんが立っていました。

「エリーさん!」

「もう大丈夫よ。国王から、今回の件に関する『すべての権限』をぎ取ってきたから」

エリーさんは、駆け寄った私を抱きしめて、慰めるように背中を撫でてくれました。それだけで、張っていた緊張の糸が切れて、涙があふれて止まらなくなってしまいました。


「・・・早かったな」

「当たり前でしょ?それで?アルマンから『エアちゃんが連れ去られて監禁されている』と聞いたけど」

「悪い。俺とあの子らは、交渉人と勘違いした連中に城の一室に通されたんだ。だから詳しくは知らない」

「俺たちは城の外にいた。エアさんが城の外で弱って倒れている人たちに『補水液』を渡していたんだが、回復した人を見た城の連中に連れ去られた。エアさんにつけていたネージュの話だと、俺たちに罪を着せて皆殺しにすると脅されたエアさんは、ネージュを逃して自分ひとりだけで城に入って行ったらしい」

「・・・そう。エアちゃん、ひとりで良く頑張ったわ」

エリーさんの、私を抱きしめる力が強くなりました。そんなエリーさんにさらに強くしがみつくと、「もう大丈夫よ。あとは任せて」といってくれます。さきほど『国王から今回の件に関する『すべての権限』を捥ぎ取ってきた』と言っていました。
・・・何をするつもりなのでしょう。




「改めて。私は交渉代理人のエリーです」

「同じく交渉代理人のキッカです」

キッカさんとエリーさんは挨拶をしてから『交渉終了』を宣言しました。セイマール側は何も言えません。
交渉人である私をこの部屋に監禁しただけでなく、国王自ら襲い掛かったのですから。
ちなみに現在、私はアルマンさんの張った結界の中です。アルマンさんは『結界の外』にいます。セイマール側の暴走を止めるためです。
そして国王たちは・・・。

「おねえちゃんをイジメた わるいヤツには『せいぎのてっつい』だー!」

「おねえちゃんをなかせた わるいヤツには『せいぎのキーック』」

「「 ぎゃあぁぁぁぁ!!!」」

エリーさんから『教育的指導徹底的にしつけなさい』を任された双子に遊ばれていました。


「エアさん。お迎えが来ましたよ。此処はエリーたちに任せて、エアさんは馬車に戻ってテントの中に入ってて下さい」

「エアちゃん。結界を張るの忘れないで。いい?明日の昼まで『話し合い』をするから、出て来ちゃダメよ」

「終わったら連絡します。それまで絶対出ないで下さい」

「・・・ごはんは?」

「そうですね。俺たち三人だけ別で」

「エアちゃん。リクエスト。牛肉のカレー。甘口。アルコールのサングリア。フルーツポンチ」

「俺はシーフードカレー。辛口。同じくアルコールのサングリア。アップルパイ」

「じゃあ俺は豚肉のカレー。辛口。ベリーのラッシー。フルーツパフェ。それとは別に磯辺巻き300追加で」

「アルマン・・・。エアちゃん。いい加減アルマンから磯辺巻きの代金、支払って貰いなさい」

「え?」

「エアちゃん。『え?』じゃないでしょう。いくら何でも多すぎよ」

「・・・ですが、豆腐などポンタくんたち職人さんたちから私に届く食材の代金は、アルマンさんが払ってくれていますよ?」

「え?!何時から?!」

「王都に戻って磯辺巻きをリクエスト始めた時からだな」

「でも300個って・・・」

「あ、違います。『300個 』ではなく『300皿』です。ひと皿7個ですから2,100個ですね」

「「 アルマン!!」」

あら?アルマンさんが、目を吊り上げたエリーさんとキッカさんに詰め寄られています。

「アルマンさん。お皿が足りませんよ?」

「お?300枚じゃなかったか?」

「200枚です」

「じゃあ、200で」

「分かりました」

「『分かりました』じゃないでしょ!エアちゃん!何時の間にアルマンとフレンド登録したのよ!」

「・・・少し前、です。『おもしろ写真』を撮ったので。キッカさん経由で送ろうと思ったんですが」

「俺がすぐに見たかったからな」

「え?何コレ?」

「コレって、其処そこの連中?・・・何というか」

ああ。私がアルマンさんに送った写真を二人に送ったんですね。

「アルマンさん。笑い転げていました」

「そ、そうね。・・・プッ。悪いけど・・・みっともないわね」

「ええ。これが『この国の重鎮の本当の姿』だなんて・・・」

「そいつが欲しくてな。まあ、俺がフレンドになっても大したことには使わないからな」

「・・・わかったわ。さあ、エアちゃん。ちゃんと安全なテントの中にいてね」

「シルオール。アクアたちは『お楽しみ中』だから、このまま俺たちの所に置いておく。エアさんのことは任せたぞ」

「はい。ではエアさん行きましょう」

シルオールさんに促されて、私は城を出ました。お城の前に置いている馬車の前でネージュさんが大泣きしてて、私の姿を見ると「無事で良かったですー!」「守れなくてすみませんでしたー!」と泣きじゃくっていました。

「ネージュさんがアルマンさんに教えに行ってくれたから、私は無事だったんですよ。ありがとうございます」

「いえ・・・。あの男を斬ってでもエアさんを守るべきでした」

「・・・斬ってたら、大問題ですよ」

「ネージュ。・・・何故かエリーが駆けつけていた」

あれ?エリーさんは『入り口』から入ったわけではないようです。

「エアさん。テントの中に入っててください」

「はい。分かりました。・・・あ、あとでカレーを渡しますね。キッカさんたちは話し合いがあるので、中で食べるそうです」

「分かりました。今度こそ間違いなくお守りしますので、ご安心ください」

「はい。お願いします」

此方の皆さんには、カレーは全種類出しましょう。そうです。此処に残っている人たちは私とフレンド登録していないので送れないのです。そして早く渡したら、今から『カレーパーティー』が始まるでしょう。
そうなったら、エリーさんのいかりの矛先が皆さんに向いてしまいます。それだけは全力で避けないといけません。
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