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第八章
第339話
しおりを挟む私の気持ちが落ち着いて少ししてから、情報部の職員とシルキーが会議室に入ってきた。誰が立ちあうかを決めるのに時間がかかっていたらしい。
シルキーの先輩であるメッシュとウレラ。そして情報収集管理課のケビンとボータモスの四人で話は決まったらしい。
「こちらが魅了の女神像です。そして、これが信者の証です」
シルキーが差し出したのは二十センチ弱の女神像と香炉。そして種子。鑑定には『アヘン芥子』と表示されている。
「これはどう使っているんだ?」
芥子を指して確認するケビン。シルキーの説明では、この種子の中には粉末が入っていて、それを香炉に少量いれて火をつけて香りを楽しむそうだ。シルキーは種子といったが、やはり『芥子坊主』だろう。ある意味、魅了の女神を崇め奉る信者が使う代物だ。
「これの入手方法は?」
「栽培するそうです。ただ成功例は少なく貴重なため、年に一回か二回、魅了の女神様を崇める大礼に使います。……ただ、何年かに一度、集団それも地区単位で亡くなっています」
それは過剰摂取によるものだ。公になっていないが、信者が事件を起こしている可能性もある。そうなれば、信者が起こした事件を揉み消せる立場のものが関わっていることになる。
ほかの地区の情報は、情報部に調べてもらった方がいいだろうけど……。あとでそのこともダイバに相談してみよう。
「ダイバ、アレもほしい」
「お前、アレが何なのかわかるのか?」
「『私が知っている物』かどうか調べたい。品物自体は同じだ。ただ使い方が微妙に違う。……アレの効果が弱いものか、それとも知られていないだけか」
「わかった。調査を頼む」
考えの深みにはまる前に、ダイバが頭に手を乗せてきたため注意が戻った。
「ダイバ、どうした?」
「ああ、そいつの調査をエミリアに任せる」
「妖精たちに協力を頼むのか。確かに正しい使い方を聞いた方がいいな」
「ついでにエミリアには商品にできるか調査を頼もうと思うが、どうだ?」
「ああ、そうだな。シルキー、さっきこれは栽培が難しく希少種だといっていたが……ほかに持っている者はいるか?」
「いえ、多分いません。このダンジョン地区の最高責任者は母です。ほかの地区でも管理はその地区の最高責任者です」
「アイテムボックスに入っているということは?」
「それが……アイテムボックスに入っていると危険物扱いになるらしく……そのせいでプレゼント機能で贈ることができないため直接売買するしか方法がありません」
「「そいつは上々」」
私とダイバの声が重なった。
アイテムボックスは危険物を入れると機能が停止する。解除するには『アイテムボックス内のアイテムをすべて破棄する』必要がある。感染物質だった場合、アイテムボックス内のアイテム全部が感染している可能性がある。そのため危険物と判断されたものを入れた時点で機能が停止してしまう。
アイテムボックスの機能が停止するということは、お金も使えないということだ。お金はアイテムボックスに入っているのだから。ただ、アイテムとは違う場所に保管されるため、アイテムを破棄してもお金は残る。全財産を失うかお金だけは無事か。それだけでも大きく違ってくる。ただし、期限は五十時間。期限内にアイテムを破棄しなければお金も失う。アイテムボックス自体が壊れるため、二度とアイテムボックスが使えなくなるのだ。
「こんな危険物を簡単に取り引きされたら困る」
「そうだな。危険物扱いになるようなもの、ダンジョン都市に持ち込まれても困る」
私たちの言葉に、五人も頷いて同意した。
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