私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

文字の大きさ
413 / 791
第九章

第426話

しおりを挟む

ミリィさんが、旅の最中で手に入れたペリジアーノ大陸の地図を開いてくれた。この地図は新しい情報だけしか表示しないらしい。

「大陸によって使われる地図は違うわ。ペリジアーノ大陸みたいに、侵略や戦争に滅亡で国の範囲や国名がコロコロ変わる場合、地図は最新情報のみが表示されるものが流通しているの」
「世界全集は国の情報だから、国土や国名だけで何ページも使っているところもあるよ」

ミリィさんが、私に地図の説明をしてくれる。
私はムルコルスタ大陸の地図は持っていない。世界全集を購入したからだ。それには大陸の地図も載っている。最新の国の地図も。旧国名などは国の詳細情報のページに記載されている。だから、地図だけを購入する必要がなかった。

「あっっっ!」

開いている地図上である国の国境がクネクネと動いて、隣の国を飲み込んで国土を拡げた。

「また……国がひとつ滅んだわ」
「ウランベシカ。……この国がなの?」
「ええ。エミリアちゃん、世界全集か世界大全集を見せてくれる?」
「はーい」

返事をして両方の全集を取り出す。世界全集は一冊だけど、世界大全集は上・中・下巻からなっている。ルーフォートでまとめて貰った本の中にあったのだ。テントの書架に並べてあったのをピピンが見つけて持ってきてくれたのだ。世界全集と読み比べて、その詳細に驚いた。歴代の国王の名が記載されるのはわかるが、そのときの宰相や大臣の名から、政策に失策まで記載されていたのだ。
すると、調べたくなるのはエイドニア王国のこと。

【エイドニア王国】
・異世界から聖女召喚を行なっていた

・最終召喚は聖女二名。内一名は召喚直後に城を追放されて行方不明。残る一名も不当な扱いを受けて召喚翌日に自死

・第二王子(旧名・レイモンド)の不正召喚および以降のにより神のいかりに触れ、父王(旧名・エルフレッド)と共に不死人しなずびとの罰を受ける
→第二王子、フルリアス国国境渓谷西部洞窟内にて生存確認
→父王、グモール山火口にて生存確認

・現王ルナンバルトの善政により、短期間で前王の悪政で傾いた国内を立て直して繁栄をもたらしている

・聖女の召喚直後から『空白の一年』がある。記録はいっさい残ってはいない。当時のことを、この国に残された記録から『行方不明になった聖女による大改革がおこなわれた』と思われる。しかし、どの記録からも聖女の姿は確認できていない
唯一聖女と思しき女性の記録として『彷徨える哀れな二人の魂を神の下へと送った』という内容が、王都所属守備防衛隊と冒険者ギルドの活動記録に残されている


「…………」

私が表に出ないようにしていたために、国の記録自体が『空白の一年』となっているようだ。しかし、公開できる国の記録はあるはずだ。アントの襲撃や、ルーフォートをはじめとした多数の『虫の集団襲撃スタンピード』。

「それには女神が関わっているのか?」
「それはないと思う。……アントの一件も水のダンジョンも、私は偶然関わっていただけ。キッカケが私だった……」
「どうした?」
「私が女神の存在で魔法が強化されていなければ、私……水のダンジョンで死んでたと思う」

通常のダンジョンではない。あの『召喚された百体以上の魔物たち』を相手にできなかっただろう。

「あのエリーさんやキッカさんたち、ミリィさんたちも一緒に戦って、ボロボロになって死を覚悟したんだよ。そんな強力な魔物を相手に私が敵うと思う?」

そう聞いたらダイバには驚かれた。そりゃあそうだろう、エリーさんたちの強さは十分わかっているのだから。
フィールドに現れた魔物の討伐で共闘したことが何度もあるからだ。

「…………あのときの魔法、水の影響もあったし雷を使えば相乗効果が出るのはわかってたよ。でも、さ……全力で放った魔法だったのに、使んだよ」
「疲れは?」
「ない」

女神が関わったからか、そこが水の聖霊の住処だったからか。それが
記載できない理由なら……

「アントも神が関わってるってことだよね」

あのときの私の言葉に、ダイバの表情はゆがんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。