私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第十章

第470話

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「とりあえず……奴隷解放軍と死隊がタッグを組んだらしい」
「は⁉︎ 死隊は奴隷を死体にした軍隊でしょ?」

そして奴隷解放軍は奴隷となった者を奴隷商から奪って、中には奴隷商を殺してでも奴隷たちを解放する軍隊……

「あれ? もしかして、奴隷解放軍に加担していた奴隷商がいなくなった?」
「その可能性もありますね」
「奴隷市で大量捕獲したからな」
「でも、死隊は死体……」
《 奴隷解放軍は奴隷を死体にはしない 》
《 戦争で人がいっぱい死んだよね 》
「死隊はその死体を軍隊にしたということか」
「両国の生き残った奴隷は奴隷解放軍が手に入れた」
「ねえねえ、ちょっといい?」

ヒラヒラと手を振るとダイバとメッシュが私をみる。

「なんで、ちぃちゃんとクラちゃんが会話に参加しているの?」

私が指摘すると、二人は慌てて口に手を当てて顔を見合わせている。気付いていなかったようだ。

「な~んか、言ってないことがあるんだなあ?」
《 さっき、話を聞いてて思い出したことあったの 》
《 うん、エルスカントの尾根に行ったときにね。いくつかの村に……あれ? なんだっけ? 》
《 なんの話してたっけ? 》

話を止めてしまったため、何を思い出したのか忘れてしまったらしい。

「いま話してたのは奴隷解放軍と死隊だ」
《 あっ! その死隊だと思う 》
《 うん、消えたんだ 》
「……あ、そっか。火龍は火の神の眷属だから」
《 うん、でもそのことに気付いてなかったと思うよ 》
「ああ、違う大陸だから情報が届いていなかったってことか」
「あと、火龍が神の眷属と気付いていない可能性もあるな」
「竜人にとって火龍は?」

私が質問すると、ダイバは腕を組んで考える。

「神とも眷属とも思わん。同族とも思わないし……あえていうならという存在だな」
「じゃあ、ジズたちは?」
「アイツらは神獣だな」
「火龍や騰蛇は神獣に思えない?」
「そうだな……神獣ともかけ離れている。しかし、それは神獣を間近で感じているから比べられるだけだ。接触がなければ神と崇めるのかもしれん。だからこそ、龍になれる自分たちを優秀と思い込み、火龍を自分たちの祖だと錯覚している」
「うーん。じゃあ、死隊が全滅というか消滅した理由をどうみる?」
「火龍と結びつけるかどうか、か?」

ダイバの質問に頷いて答える。しかし、別のところから違う意見が現れた。コルデさんだ。

「ダイバ、エミリアちゃん。あの大陸には別の神獣の存在がいるようだ」
「オヤジ、なんだそれは」
「詳しくは手紙に書かれてはいない。いや、読みきれてないからどこかに書いてあるのかもしれん。ただ、『死にまつわるもの』のようだ」

その存在は彷徨う死者を闇に葬るものか、死体を喰らう生き物か。コルデさんたちは大量の手紙を今は読み解いている途中だという。

「ひと通り読み終わった手紙は二人に渡す。読んでくれて構わない」
「わかった。エミリア、お前の家で読ませてくれ」
「いいよ」

こうして私とダイバも三千通は下らない手紙の解読に入った。
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