私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

文字の大きさ
654 / 791
第十二章

第667話

しおりを挟む

「エミリアさぁぁぁん!!!」

毒ガスが吸収され、光の妖精によるダンジョン内の全浄化で残った瘴気が完全に消されたのを確認してから結界に向けて親指を立てて合図をする。すでにテントの外で待っていたアゴールが、結界が解かれると泣きながら飛び出してきた。そしてそのまま地面に座り込んでコルデさんに背を支えられている私に飛びかかって抱きしめる。その後ろからダイバが顔を出した。

「エミリア、大丈夫か?」
「……魔力、ごっそり持ってかれた」

召喚の対価は召喚者わたしの魔力。普段なら問題なかったのに、今回はバシリスクが毒ガスで最高ランクの将軍ジェネラルまでランクアップしていたのだ。その分、対価は大きくなる。

「ダンジョン内だから、せいぜいロード化で限界だと思ってて失敗した」
「毒ガスで進化したのか?」
「……たぶん」

そして、これまでの死亡事故も毒ガスは一因で、あのジェネラル化したバシリスクが吐き出す即効性の致死毒が原因だったのだろう。

「アゴール、エミリアを休ませるから。いったんテントに戻るぞ」
「エミリアさんは私が連れて行くの!」

フンスッと鼻息荒くお姫様抱っこで私を抱き上げるアゴール。風の妖精ふぅちゃんが私を浮かせてくれたため、アゴールは軽々と私を抱えてテントへと足早に歩いて行く。

「オヤジたちも来てくれてありがとな」
「ちょうど一緒に行く用事があったからな」
「隊員のみんなはどうだ?」
「驚きで軽い呼吸困難になった奴が数人。しかし全員に結界の装飾品アクセサリーを装備させているから毒ガスによる被害はでていない。結界石で結界を張ってその中にテントを置いて中に避難した。結界を張ったときに一緒に入った毒ガスは『状態回復』でも消えなかったから浄化石を5つも使った」

アゴールの背後からダイバとコルデさん、アルマンさんの会話が聞こえる。浄化石は無属性の魔石に光の妖精アイちゃんが浄化魔法を詰め込んだものだ。私が作ると値段が跳ね上がるため、妖精たちが色々と魔導具を作っている。浄化石も妖精印の試作品としてダイバに預けていたものだ。

何年も前にピピンたちが見つけた巨大な金剛石ダイヤモンド水晶クリスタルを使って作ったものは、素材が高価だったことで「めっちゃ高価なんですがぁぁぁ!!!」となった。各国では何年分かの国家予算になるらしい。

「買えるよなぁ」
「いくつ買えるんだろう」
「上限あるのか?」

……ダンジョン都市シティでは冒険者の町ということもあり、物価が高くても余裕で購入できてしまう。そのため私の作った浄化石はここでしか売られていない限定品だ。妖精印は1回限定で安価の予定。私の浄化石は5回使用可能の充填式で、追加金を払えば浄化魔法を充填する。ただ、5回前後が限界で砕けてしまう。その砕けた浄化石は状態回復の魔法を使ってもただのクズ石にしかならない。状態回復を使わずに回収して私に返してくれれば、次の購入金額を1割引きにする。その砕けた金剛石ダイヤモンド水晶クリスタルは私がアクセサリーに再利用するからだ。浄化魔法は無理でも疲れを回復させたり、小さな傷の回復用の魔法を詰められるのだ。さらに小さな石で作ったアクセサリーは妖精たちでも身につけられるのだ。

結界の指輪を持っているとはいえ毒ガスの中にいたコルデさんとアルマンさんは、安全のため一切会話をしなかった。呼吸を増やす会話は僅かでも毒を吸い込む恐れがあったからだ。魔導具を過信してはいけない。

2人が結界を張らなかったのは私のフォローをするためだ。おかげで、ふらついて後ろに身体が傾いたところを2人に支えられて、地面に倒れずに済んだ。2人とも回数と効果の時間が限定されている結界の指輪が2個砕けたようなので、お礼に3個ずつ進呈しよう。そしてギルロバには請求書を進呈させてもらおう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。