【ハルピュイアの鎮魂】―禁忌を超えて、魂に、触れる。― ディストピアSFホラー×異形吸血鬼譚×異種族恋愛BL

静谷悠

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高校生編

終章(2035、冬)

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 その二人が、店内の注目を集めていることは間違いなかった。

 二人とも、もう日も暮れるというのに濃い色のサングラスをかけ、真新しいカジュアルなシャツとスラックスに身を包んでいるが、コートもマフラーもなく、クリスマスの夕暮れの外出としては、不自然なまでに薄着ではあった。二十代後半に見える色白の青年は、やはり色素の薄い柔らかそうな髪を後ろにくくっており、端整な口元と顎のラインが露わになっている。両手の置きどころがないかのように、彼は不自然にそれを両脇に垂らしていた。
 向かいに座るのは、明らかに十代と見える少年で、高校生くらいに見えた。おそろいのサングラスは背伸びしているようにしか見えないが、浅黒い肌とつややかな黒髪に似合っていると言えなくもない。

「なんだよ……もう、食べないの」

 と、青年が言ったのは、どうやら少年がつついている華やかなクリスマスフェアの苺のパフェについてらしかった。苺が数個なくなっている以外は、ほとんど手をつけられていない。
「だから、どうせ食べられないって言ったじゃん……」
「だって、たべたかったから」
 少年は不服そうだった。
「ま、いいけどさ……もったいないけど。たまにはいいだろ、こういうのも」
「たべる?」
「少しなら」
 少年は、自分のスプーンをそのまま使い、アイスクリームを少量すくって青年の口に運んだ。青年は、手を動かさないまま、鳥がついばむようにそれを迎えた。
「ん、甘……」
「おいし?」
「んー……おまえの味かな。俺も、アイスはもういいよ」 
 青年はちょっと笑い、少年を促して席を立った。伝票を取ったのが少年のほうなのも、多少妙な印象ではあった。
 外は、既にたそがれかけていたが、足元からのライトで幻想的な明るさがあった。ホワイトイルミネーションがオープンエアのショッピングモールを彩っている。
「どうする? もう帰る?」
「えいが、みたい」
「何か、気になるのあった?」
 そう青年が言ったとき、走ってきた少女が彼にぶつかって小さく悲鳴を上げた。
「おっと」
 はずみでサングラスを落とした青年は、しかし、手を使ってそのまま少女を抱きとめた。
「大丈夫?」
 言って、しばらく彼は少女を見つめていた。
「あ、ありがと――ごめんなさい」
 小学校高学年くらいのその少女は、驚いたように彼を見返した。「何か、あたしの顔についてる?」
「いや、ごめん。何でもないよ、ちょっと知り合いに似ていたから」
 連れの少年がサングラスを拾い、彼の顔にかけた。少年は、ちょっと面白そうに表情をゆるめ、少女を見た。
「あきら! ――亜煌あきら
「ママ」
 少女は振り返り、母に駆け寄った。
「一人で走っていかないで。すみません――うちの子が」
 彼女はあたりを見回したが、既に二人はそこを立ち去っていた。
「やだ、お詫びも言えなかった……」
「ね、ママ、聞いて。さっきの人」
 少女は伸び上がり、そっと母に耳打ちした。その瞳は、無垢な好奇にきらめいていた。
「きれいな、虹色のだった……」 
 
 *

 帰って来るが早いか、晶は上着を脱ぎ捨て、ソファの上に投げ出した。
「ああ……窮屈だった」
 言ううちに、両腕はたちまち伸びやかな翼になって背に広がり、胸は鳥のように羽毛を纏って変形した。
「あ、サングラス取るの忘れてた。取って」
「ん」
 現れた素顔は、樹と同じく十代後半の少年のものだった。樹は、微笑んだ。
「こっちのがいい。おとな、よそのひとみたい」
「だってさ、高校生二人が夜のショッピングモールをぶらついてたら、補導されちゃうよ」
「おれも、おとながいい?」
 くすっと笑って、晶は彼に口づけた。
「おまえは、そのままがいいよ……」
 そこは、筑波山の中腹にある、打ち捨てられた教会だった。最近の樹は、数年かけて補修したパイプオルガンを弾きこなすのに夢中になっている。都度、晶も歌うよう強請るので、教会の周りは冬だというのに青々と木々が茂り、梅や李の花が狂い咲いて、まるで春のようだった。
「しほ、いたね」
「うん……」
「なんで、はなさなかった?」
「何年も連絡してないから、気まずくてさ」
 晶は、翼を手に変えるのが面倒になりつつあり、生活上、手を必要とする場面は――教会の裏手を流れる男女川の支流で身体を清めるときでさえ――ほとんど樹にやってもらうようになっていた。スマホは一応毀れずに持っていたが、何年も充電していない。
「まちいくの、つかれる?」
「ん……でも、たまにはいいだろ。外のことがわかるし。店のテレビでやってたな、《根の民》の人権と福祉を考える、だって……崇、頑張ってんな」
「デートだから」
「ん?」
「クリスマスデート」
 言いながら、樹は晶の喉に口づけた。「こいびとは、クリスマスにデートする」
「毎年、おまえそれ言うなぁ」
 晶はくすぐったそうに笑った。「ふふっ、だから毎年出かけてるだろ」
「あきらといっしょ、たのしい」
 樹が臍の横に口づけたので、晶は笑いながら身を捩り、白い羽毛が雪のように降った。
「きもちい?」
「ん……」
 互いの火が柔らかく輝くのに見惚れながら、二人はそっと口づけを交わした。
「美味し……」
「こっちも」
 樹が舌を牙に当てたので、温かな血液が口に溢れた。晶は傷が癒えるまで甘さに酔い、樹の舌が愛撫を続けるに任せた。
「苺の味がする。おまえの血――」
「たべたから」
「俺のはどう?」
 言いながら、晶は自分の舌を咬んだ。樹は、音を立ててそれを啜った。しばらくして顔を上げた彼は、小さく笑った。「キャラメルポップコーン」
「好きなんだよ」
「あんまり、たべてなかった」
「好きだけど、もうあんまり食べられないな」
「おれも……」
 言いながら、耳に、うなじに口づけを落としてくる。「あきやのちだけでいい」
「もう、ベッド行きたい。おまえ、運んでよ」
 樹が嬉しそうに笑うと、温かな息が耳にかかった。

 よろこびの余韻を味わいながら、樹の髪に唇を滑らせていると、ふと彼が言った。
「しほのこども……」
「ん?」
「かわいかった」
「ん、そうだな」
「しほににてた……」
「崇にもな。目のとことか」
 言ったとき、樹が強く首筋を吸った。「なんだよ、跡つけるの? すぐ消えちゃうのに」
「ん……」
「どしたの、おまえ」
 身体を返し、黒い瞳を覗き込む。樹が瞬いて晶を見返したとき、そこに、鮮やかにプリズムの光が過った。
「おれも……ほしい」
「何を?」
「あきらのこども、ほしい」
 言葉を失って、晶はまじまじと樹を見つめた。お互いの思考がほぼ自動的に共有されるようになってなお、ときにこういうことはある。あまりに思いがけないことは、言葉にしないと理解しがたいのだ。
「俺の、子?」
「うん」
「誰との?」
「おれ」
 ちょっと怒ったように彼は言った。「あきら、おれだけ」
「まあ……それは、そうだけどさ」
 笑いを引っ込めて、晶は恋人の目に見入った。
「そうか――確かに、できないこともないかもな」
「できる?」
「多分。色々頑張れば」
「ほしいよ、おれ」
「でもさあ、色々大変だよ。そもそも、その子、在来人でも根の民でもないわけだし――どんなふうに生まれるか」
「あきらのこ、ぜったいかわいい」
「おまえなぁ……」晶はちょっと笑った。「この世で、たった一人なんだぜ。どこにも同類がいない子。……さびしいんじゃないかな」
「だいじょうぶ」
 樹は、確信を込めて囁いた。「おれと、あきらのこ。ぜったい、だいじょうぶ」

 そうか、と晶は思った……俺たちは、こうして、種族を乗り越えて、互いを見つけ出したんだ。
 俺たちの、この世にたった一人の種族の子に、それができないなんて、最初から決めつけてはよくないな……
「まあ、もう少し、考えようよ」
 晶は囁いた。

 そう、できないわけはない……
 考えたことがなかっただけだ。
 樹を身体の奥深くまで受け容れ、その炎の熱さに酔いながら、頭の片隅で晶は思った。
 きっと、難しくはない……自分の細胞の一つを、少し変えればいいだけだ。染色体を半分に分け、樹のそれと混じり合えるように、細胞膜を変化させる。少しくらいうまく行かなくても、その都度少し力を加えればいい。きっとできる――身体を変化させて、その生命を育むことも……

 そう、愛することも、きっとできる。

「あっ……う、あぁっ、――い、いつき」
「あきら……あきら、すき」
 祝福の雨のように、口づけを受け止めながら、息を飲み込んだとき、身体の奥に熱い液体が注ぎ込まれた。
 そう、これを……いつものように飲み干すのではなくて、そこに留め、自分の細胞を……一つだけ、そこに差し出せば……

「あきら」

 そっと、その唇に口づけながら、晶は思った、虹色の瞳の子、髪はきっと黒くなめらかで――

「樹――」

 伸びやかな四肢で大地を踏むだろう。腫瘍からも禁忌からも自由で、生きていることを、ただただ喜ぶだろう。
 その子が声をあげるとき、それは和音となって響き合い、世界に対する福音となるだろう。

「いつか――」
「ん」
「その子を、迎えようか……」
「うん……」
 樹は、晶に頬を擦り付けた。「うれしい……あきら、おれ、うれしい」
「それでさ」
「ん」
「そういうことも、何もかも済んで」
「なにもかも」
「パイプオルガンも、子どもも、クリスマスデートも済んでさ」
「うん」
「何十年も何百年も……経ったらさ」
「うん」
「いつか、二人で眠ろうよ」
「ねむる……」
「ずっと考えてたんだ。
 アイゲンメーヤー化すればさ、俺たちは、多分、死ぬこともなく、ただただ、ずっと眠っていられるだろうなって」
「あきらと」
「うん」
「ずっと、いっしょにねむる」
「うん、いつか」
「うれしい」
 樹は、温かな息で囁いた。「あきらといっしょ、うれしい……」
「いつかな」
「うん」
 樹は、頬を寄せると瞼を閉じた。

 彼の炎はいつものように温かく、その熱を味わいながら、晶もまた、翼をかきあわせ、その中に目を瞑った。

 雪が、降り始めていた。……
 
 
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