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第五章 銀雷の夢
第65話 睦言2
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「ねえ、ルウエン。」
ぼくも彼女も夜目がきく。
廊下に灯った魔法の灯りが、戸の隙間から差し込む。
それだけで、互いが見える。
ぼくは、シャツとズボン。
アデルは、下着すら身につけていない。
「“銀雷の魔女”。ドロシーも知り合いなの?」
「フィオリナやリウと一緒だよ。有名人だから、こちらは向こうを知ってても、あちらは、ぼくを知らない。」
アデルは、布団を剥がして、立膝をついた。
ちょうど逆光になるので、細部は見えない。けど、下半身も下着をつけていないのはわかった。
アデルは、光る眼でじっと、ぼくを見ている。
「ルウエンも、“銀雷の魔女”の祝福が欲しいの?」
意外な問に、ぼくは返事ができなかった。
その発想はなかった!!!
しかし、そもそも、銀雷の魔女に祝福をうけると、その後、才能が開花して、人生なにもかも上手くいく、というのが、都市伝説というか、なんの根拠もないだろう。
名前があがるジウル・ボルテックや、ドゥルノ・アゴン、ゴーハン公爵なんかは、もともとが傑物だったのだ。
一時、ドロシーつきあっていたことがその後の名声に関係していたとは、思えない。
逆に、“血の聖者”サノスや、ミトラのガルフィード伯爵など、ドロシーと付き合ってもいない人物まで、『祝福』を受けたと噂され、否定するのにやっきになっているようだった。
二人とも常識ある人物だったようで、親子ほどに歳の違うドロシーと、そういう行為をしたという噂が、恥ずかしいものだと思っている。
それがあたりまえじゃないかな。
「それとも、もう祝福を受けたの?
だから、彼女を探して仲間にしようと思っているの?」
「どっちも違う。」
ぼくは、身を起こそうとしたが、アデルの両手が、ぼくの両肩をがっちりと押さえ込んだ。
「ほんとなの? ルウエンは、銀雷の魔女のことを話すとき、いつもすごく悲しそうな顔をするよ。」
「彼女は、もともと、そういうタイプじゃないのに、そんな役回りを与えられて、それを気の毒だと思ってるだけなんだ。」
「なんだか、信じられないなあ。」
アデルは、笑った。
ぼくは、悩んだ。
すべてでは、ないにしろ、命をかけてなにかする前に、ゲン担ぎでそういうことをしたがるものは多そうだった。
「だから、それはひとによると思うんだ。」
つまらない答えをしたぼくに、アデルはのしかかった。
「ルウエンは、どっち?」
「どっちとは?」
「命がけでなにかをするとき、女の子が、欲しくなる方? ならない方?」
「ん? なる方かな。」
表情が歪んだ。
でもそれは安堵したみたいにも、見えたのだ。
「だったら、今晩は、わたしがルウエンを祝福する。」
そうなるか!
ぼくは、それほど変人では無い。
裸で、ベットに潜り込んできたときに、アデルがなにを望んでいるか。
そのくらいは、わかる。
いままでも野宿も含めれば、二人きりで、夜を過ごしたことはいくらでもあったけど、ここまで、積極的になるのはじめてだった。
いままで、ぼくらは二人きりだった。
クローディア大公やアルデリアさんのもとで、育てられたアデルにとっては、ぼくははじめての同世代の友だちだった。
異性という以前に、唯一無二の存在だった。お互いにそうだったはずだった。
でも、ぼくはルーデウスという吸血鬼に噛まれて、下僕になってしまった。
どうやら、ロウ=リンドやギムリウスとかいう超大物も知り合いらしい。
つまり、ぼくは、アデルだけのルウエンではない。
アデルは、ぼくだけのアデルになりたかったのだ。
「こんなことをしなくても、アデルはアデルだぞ?」
そう言うと、言葉の意味をわかってくれたのか、顔がくしゃりと歪んだ。
「ルウエンが。」
わあ。
泣いている。
困った。とても困った。
「ルウエンにとってわたしは特別じゃなきゃ嫌だぁ!」
「だから、こんな確かめ愛をしなくてもアデルは特別だから。」
うんうん。
と、泣きながらアデルは頷いた。
頷きながら、その両手はぼくの上着を脱がしにかかる。
な、なぜっ!!
「だって、こういうのは、はじめたら、最後までいくもんでしょ?
大丈夫だよ、わたし、リードしてあげられるから。」
ええい!分からずやめっ!
軽く膝をあげて、アデルのお腹にぶちあてたが、跳ね返された。
わあ。、ぼくが引くほど鍛えてる。、
「ルウエンはすごく、強いけど。」
アデルの手は、ぼくのズボンにかかった。
「この体勢はわたしに有利すぎない?
諦めて、わたしのものになれ!」
こ、攻撃魔法!?
打撃!
できるか、そんなこと。
だが、ほんにとアデルの体はまるで、密度が違うかのように、その剛力でぼくを押さえ込もうとする。
ぼくは、自由になった手首をしならせて、アデルの裸のおしりをひっぱたいた。
「イッタアいっ!」
そう、体の耐久力と痛みは直接関係なかったりする。
「でも!」
顔をしかめて、アデルは叫んだ!
「いくら痛くたって、我慢する!」
これは困った。
もともとこの技は、人間の皮膚そのものを対象にする。
これは意外にも気立てにくいのだ。
ぴしゃりと、叩かれたときの痛みは、武人も幼児もあまり、かわらない。
だが。
まだ、手はある。
ぼくは、アデルに手を伸ばした。
「あれ? あきらめた? 今度はずいぶん積極的に。」
アデルの顔が今度は共学に歪んだ。
「ぎゃあッッッ! そこダメ! そこはくすぐったいの!
だめだよ、さわっちゃ、ギャハ、ギャハハ! やめてよ。だめだってえ!!」
そう。
くすぐられる、といつう技に対しては、どんな戦士も、これに耐えるための修練をっものは、まずいないのだ。
ぼくも彼女も夜目がきく。
廊下に灯った魔法の灯りが、戸の隙間から差し込む。
それだけで、互いが見える。
ぼくは、シャツとズボン。
アデルは、下着すら身につけていない。
「“銀雷の魔女”。ドロシーも知り合いなの?」
「フィオリナやリウと一緒だよ。有名人だから、こちらは向こうを知ってても、あちらは、ぼくを知らない。」
アデルは、布団を剥がして、立膝をついた。
ちょうど逆光になるので、細部は見えない。けど、下半身も下着をつけていないのはわかった。
アデルは、光る眼でじっと、ぼくを見ている。
「ルウエンも、“銀雷の魔女”の祝福が欲しいの?」
意外な問に、ぼくは返事ができなかった。
その発想はなかった!!!
しかし、そもそも、銀雷の魔女に祝福をうけると、その後、才能が開花して、人生なにもかも上手くいく、というのが、都市伝説というか、なんの根拠もないだろう。
名前があがるジウル・ボルテックや、ドゥルノ・アゴン、ゴーハン公爵なんかは、もともとが傑物だったのだ。
一時、ドロシーつきあっていたことがその後の名声に関係していたとは、思えない。
逆に、“血の聖者”サノスや、ミトラのガルフィード伯爵など、ドロシーと付き合ってもいない人物まで、『祝福』を受けたと噂され、否定するのにやっきになっているようだった。
二人とも常識ある人物だったようで、親子ほどに歳の違うドロシーと、そういう行為をしたという噂が、恥ずかしいものだと思っている。
それがあたりまえじゃないかな。
「それとも、もう祝福を受けたの?
だから、彼女を探して仲間にしようと思っているの?」
「どっちも違う。」
ぼくは、身を起こそうとしたが、アデルの両手が、ぼくの両肩をがっちりと押さえ込んだ。
「ほんとなの? ルウエンは、銀雷の魔女のことを話すとき、いつもすごく悲しそうな顔をするよ。」
「彼女は、もともと、そういうタイプじゃないのに、そんな役回りを与えられて、それを気の毒だと思ってるだけなんだ。」
「なんだか、信じられないなあ。」
アデルは、笑った。
ぼくは、悩んだ。
すべてでは、ないにしろ、命をかけてなにかする前に、ゲン担ぎでそういうことをしたがるものは多そうだった。
「だから、それはひとによると思うんだ。」
つまらない答えをしたぼくに、アデルはのしかかった。
「ルウエンは、どっち?」
「どっちとは?」
「命がけでなにかをするとき、女の子が、欲しくなる方? ならない方?」
「ん? なる方かな。」
表情が歪んだ。
でもそれは安堵したみたいにも、見えたのだ。
「だったら、今晩は、わたしがルウエンを祝福する。」
そうなるか!
ぼくは、それほど変人では無い。
裸で、ベットに潜り込んできたときに、アデルがなにを望んでいるか。
そのくらいは、わかる。
いままでも野宿も含めれば、二人きりで、夜を過ごしたことはいくらでもあったけど、ここまで、積極的になるのはじめてだった。
いままで、ぼくらは二人きりだった。
クローディア大公やアルデリアさんのもとで、育てられたアデルにとっては、ぼくははじめての同世代の友だちだった。
異性という以前に、唯一無二の存在だった。お互いにそうだったはずだった。
でも、ぼくはルーデウスという吸血鬼に噛まれて、下僕になってしまった。
どうやら、ロウ=リンドやギムリウスとかいう超大物も知り合いらしい。
つまり、ぼくは、アデルだけのルウエンではない。
アデルは、ぼくだけのアデルになりたかったのだ。
「こんなことをしなくても、アデルはアデルだぞ?」
そう言うと、言葉の意味をわかってくれたのか、顔がくしゃりと歪んだ。
「ルウエンが。」
わあ。
泣いている。
困った。とても困った。
「ルウエンにとってわたしは特別じゃなきゃ嫌だぁ!」
「だから、こんな確かめ愛をしなくてもアデルは特別だから。」
うんうん。
と、泣きながらアデルは頷いた。
頷きながら、その両手はぼくの上着を脱がしにかかる。
な、なぜっ!!
「だって、こういうのは、はじめたら、最後までいくもんでしょ?
大丈夫だよ、わたし、リードしてあげられるから。」
ええい!分からずやめっ!
軽く膝をあげて、アデルのお腹にぶちあてたが、跳ね返された。
わあ。、ぼくが引くほど鍛えてる。、
「ルウエンはすごく、強いけど。」
アデルの手は、ぼくのズボンにかかった。
「この体勢はわたしに有利すぎない?
諦めて、わたしのものになれ!」
こ、攻撃魔法!?
打撃!
できるか、そんなこと。
だが、ほんにとアデルの体はまるで、密度が違うかのように、その剛力でぼくを押さえ込もうとする。
ぼくは、自由になった手首をしならせて、アデルの裸のおしりをひっぱたいた。
「イッタアいっ!」
そう、体の耐久力と痛みは直接関係なかったりする。
「でも!」
顔をしかめて、アデルは叫んだ!
「いくら痛くたって、我慢する!」
これは困った。
もともとこの技は、人間の皮膚そのものを対象にする。
これは意外にも気立てにくいのだ。
ぴしゃりと、叩かれたときの痛みは、武人も幼児もあまり、かわらない。
だが。
まだ、手はある。
ぼくは、アデルに手を伸ばした。
「あれ? あきらめた? 今度はずいぶん積極的に。」
アデルの顔が今度は共学に歪んだ。
「ぎゃあッッッ! そこダメ! そこはくすぐったいの!
だめだよ、さわっちゃ、ギャハ、ギャハハ! やめてよ。だめだってえ!!」
そう。
くすぐられる、といつう技に対しては、どんな戦士も、これに耐えるための修練をっものは、まずいないのだ。
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