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第二章 グランダ脱出
第18話 事務局長、頑張る!
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そのまま、本当にグリシャム・バッハは、立ち去った。
もう、ランゼには、なんの興味もないといったふうに。
ランゼ自身は、グリシャム・バッハとは、面識はあった。魔道院は、単なる名門校ではなく、人間が魔法を研鑽するにあたっては、最高峰の研究機関であり、彼女は若くしてそこの事務局長だったのだ。
しかし、ここまで、傲岸不遜な人物だとは思っていなかった。
抗議のため、呼び止めようとした彼女の手首を、ポルスと呼ばれた拳士が掴んだ。
軽い音だった。
枯れ木が、折れる音だった。
呆然と、ランゼは自分の手をみつめた。
手首から先が、あらぬ方向をむいている。
激痛が、行動を鈍らせる前に、ランゼは痛覚を遮断した。
もう片方の二の腕を掴もうとしたポルスの腹に、膝を打ち込んだのだ。
顔を顰めて、一歩後退したボルスの顎を、ランゼの周り蹴りが捉えた。
「先に行っている。」
構わず、歩きながら、振り返りもせずに、グリシャム・バッハは言った。
「あまり遅くなるな。」
「御意。」
ボルスは、短く答えた。
ランゼにむかって、腕を伸ばす。その腕を掻い潜りながら、身を沈めたランゼは、飛び上がる勢いを利用して、膝を顎に、ヒットさせた。
ボルスの顔が大きく仰け反る。
がら空きになったその胴体に、ランゼの拳が膝が、肘が、突き刺さった。
構わず、ボルスは手を伸ばした。
ゴツイ、そしてつい今しがたランゼの手首を無造作に骨折させた指が、大きく開いて、ランゼの肩を掴む。
「ハッ!!」
ランゼの身体が、コマのように回転した。
ボルスの身体が合わせてぐるりと、一回転し、地面に叩きつけられる。
周りを行き交う人々が、ここで闘争が行われていることに、気づいたのはこのときだ。
達人同士の戦いらしく、互いに目立つ拳法の構えなどとらずに、まったくの自然体から闘いを初めていたのである。
ザワザワと、人々が遠巻きに、二人を見つめる。
何人かが、ウィルズミラーを取り出している。
この様子を記録か、あるいは、このまま配信しようとしているのかもしれない。
叩きつけられたボルスは、平然と体を起こした。
体についた土塊を払い落とす。
この男は。
ランゼの攻撃を、しかもそのうちのいくつかは、十分に虚をついた、重い一撃だったにも関わらず、まったく、効いていないのだ。
そもそも、ボルスは、攻撃をしていたのだろうか。
彼のやったことは、ランゼの手首を骨折させた。
それだけである。
ジオロは、遠巻きに取り囲む群衆の先頭にたっめいて、すっかり傍観者だった。
腕組みをしたまま、不快そうに、ランゼを睨んだ。
「なんで、徒手格闘の腕ばかり、上達している?」
「勤務時間以外になにを研鑽しようが、わたしの勝手でしょう?」
「いや、魔道院の事務局長が、だな。」
「魔道と武道の融合こそが、究極の力だと、判断したからです!」
ランゼは、上下揃いのスーツ姿だ。
タイトなシルエットが、似合いそうなスレンダーで、手足の長い体系なのに、あえて、あちこちに遊びをもたせて、スーツを仕立てているのは、本気でいつでも体を動かせるように、意識しているのだろう。
「わかっていると思うが。」
ジオロは、冷徹に言った。
「そのポルスとかいう半端者は、おまえを倒す気は無い。それどころか、闘う気すらない。
グリシャム・バッハが、命じた、俺たちの両手両足を折って、列車に放り込め、という命令を忠実に実行しているだけだ。」
ボルスは、のろのろと。一見、そう見える動作で、ジオロを見やった。
「…ハンパモノ? そう言ったか?」
「うむ。言った。」
からかうように、ジオロは、笑った。
「本来、研鑽によって得るべき力を、安直でしかも、稚拙な人体強化手術によって、カバーしているあたりは、はっきり言って、愚の骨頂だ。
おまえは、グリシャムの命令であえて、拳の勝負に持ち込まず、ランゼの体を破壊することに専念してみせたが、それはそれで、まあ、正解だな。
拳士としての勝負では、おまえはすでにボロ負けだ。
ランゼの方が技量もふくめて、あらゆる面でおまえよりもはるかの高みにいる。」
ボルス。
統一帝国中央軍の拳士は、ゆっくりと振り向いて、腰を落とした。
拳は片方を、顔面をガードしやすいように、顎の辺りにあげ、もう片方は腰だめ。
「ランゼの打撃は、充分“理”にかなったものだ。それがまったくダメージにならないとすると」
ボルスの姿は、息を飲んで見守る群衆からは、掻き消えたように見えただろう。
だが、突進した瞬間。
さらに踏み込んできたジウロが、ボルスを抱きとめていた。
「かわしたら、周りの人々にまで、危害がおよぶ。それを計算しての突進からの攻撃なんだろうが、そういうのは、俺は好かんな。」
本当に。
ジオロは、ボルスを抱きしめたままだった。
ボルスの顔が、怒りと困惑に歪む。
このタイミングで、動けるのなら、カウンターで、一撃を放つことも可能だったはずなのに、ジオロは、そうしなかった。
「あるいは、俺がおまえの動きに合わせて、打撃を打ち込むことも想定して居たのかもしれん。攻撃を。それも会心の一撃を繰り出したあとというのは、どうしても動きがとまる。そこを狙う、か。だが」
とんと、ジオロは、ボルスを突き放した。
よろよろと、よろけたボルスは、しかし、転倒はせずに再び、構えをとったが。
その顔が狼狽したように、歪んだ。
ジオロの手には、ちょうど、ウィルズミラーほどの大きさの楕円形の物体が握られていた。
それは、つい今しがたまで、ボルスの腰に装着されていたものだった。
「打撃に合わせて、瞬間的に身体に沿って、障壁を作り出す。竜鱗に似た性能をもつ防護壁だ。だが性能はたいしたことはない。」
「た、たいしたことないのですか?」
ランゼが叫んだ。
「わたしの攻撃では!まったくダメージを与えられなかったのに!」
「拳に魔力を乗せてみろ。竜鱗を突破するには、物理プラス魔力がもっとも有効なんだ。」
「そうなんですかっ!?」
「常識だろう? 古竜を屠ったと言われる伝説の魔剣は、みんな魔力の付与がかかってるだろうに。こんなことはドロシーなら、教えずとも実行していたぞ?」
「伝説の銀雷の魔女と一緒にしないでくださいっ!!」
ジオロは、にやりと笑って、ボルスを手招きした。
「さて、ここからは、再び、我ら魔道院の誇る事務局長が相手をしよう。言っとくが、事務局長だからな。負けたら末代までの恥と思え。、、」
「ジオロ。」
ランゼが泣きそうな声出言った。
「なんだ? これでおまえの打撃は充分通じるぞ? こいつの身体強化は、粗雑で低レベルだ。さっきの調子で、打撃を叩き込んでやれば、それでケリがつく。」
「手くびが、痛いですう。」
ランゼは、おられた手首を持ち上げた。
ため息をついて、ジオロは、ボルスと向き合った。
ボルスが、このジオロという、事務局長の側づきの若者の正体を知っていたとは、思えない。
だが、その表情はすでに、絶望に暗く染まっていた。
もう、ランゼには、なんの興味もないといったふうに。
ランゼ自身は、グリシャム・バッハとは、面識はあった。魔道院は、単なる名門校ではなく、人間が魔法を研鑽するにあたっては、最高峰の研究機関であり、彼女は若くしてそこの事務局長だったのだ。
しかし、ここまで、傲岸不遜な人物だとは思っていなかった。
抗議のため、呼び止めようとした彼女の手首を、ポルスと呼ばれた拳士が掴んだ。
軽い音だった。
枯れ木が、折れる音だった。
呆然と、ランゼは自分の手をみつめた。
手首から先が、あらぬ方向をむいている。
激痛が、行動を鈍らせる前に、ランゼは痛覚を遮断した。
もう片方の二の腕を掴もうとしたポルスの腹に、膝を打ち込んだのだ。
顔を顰めて、一歩後退したボルスの顎を、ランゼの周り蹴りが捉えた。
「先に行っている。」
構わず、歩きながら、振り返りもせずに、グリシャム・バッハは言った。
「あまり遅くなるな。」
「御意。」
ボルスは、短く答えた。
ランゼにむかって、腕を伸ばす。その腕を掻い潜りながら、身を沈めたランゼは、飛び上がる勢いを利用して、膝を顎に、ヒットさせた。
ボルスの顔が大きく仰け反る。
がら空きになったその胴体に、ランゼの拳が膝が、肘が、突き刺さった。
構わず、ボルスは手を伸ばした。
ゴツイ、そしてつい今しがたランゼの手首を無造作に骨折させた指が、大きく開いて、ランゼの肩を掴む。
「ハッ!!」
ランゼの身体が、コマのように回転した。
ボルスの身体が合わせてぐるりと、一回転し、地面に叩きつけられる。
周りを行き交う人々が、ここで闘争が行われていることに、気づいたのはこのときだ。
達人同士の戦いらしく、互いに目立つ拳法の構えなどとらずに、まったくの自然体から闘いを初めていたのである。
ザワザワと、人々が遠巻きに、二人を見つめる。
何人かが、ウィルズミラーを取り出している。
この様子を記録か、あるいは、このまま配信しようとしているのかもしれない。
叩きつけられたボルスは、平然と体を起こした。
体についた土塊を払い落とす。
この男は。
ランゼの攻撃を、しかもそのうちのいくつかは、十分に虚をついた、重い一撃だったにも関わらず、まったく、効いていないのだ。
そもそも、ボルスは、攻撃をしていたのだろうか。
彼のやったことは、ランゼの手首を骨折させた。
それだけである。
ジオロは、遠巻きに取り囲む群衆の先頭にたっめいて、すっかり傍観者だった。
腕組みをしたまま、不快そうに、ランゼを睨んだ。
「なんで、徒手格闘の腕ばかり、上達している?」
「勤務時間以外になにを研鑽しようが、わたしの勝手でしょう?」
「いや、魔道院の事務局長が、だな。」
「魔道と武道の融合こそが、究極の力だと、判断したからです!」
ランゼは、上下揃いのスーツ姿だ。
タイトなシルエットが、似合いそうなスレンダーで、手足の長い体系なのに、あえて、あちこちに遊びをもたせて、スーツを仕立てているのは、本気でいつでも体を動かせるように、意識しているのだろう。
「わかっていると思うが。」
ジオロは、冷徹に言った。
「そのポルスとかいう半端者は、おまえを倒す気は無い。それどころか、闘う気すらない。
グリシャム・バッハが、命じた、俺たちの両手両足を折って、列車に放り込め、という命令を忠実に実行しているだけだ。」
ボルスは、のろのろと。一見、そう見える動作で、ジオロを見やった。
「…ハンパモノ? そう言ったか?」
「うむ。言った。」
からかうように、ジオロは、笑った。
「本来、研鑽によって得るべき力を、安直でしかも、稚拙な人体強化手術によって、カバーしているあたりは、はっきり言って、愚の骨頂だ。
おまえは、グリシャムの命令であえて、拳の勝負に持ち込まず、ランゼの体を破壊することに専念してみせたが、それはそれで、まあ、正解だな。
拳士としての勝負では、おまえはすでにボロ負けだ。
ランゼの方が技量もふくめて、あらゆる面でおまえよりもはるかの高みにいる。」
ボルス。
統一帝国中央軍の拳士は、ゆっくりと振り向いて、腰を落とした。
拳は片方を、顔面をガードしやすいように、顎の辺りにあげ、もう片方は腰だめ。
「ランゼの打撃は、充分“理”にかなったものだ。それがまったくダメージにならないとすると」
ボルスの姿は、息を飲んで見守る群衆からは、掻き消えたように見えただろう。
だが、突進した瞬間。
さらに踏み込んできたジウロが、ボルスを抱きとめていた。
「かわしたら、周りの人々にまで、危害がおよぶ。それを計算しての突進からの攻撃なんだろうが、そういうのは、俺は好かんな。」
本当に。
ジオロは、ボルスを抱きしめたままだった。
ボルスの顔が、怒りと困惑に歪む。
このタイミングで、動けるのなら、カウンターで、一撃を放つことも可能だったはずなのに、ジオロは、そうしなかった。
「あるいは、俺がおまえの動きに合わせて、打撃を打ち込むことも想定して居たのかもしれん。攻撃を。それも会心の一撃を繰り出したあとというのは、どうしても動きがとまる。そこを狙う、か。だが」
とんと、ジオロは、ボルスを突き放した。
よろよろと、よろけたボルスは、しかし、転倒はせずに再び、構えをとったが。
その顔が狼狽したように、歪んだ。
ジオロの手には、ちょうど、ウィルズミラーほどの大きさの楕円形の物体が握られていた。
それは、つい今しがたまで、ボルスの腰に装着されていたものだった。
「打撃に合わせて、瞬間的に身体に沿って、障壁を作り出す。竜鱗に似た性能をもつ防護壁だ。だが性能はたいしたことはない。」
「た、たいしたことないのですか?」
ランゼが叫んだ。
「わたしの攻撃では!まったくダメージを与えられなかったのに!」
「拳に魔力を乗せてみろ。竜鱗を突破するには、物理プラス魔力がもっとも有効なんだ。」
「そうなんですかっ!?」
「常識だろう? 古竜を屠ったと言われる伝説の魔剣は、みんな魔力の付与がかかってるだろうに。こんなことはドロシーなら、教えずとも実行していたぞ?」
「伝説の銀雷の魔女と一緒にしないでくださいっ!!」
ジオロは、にやりと笑って、ボルスを手招きした。
「さて、ここからは、再び、我ら魔道院の誇る事務局長が相手をしよう。言っとくが、事務局長だからな。負けたら末代までの恥と思え。、、」
「ジオロ。」
ランゼが泣きそうな声出言った。
「なんだ? これでおまえの打撃は充分通じるぞ? こいつの身体強化は、粗雑で低レベルだ。さっきの調子で、打撃を叩き込んでやれば、それでケリがつく。」
「手くびが、痛いですう。」
ランゼは、おられた手首を持ち上げた。
ため息をついて、ジオロは、ボルスと向き合った。
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