第三帝国再建物語

帝国再建編

２．

ヒトラーが言った言葉に、周囲に居た者達は異世界の世界征服宣言ともとれる発言に一瞬ゾワゾワとためらった感じの空気が流れた。

だが、ようく考えればこの異世界は中世ヨーロッパ風の格好かっこうをした者しか居ないので容易く赤子の手を捻ひねるように事が進むはずだと、その場に居た将兵は思ったのか
「おおー」
と直ぐに声が出た程だった。

そして、ヒトラーは
「まずは、平和的に裏工作から始めなければならない。だから、この異世界に暮らす生命体がどういうもので、どういった言葉を喋り、どのような暮らしをしているか知る必要がある」
とはっきりとした口調で言ったのであった。

すると、それに国防軍の中将が答えた。

「それならば、ちょっと前にだいたいの言葉を片言ではありますがまとめております。それと、私の部下を三個小隊程を現在付近の村に派遣して情報収集をする任に当たっております」

それに、ヒトラーは
「民心を掌握しょうあくするには、言葉を覚えなければならん」
と言った。

ヒトラーは、この頃から言葉を覚えるのに必死になって周りの声も聞こえない程になった。




その頃、偵察に向かっていた第二小隊は荷台の付いたバイクを先頭に半装軌車が続くかたちで村の広場に停車させた。

始めのうちは、村の人間が家から顔を出したりドアの隙間から覗のぞくという状態だったが、次第に村人は物珍しさから第二小隊の周りにゾロゾロと集まって来て、村長らしき人も出て来た。

そこで、第二小隊の隊長であるヴェルナー隊長は村長に片言で尋たずねる事にした。
「ダーヴェルシェー」
と挨拶をして、
「この村を統治しているのは、あなたですか」
と尋ねると軽く頷うなずいた。

それから、
「この村から東にある城の事で、何かご存知ではありませんか」
と尋ねると村長は、
「あそこには、ワイマル帝国の一城主であるフォンド伯爵はくしゃくが周りの村々を統治しております。ですので、こうして村人達は麦を収穫しゅうかくして、それをお金に変えてそのうちの二割を城主であるフォンド伯爵に納入のうにゅうするようになっております」
と言ったのに対してヴェルナーは、
「お金とは、どのような物をお金というのですか」
と尋ねると村長が銀の顔が彫ってあるコイン状の物を取りだして、
「このコインの顔は、帝国の君主であるザルツ皇帝で大体五枚(五カイン)で金貨一枚(一カンツ)くらいになる」
と言ったのだった。

そして、最後に村長からこんな情報が入った。
「ここら辺には居ないのだが小さなドラゴンをワイマル帝国やその他の国々でも軍用としてもっている」
らしかった。

それから、第二小隊の面々はその日のうちの情報収集をなんとか終了させて最高司令部へと、急いで帰投したのであった。