第三帝国再建物語

帝国再建編

８．

ヒトラーがなんとしても救出しろと、急かした旅団は結局高貴な身分の女性を救出するのに成功した。



その頃、強行偵察に出ていたモーデル元帥はというとIII号戦車七輛で敵の攻撃に遭う事なく無事、森林地帯を抜ける事に成功した。

森林を抜けると、樹々が全くない草原地帯に出た。

そこで、モーデル元帥は大胆に攻める事にした。

III号戦車を楔型くさびがた(パンツァー・カイル)の隊形で前進する事にしたのだ。

モーデル元帥は、キューポラから外を見ていたのをハッチから身を半分乗り出すような態勢で外を見る事にした。

それから、かれこれ十分が経つか経たないかしている時の事だった。

いきなりモーデル元帥は、肩にかけていた双眼鏡でその方向を見た。

すると、ワイマル帝国軍の物と思われる陣地が目に入ったのであった。

戦車隊を一時停止させると、最高司令部に電文を素早くうった。

それから、戦車隊でぐるりと陣地の周りを右に二輛、左に二輛を偵察に出してモーデル元帥の戦車とあとの二輛の戦車は、敵の動きを探っていた。

そして、偵察が何事もなく終える事に成功した。

この時、ワイマル帝国軍の兵士は生まれてから一度も見た事のない戦車を怪物か何かと思って手が出せなかったのだった。

モーデル元帥は、早速村の司令部に戻ると敵陣の偵察に出していた戦車に乗っていた各々の車長の報告をまとめて、作戦を練っていた。

その頃、最高司令部では高貴な身分の女性を乗せた輸送車が到着した所だった。

そして、ヒトラーは待ってましたとばかりに覚えたばかりの異世界の言葉で出迎えた。

それから、拘留されていた高貴な身分の女性とお付きの者達を入浴させ、新しい服と温かい食事を与えた。

ある程度、状態が言えるくらいに落ち着いてきたように見えたのでヒトラーはひとまず尋ねる事にした。

「あなたは、小国の指導者ですか？」

それに、女性はこくりと頷いてから
「私は、クリスティーナ」
と言い立て続けに
「この辺りにあった小国のエルフで初めての女王となった者だ」
と言ったのであった。

ヒトラーは、クリスティーナの耳元を見ると本当に尖とがった耳をしていてエルフだという事がわかった。

そして、ヒトラーは
「この小国では、選挙…つまり民によって指導者が選ばれるという事を聞いたのですが、本当ですか？」
と聞いた。

クリスティーナは、静かに頷いた。

そして、
「何故、その事をあなたは聞くのですか？」
と言うとヒトラーははっきりと言った。

「私は、この小国をもっと大きくして民を安寧あんねいと平和に導きたいと思っております」
と言った。

それにクリスティーナは、一瞬驚いた顔をした。

それもそのはず、彼女は女王になってまだ一年しか任期を果たしていなかったのであった。

その事を聞いたヒトラーは、
「ならば、残りの任期を果たしてからではどうですか？」
と聞いた。

それには、流石にクリスティーナも良いと言ったのでひとまず元の小国のあった地域奪還を目的として小国であるサラミナス国と、ヒトラー率いるドイツ第三帝国は共同してワイマル帝国に反旗をひるがえすべく動き出したのであった。