第三帝国再建物語

篠田 雄亮

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帝国再建編

18.

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これは、ヒトラーが帝国の工作員による帝都潜入を知るまでの事である。

情報が、まだあまり足りていなかったのだがワイマル帝国の帝都であるハルドラントの所在は判明していたので、輸送機(ユンカースJu52)三機からパラシュートによる降下作戦が開始されたのだった。

深夜零時の月明かりの中、輸送機三機にそれぞれSSのエリートである降下猟兵が乗り込んで、輸送機の両翼に付いているプロペラが回転し始めた。

そして、一機ずつ滑走路から飛び立って行った。

輸送機が、飛び立つと先に飛んでいた戦闘機(フォッケウルフFw190)四機に護送されながらワイマル帝国帝都ハルドラントに向けて進んでいった。



その頃、陸路から農民を装って帝都にある程度拠点を築いていたSSの別の部隊が、降下予定地に何人か草原に居て来たら持っている鏡を月明かりにチカチカと反射させて、上空からわかるようにしていた。

そして、深夜二時になろうかという時に遠くから微かに輸送機のエンジン音が聞こえてきたので鏡を反射させた。

すると、輸送機から降下猟兵が次々と飛び降りて輸送機が過ぎた辺りに白い花が咲き始めた。

それから、物の見事に降下予定地に訓練で鍛え抜かれた精鋭達総勢五十一人が降下して来た。

降下すると、手慣れた手つきでパラシュートを手繰り寄せて近くの茂みにそのパラシュートを隠した。

そして、全員集まったのを降下猟兵の指揮官であるマウザー大尉が確認すると、近くの道に停車させていた馬車に全員を収容して移動を開始した。

馬車で、山を三個超える頃には若干白み始めていたので馬車を飛ばして拠点のある廃棄された農場に何とか、誰にも見られないように着いた。

着くと、マウザー大尉は降下猟兵に持ち物の確認を簡単に行なわせてその場を一旦解散させた。

解散すると、各々の兵士達は散らばっていった。

そして、マウザー大尉はこの拠点の責任者であるクロイツSS中佐に着任した事を伝えに行った。

農場に入ると、外観はそうでもないのだが内装はある程度改造されて住み心地の良いものになっていた。

農場の納屋の二階の指揮所へ、階段をコツコツとブーツを響かせながら行くといかにもそれらしい部屋があった。

マウザーは、ノックを三回すると
「入れ」
と中から返事が聞こえたので中に入った。

入ると、中にはいかにもプロイセン軍人らしい見た目の人物が執務をしていた。

マウザーは、ヒトラー式の敬礼をして
「降下猟兵所属マウザー大尉只今着任致しました!」
と声を張り上げて言った。

すると、
「よろしい…だが、ここでは、そうかしこまらなくて良いぞ」
と見た目とは裏腹に笑顔で言った。

マウザーは、一瞬驚いた表情をした。
何故だかというと、これまでSSではヒトラー式の敬礼をするのが一般的だったからであった。

そして、クロイツ中佐は
「今回君達が、合流してくれてこの拠点にいる兵士は丁度私も含めて二百人となった訳だが、敵の脅威は以前増え続けている」
とちょっと表情が険しくなった。

それもそのはず、モーデル元帥が東部戦線に部隊を集結させ始めてワイマル帝国の軍も兵力を増強し始めていたので外部との連絡は、無電と伝書鳩をおいてすっかり絶たれたも同然だったからである。

それから、マウザー率いる降下猟兵の活動は本格的に始まったのであった。


マウザーが、降下して三日が経った頃ある一人のワイマル帝国のガイル将軍が東部戦線から帝都に呼び戻されたので、配下の者を五十人位を率いて急ぎ帰っている途中の事だった。

よるなので、静まり返って誰も居ない林道を馬で通過しようとした時にいきなり小陰から何か光ったのが見えた。

それと同時に、ガイルの配下の者の中から次々と悲鳴が上がった。

それにガイルは、
「何事ぞ?」
と問うとパッと見ても雑兵が十人以上はやられたと見えたので慌ててこの場を去ろうとした時、ガイルの馬が撃たれて馬がいなないたと同時にガイルは馬から勢いよく落馬した。

それに、配下の者が
「将軍っ将軍をお守りしろ!」
と配下の足軽が言った。

それを雑兵が、周囲を覆うようにしていたのをさらに銃弾がシュパパパンと薙ぎ払った。

雑兵は、その場で死ぬか弾が当たってのたうち回るかしていた。

そして、ガイルが体制を立て直そうとして立つと上の方からサッと網の様な物が覆いかぶさってきて動けなくなった。

配下の足軽は、急いで網をどけようとした時
「動くな!」
と言われたのでその方向を見ると異様な格好をした者達が居た。

そんな中、切りかかろうとした一人が剣を抜いて向おうとするとパンと音がして仰向けに倒れた。

見てみると、すでに息絶えていたので大人しくその場に居たガイルを合わせて五人の者が林道の両脇に偽装していた降下猟兵に捕縛されてしまったのだった。
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