第三帝国再建物語

帝国再建編

20．

外交官が、動き始めてというものワイマル帝国の北西部を統括する属国のイワン国では国の英雄である将軍が僅かな配下と共に、一ヶ月前に行方不明になったというのだった。

捜索隊が前線から後を辿って行くと、将軍は前線から呼び戻されて、帰っている途中に襲撃を受けほとんどの配下や雑兵を尽く殺されて、拉致されたものと考えられた。

その為、イワン国の国王であるセルゲーエフ国王はやっと待ちに待った一人息子であったガイルを失ったと思った時終始落胆していた。

実は、イワン国の国王も出陣しなければならなかったが病床に伏せていたので辛うじて免除されていたのであった。


そんな中、敵国の使者を名乗る者がヒトラーが書いた勅使を携えて宮殿に箱馬車にゆられてやって来たのであった。

これに最初は、謀反を疑われて国王一家共々皆処刑となったらたまったものではなかったので軽くあしらおうとしたのだが、
「貴国の捕虜であるガイル将軍を返しに来た！」
と大声でいったので、セルゲーエフは宮殿のベランダから身を乗り出すようにして追い出そうとした衛兵を止めた。

そして、従士の者三人に宮殿の講堂まで案内させた。

講堂に外交官が来ると、講堂の玉座に腰掛けたセルゲーエフに挨拶した。

この時に、ヒトラーが差し向けた外交官はヨアヒム・フォン・リッベントロップだった。

それにセルゲーエフは、興奮気味に
「さっき…其方が言った事は、誠か？」
「ガイル…息子が、生きておるのは本当か？」
とセルゲーエフの早口が追いつかない状態になってしまっていた。

それに、リッベントロップは
「はい。確かに身柄を拘束させてもらっています」
と言うと国王は安堵のため息をついた。

そして、本題に入った。
「国王陛下…大変申しにくいのでありますが、交換条件といきませんでしょうか！？」
「交換条件とは、つまり国王陛下の息子であらせられるガイル将軍をこちらが解放する代わりに陛下はワイマル帝国に反旗をひるがえす、もしくはどんな要請にも応じないようにしてもらうといった事が条件なのでありますが、よろしいでしょうか！？」

それには、流石にセルゲーエフは顔に皺をあからさまに寄せて渋面を作った。
「どうしたものか…」
と考えて、
「…しばし、時間をくださらぬか？」
と言った。

これに、リッベントロップは驚いた顔をしたもののすぐに
「陛下が、そうなされたいと仰るなら…」
と一礼して、その場を立ち去った。

それから、何時間が過ぎたのかわからないくらい待たされた。

その間、リッベントロップはメイドに紅茶やお菓子などのもてなしを受けていた。

リッベントロップは、広場の椅子とテーブルが出ている所で紅茶を何杯してお菓子を何個食べただろうか、いよいよ満腹になりかけていた時の事だった。

セルゲーエフが、勢いよく宮殿のドアを開けてつかつかとリッベントロップの方へやって来た。

そして、
「私は、国王であると同時に一人の良き父親である。だから、その提案を受け入れる！」
と息をゼーハー言わせながら言った。

こうして、一つ目の障害が引き払われた。