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帝国再建編
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リッベントロップが、イワン国王であるセルゲーエフに要請をしてからというものワイマル帝国に拠点を築いていた、クロイツ中佐がマウザー大尉に馬車に国王の息子であるガイルとその配下数名を乗せてワイマル帝国とイワン国との国境を越えさせてセルゲーエフの所へ護送する事にした。
その時、護送をする事になったのはマウザー大尉とその部下である降下猟兵の中の経験の富んだ者総勢十一名であった。
護送する時の役割分担は、前方の警戒に二頭の馬に座乗した兵士二人と馬車の手網を担当するのが一人とその横にマウザー大尉で、後方と側面の警戒は馬車に乗った四人が担当し、残った三人がガイル達捕虜の見張りに付いたのであった。
捕虜と言ってもいまでは、ドイツ第三帝国とイワン国が条約を締結してからというもの大人しくなった。
そんなこんなで、気を抜くことなく夜通し進む事二日いよいよ国境に差し掛かろうという時だった。
国境の渓谷地帯を馬車で、曲がり切ろうとした時いきなり目の前に関所と言った方がいいのか検問所と言った方がいいのか、樅のきで軽くこしらえた柵が渓谷の出口を完全に塞いでいたので馬車で迂回する事ができそうもなかった。
この時の護衛に付いていた兵士の格好は、マウザー大尉と部下が死んだ雑兵から剥ぎ取った軽装備の鎧の格好であった。
だから、敗残兵を装う事にしたのだった。
仕方なくマウザーは、ガイル達が捕えられた時に味方の返り血を浴びて酷い有様だったので包帯を巻かせて重傷者を装う事にした。
その作業を手早く済ませると、配下の者に
「将軍が、重傷で生命が危ないと言え!」
と言った。
それに、配下の者達は静かにこくりと頷いた。
頷いたのを見届けると、関所へ行く事にした。
行くと、槍と腰に剣を下げた軽装備の雑兵とそれを指揮する重装備の鎧を着た者が、いかにも窮地を幾度となく切り開いた強者のような印象を醸し出していた。
そして、そこの指揮官がぶっきらぼうに
「お前達は、いったい何処の誰ぞ?」
と言ったので
マウザーは、すかさず、
「ベルゴグラードの戦線が、酷い痛手を受けた時にガイル将軍が重傷を負われたので、将軍以下数十名の生き残りの者が生命からがら戦線から離脱、撤退の最中であります!」
と言った。
すると、指揮官らしき男が馬車を舐め回すように見回してガイルを見てこう言った。
「傷の具合を確認する!」
と疑いぶかげに言うと馬車に乗ろうとした。
その時、ガイルの、配下の者が
「辞めろ!将軍は、今にも生命が危ういというのに…この無礼者が!」
それには、さすがに男はたじろいだ。
そして、
「ええい…お前等の事は知らん!さっさと目の前から消えろ」
と言った。
男は、顔を真赤にして
「属国の者が!」
と小声で罵倒したのであった。
配下の雑兵は、馬車の前を空けて道を広くし珍しく主人である男が属国の者に口で打ち負かされたのをただただ驚いた顔をして見ていた。
その時、それを言ったのはガイルの副官のニコラフスキーであった。
副官の階級でいうと、男より上らしいがイワン国はワイマル帝国の属国という事もあって下に見られがちだったのである。
そういう関係が、何十年間か続いているのでガイルと配下の者は
「もう…これ以上の戦はこりごりだ!」
と言った程いいようにこき使われていたのだ。
そして、マウザー達は無事刃を交える事もなく国境を越える事が出来たのであった。
だが、まだ半分の距離に差し掛かっただけであった。
その時、護送をする事になったのはマウザー大尉とその部下である降下猟兵の中の経験の富んだ者総勢十一名であった。
護送する時の役割分担は、前方の警戒に二頭の馬に座乗した兵士二人と馬車の手網を担当するのが一人とその横にマウザー大尉で、後方と側面の警戒は馬車に乗った四人が担当し、残った三人がガイル達捕虜の見張りに付いたのであった。
捕虜と言ってもいまでは、ドイツ第三帝国とイワン国が条約を締結してからというもの大人しくなった。
そんなこんなで、気を抜くことなく夜通し進む事二日いよいよ国境に差し掛かろうという時だった。
国境の渓谷地帯を馬車で、曲がり切ろうとした時いきなり目の前に関所と言った方がいいのか検問所と言った方がいいのか、樅のきで軽くこしらえた柵が渓谷の出口を完全に塞いでいたので馬車で迂回する事ができそうもなかった。
この時の護衛に付いていた兵士の格好は、マウザー大尉と部下が死んだ雑兵から剥ぎ取った軽装備の鎧の格好であった。
だから、敗残兵を装う事にしたのだった。
仕方なくマウザーは、ガイル達が捕えられた時に味方の返り血を浴びて酷い有様だったので包帯を巻かせて重傷者を装う事にした。
その作業を手早く済ませると、配下の者に
「将軍が、重傷で生命が危ないと言え!」
と言った。
それに、配下の者達は静かにこくりと頷いた。
頷いたのを見届けると、関所へ行く事にした。
行くと、槍と腰に剣を下げた軽装備の雑兵とそれを指揮する重装備の鎧を着た者が、いかにも窮地を幾度となく切り開いた強者のような印象を醸し出していた。
そして、そこの指揮官がぶっきらぼうに
「お前達は、いったい何処の誰ぞ?」
と言ったので
マウザーは、すかさず、
「ベルゴグラードの戦線が、酷い痛手を受けた時にガイル将軍が重傷を負われたので、将軍以下数十名の生き残りの者が生命からがら戦線から離脱、撤退の最中であります!」
と言った。
すると、指揮官らしき男が馬車を舐め回すように見回してガイルを見てこう言った。
「傷の具合を確認する!」
と疑いぶかげに言うと馬車に乗ろうとした。
その時、ガイルの、配下の者が
「辞めろ!将軍は、今にも生命が危ういというのに…この無礼者が!」
それには、さすがに男はたじろいだ。
そして、
「ええい…お前等の事は知らん!さっさと目の前から消えろ」
と言った。
男は、顔を真赤にして
「属国の者が!」
と小声で罵倒したのであった。
配下の雑兵は、馬車の前を空けて道を広くし珍しく主人である男が属国の者に口で打ち負かされたのをただただ驚いた顔をして見ていた。
その時、それを言ったのはガイルの副官のニコラフスキーであった。
副官の階級でいうと、男より上らしいがイワン国はワイマル帝国の属国という事もあって下に見られがちだったのである。
そういう関係が、何十年間か続いているのでガイルと配下の者は
「もう…これ以上の戦はこりごりだ!」
と言った程いいようにこき使われていたのだ。
そして、マウザー達は無事刃を交える事もなく国境を越える事が出来たのであった。
だが、まだ半分の距離に差し掛かっただけであった。
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