第三帝国再建物語

篠田 雄亮

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帝国再建編

33.

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作戦遂行中の日本軍各隊は、あらかじめ決められていた所定の進出地点に着いて、そこから各々の敵陣地に怒涛の如き勢いで攻撃した。

その時を同じくして、後方の敵空軍主力が駐屯しているサザーランド空軍基地では、各防御陣地からの報告や増援要請、空爆要請が相次いでいた。

だが、先のドイツ空軍との空戦で大勝し、各防御陣地でも、もちこたえたからという理由で楽観的な雰囲気が後方の至る陣地にただよっていた。

なかでも、イギリス空軍サザーランド基地司令官までもが二機編隊の戦闘機を二度にわたって敵に対して迎撃をすればすぐ敵は、簡単に退くだろうと考えていたのである。

そして、いざ準備を整えて二機編隊の戦闘機を出そうとした時には、〇五〇〇になっていたので朝日が上り出して明るくなろうかという時であった。

朝日を背に、日本海軍が誇る零式艦上戦闘機零戦が大編隊を組んで現れたと同時に編隊をパッと解いて、一機ずつばらけた。

それは、ショットガンで例えるなら一つの弾丸しか装填していないはずなのに、発射して着弾させた所を見ると、弾痕は円状に無数の穴をうがつのと似ていた。

それを見ていた兵士達は、呆気に取られた。

そうこうしているうちに、機銃掃射を地上に居たありとあらゆるものに浴びせた。

その時、ようやく一機戦闘機が離陸に成功した。

それに、続こうとした後続の機は残念ながら零戦のバルカン砲によっていとも簡単に戦闘機に乗っていた搭乗員ごと滑走路上でズタズタのひき肉同然に仕上げてしまった。

飛び立った一機目は、自分を除いて一機も友軍機が居ないことを悟と更に後方に何機もの零戦に狙われながらも命からがら撤退することができた。

地上では、相変わらず滑走路を走り回りながら当たるともしれない短機関銃や機関銃、速射砲等でただ闇雲に、狂った様に弾をばらまいていた。

だが、これに恐れを知らぬ搭乗員は果敢に攻撃を仕掛けては反転してまた攻撃の機会を伺いつつ、ここぞという時に攻撃を上手くかけるボクシングの技に凄く似ていた。

この様に、後方でも物凄い激戦を繰り広げていたのであった。

それは、魔の山に元々居る魔術師が現れたのである。

相変わらず、ファンタジー世界ではトレードマーク的な存在であるほうきに乗っていた。

だが、後ろにオーストリア兵を載せているところを見ると、日本の戦国時代に槍等を持った騎兵の後ろに、鉄砲隊を乗せて敵に一撃必殺の弾丸を一発撃つと鉄砲を捨て、地上で腰に下げた刀で歩兵として戦うのに似ていた。

これが、枢軸軍の優勢を打開すべく考案された新兵科の魔導部隊であった。
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