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5月
球技大会 side黎
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陽ちゃんが片付けを始めたので、自分も本をゆっくり片づける。ゆっくり片づけると、陽ちゃんに教室の前で会える可能性があがるのだ。司書さんに挨拶をして、1Dの教室に向かう。教室のある廊下につくと、反対側から陽ちゃんたちがくるのがみえた。うれしくなって、駆け寄ろうとしたら、
「・・・秋野さんに告っちゃえば?」
「いんじゃね?お前らお似合いだよ、美男美女で。」
そのまま、陽ちゃんは僕に気付かずに教室に入ってしまった。
「そっか。好きな人、できたんだ・・・」
当然だけど、陽ちゃんはモテる。運動出来て、かっこよくて、優しい。もてないわけがないのだ。小学校の時も中学校の時も、付き合ってる子はいた。だから、べつに、慣れてるし。けど、やっぱり、胸が痛いのだ。ずきずきと、痛むのだ。絶対にかなわない片思いだと、知っていても。
「・・・であるからして~」
授業中、陽ちゃんは前に座ってるから、嫌でも視界にはいる。みていると、ちょくちょく秋野さんを見ているのにきづいた。秋野さんは、クラス1の美人だ。入学した時から評判だった。ちょっと髪を染めてて、巻いてあって、お化粧もしてて。派手な感じで、いわゆる今どきの女子高生というのだろうか。でも、派手すぎるわけではなく、上手に自分の可愛さを引き立ててるという感じだった。性格もわりとさっぱりめで、ダンス部。女子からの人気も高い。よくもてる。陽ちゃんは、昔からはっきりした顔立ちの気の強い子がタイプだったから、秋野さんはドンピシャだと思う。
さっき、小暮君が、球技大会後に告れみたいなことを言っていた。きっと、付き合うことになるだろう。さびしいけど、我慢するしかないなと、何度目かわからないあきらめの準備をした。
*****
「きゃーーーー!!日村くーん!!」
「がんばってーーー!!」
なんと、2年生も3年生もいるのに、1Dのサッカーは、準決勝まで駒を進めていた。陽ちゃんたちサッカー部が中心となって、先輩たちにひけをとらないプレーをしていた。先輩、先生方も注目していて、試合前に女の先輩から声をかけられているのをみかけた。
「あいかわらずすごいね~陽太は。僕らは二回戦敗退だったけど。」
「・・・うん。」
春川君。小中一緒で、僕が話せる数少ない人でもある。
「そういや、陽太、球技大会おわったら秋野さんに告るんだろう?」
「・・・らしい。」
「こんなに活躍して、フラれる方が難しいかもな~」
「陽ちゃん、かっこいいし。」
「うんうん。同性から見ても、あこがれるな~あ、陽太、がんばれー!」
ボールが陽ちゃんに渡され、陽ちゃんがドリブルをしてゴールに向かう。
「きゃーーー!すごい、先輩を3人も抜いたっ!」
「日村くーーーん!!!」
シュート。
時間が、止まったかと思った。あまりにもかっこよくて。
ボールはきれいな弧を描いて、ゴールへ。
「きゃーーーー!!!!」
「すごーーーい!!!」
ピーッ
「終わっちゃった・・・3対2で・・・1Dの負けかぁっ!おしかったなぁ~」
ものすごく悔しそうな顔をして汗をぬぐっている陽ちゃん。整列してあいさつして、こっちへ戻ってきた。
「日村、すげーよ、3年相手に!」
「さっすがスポーツ推薦。」
「日村、これ。」
「おぉ、さんきゅ。」
陽ちゃんにタオルを差し出す秋野さんを見て、足が止まる。
「秋野、なになにお前らつきあってんの!?」
「いや?私が一方的に好きなだけ。」
「まじ?俺も好き。」
「ほんと!?じゃ、付き合う?」
「いいよ。よろしく。」
秋野さんの突然の告白に時間が止まっている1Dメンバーを置いてけぼりにして、なんかさくさくと付き合うことになっていた。
「え、え!?」
「まて陽太、そんなさらっとした感じでいいの!?」
「いや、よくね?真姫は別にいいだろ?」
「陽太らしくていい。まだるっこしいの苦手だし。」
「お前らこの一瞬でリア充になって、もう呼び捨てかよぉぉぉぉぉ」
「明良も彼女作れば?」
「むかつくわぁぁぁぁイケメンがっ!」
お祭り騒ぎになった場を、そっと離れる。このままいたら、苦しくてどうにかなりそうだった。
「大丈夫?黎。」
「・・・隼くん?」
「うん。昼休みなのに、教室いないからみんな心配してたよ。」
「・・・食べるとこ、自由でしょ?」
「そうだけどさ。陽太、すっごい心配してたよ。どっかで倒れてないかって。でも、今日の主役で抜けられないからさ。俺が代わりに探しに来た。」
「そっか・・・」
「黎は、まだ陽太が好き?」
「・・・うん。」
「まぁ、そうだよなぁ。秋野と付き合いだしたの見て逃げるくらいだし。」
そういいながら、隣に座って弁当を広げだす。
「隼君も、ここで、食べるの?」
「だめ?食べるとこは自由・・・でしょ?」
「うっ・・・」
それから、二人で黙々と食べた。隼くんは、いつも僕に合わせてくれる。気配りが上手なのだ。
「答えなくてもいいけど。黎さ。女の子じゃ、だめなの?」
食べ終わったころ、するっと隼くんが聞いてきた。
「だめ・・・なのかな・・・?」
「なんだそれ~でも、男じゃないとだめってわけじゃ、ないんだろ?」
「え?わっ隼くん!?」
そういうと、隼くんが突然、僕を押し倒して顔をちかづけてきた。まるで、キス、するみたいな、距離まで。
「え、えっ!?」
「あはは、ごめんごめん。でもさ、べつにどきどきしないだろ?」
そういいながらぱっと離れる。
「黎さ、女の子可愛いって思うこともあるよね?」
「それは・・・あるけど・・・」
「じゃあさ~もう陽太はあきらめて、女の子と付き合っちゃいなよ。もしくは、俺と。」
「隼・・・くん・・・?」
どうしちゃったんだろう、隼くんらしくない。
「なぁんてね、2つ目のはうそうそ。でもさ小学校のころからずっと陽太のこと好きな黎をみてると、心配になるんだ。正直、かわいそうでみてられない。」
「隼くん・・・」
真面目な顔で、じっとみつめてくる。と、突然ふわっとしょうがないなーという風に、笑った。
「それでも、きっと黎は陽太のこと好きなんだろうなー。」
「うん。ごめんね・・・」
「謝らなくていいよ。しかし、妬けるなぁ。陽太、こんなに好かれてるのにほっとくなんて。俺なら絶対、黎を選ぶね。」
「隼くん、ありがと。」
「おう。でも、黎のこと好きな女の子もいっぱいいるんだから、別に陽太だけじゃなくていいんだぞ?」
そういってくしゃりと頭を撫でてくれる。くすぐったくて、でも隼くんの心配が伝わってきてうれしかった。
「んじゃ、教室戻ろうか。」
「うん。」
陽ちゃんを、無理だとわかってても、あきらめられない。きっと、これからも、ずっと
あのあとサッカーは3位決定戦に勝ち、1年生として初の入賞。それ以外はふるわずという結果に終わった。
「・・・秋野さんに告っちゃえば?」
「いんじゃね?お前らお似合いだよ、美男美女で。」
そのまま、陽ちゃんは僕に気付かずに教室に入ってしまった。
「そっか。好きな人、できたんだ・・・」
当然だけど、陽ちゃんはモテる。運動出来て、かっこよくて、優しい。もてないわけがないのだ。小学校の時も中学校の時も、付き合ってる子はいた。だから、べつに、慣れてるし。けど、やっぱり、胸が痛いのだ。ずきずきと、痛むのだ。絶対にかなわない片思いだと、知っていても。
「・・・であるからして~」
授業中、陽ちゃんは前に座ってるから、嫌でも視界にはいる。みていると、ちょくちょく秋野さんを見ているのにきづいた。秋野さんは、クラス1の美人だ。入学した時から評判だった。ちょっと髪を染めてて、巻いてあって、お化粧もしてて。派手な感じで、いわゆる今どきの女子高生というのだろうか。でも、派手すぎるわけではなく、上手に自分の可愛さを引き立ててるという感じだった。性格もわりとさっぱりめで、ダンス部。女子からの人気も高い。よくもてる。陽ちゃんは、昔からはっきりした顔立ちの気の強い子がタイプだったから、秋野さんはドンピシャだと思う。
さっき、小暮君が、球技大会後に告れみたいなことを言っていた。きっと、付き合うことになるだろう。さびしいけど、我慢するしかないなと、何度目かわからないあきらめの準備をした。
*****
「きゃーーーー!!日村くーん!!」
「がんばってーーー!!」
なんと、2年生も3年生もいるのに、1Dのサッカーは、準決勝まで駒を進めていた。陽ちゃんたちサッカー部が中心となって、先輩たちにひけをとらないプレーをしていた。先輩、先生方も注目していて、試合前に女の先輩から声をかけられているのをみかけた。
「あいかわらずすごいね~陽太は。僕らは二回戦敗退だったけど。」
「・・・うん。」
春川君。小中一緒で、僕が話せる数少ない人でもある。
「そういや、陽太、球技大会おわったら秋野さんに告るんだろう?」
「・・・らしい。」
「こんなに活躍して、フラれる方が難しいかもな~」
「陽ちゃん、かっこいいし。」
「うんうん。同性から見ても、あこがれるな~あ、陽太、がんばれー!」
ボールが陽ちゃんに渡され、陽ちゃんがドリブルをしてゴールに向かう。
「きゃーーー!すごい、先輩を3人も抜いたっ!」
「日村くーーーん!!!」
シュート。
時間が、止まったかと思った。あまりにもかっこよくて。
ボールはきれいな弧を描いて、ゴールへ。
「きゃーーーー!!!!」
「すごーーーい!!!」
ピーッ
「終わっちゃった・・・3対2で・・・1Dの負けかぁっ!おしかったなぁ~」
ものすごく悔しそうな顔をして汗をぬぐっている陽ちゃん。整列してあいさつして、こっちへ戻ってきた。
「日村、すげーよ、3年相手に!」
「さっすがスポーツ推薦。」
「日村、これ。」
「おぉ、さんきゅ。」
陽ちゃんにタオルを差し出す秋野さんを見て、足が止まる。
「秋野、なになにお前らつきあってんの!?」
「いや?私が一方的に好きなだけ。」
「まじ?俺も好き。」
「ほんと!?じゃ、付き合う?」
「いいよ。よろしく。」
秋野さんの突然の告白に時間が止まっている1Dメンバーを置いてけぼりにして、なんかさくさくと付き合うことになっていた。
「え、え!?」
「まて陽太、そんなさらっとした感じでいいの!?」
「いや、よくね?真姫は別にいいだろ?」
「陽太らしくていい。まだるっこしいの苦手だし。」
「お前らこの一瞬でリア充になって、もう呼び捨てかよぉぉぉぉぉ」
「明良も彼女作れば?」
「むかつくわぁぁぁぁイケメンがっ!」
お祭り騒ぎになった場を、そっと離れる。このままいたら、苦しくてどうにかなりそうだった。
「大丈夫?黎。」
「・・・隼くん?」
「うん。昼休みなのに、教室いないからみんな心配してたよ。」
「・・・食べるとこ、自由でしょ?」
「そうだけどさ。陽太、すっごい心配してたよ。どっかで倒れてないかって。でも、今日の主役で抜けられないからさ。俺が代わりに探しに来た。」
「そっか・・・」
「黎は、まだ陽太が好き?」
「・・・うん。」
「まぁ、そうだよなぁ。秋野と付き合いだしたの見て逃げるくらいだし。」
そういいながら、隣に座って弁当を広げだす。
「隼君も、ここで、食べるの?」
「だめ?食べるとこは自由・・・でしょ?」
「うっ・・・」
それから、二人で黙々と食べた。隼くんは、いつも僕に合わせてくれる。気配りが上手なのだ。
「答えなくてもいいけど。黎さ。女の子じゃ、だめなの?」
食べ終わったころ、するっと隼くんが聞いてきた。
「だめ・・・なのかな・・・?」
「なんだそれ~でも、男じゃないとだめってわけじゃ、ないんだろ?」
「え?わっ隼くん!?」
そういうと、隼くんが突然、僕を押し倒して顔をちかづけてきた。まるで、キス、するみたいな、距離まで。
「え、えっ!?」
「あはは、ごめんごめん。でもさ、べつにどきどきしないだろ?」
そういいながらぱっと離れる。
「黎さ、女の子可愛いって思うこともあるよね?」
「それは・・・あるけど・・・」
「じゃあさ~もう陽太はあきらめて、女の子と付き合っちゃいなよ。もしくは、俺と。」
「隼・・・くん・・・?」
どうしちゃったんだろう、隼くんらしくない。
「なぁんてね、2つ目のはうそうそ。でもさ小学校のころからずっと陽太のこと好きな黎をみてると、心配になるんだ。正直、かわいそうでみてられない。」
「隼くん・・・」
真面目な顔で、じっとみつめてくる。と、突然ふわっとしょうがないなーという風に、笑った。
「それでも、きっと黎は陽太のこと好きなんだろうなー。」
「うん。ごめんね・・・」
「謝らなくていいよ。しかし、妬けるなぁ。陽太、こんなに好かれてるのにほっとくなんて。俺なら絶対、黎を選ぶね。」
「隼くん、ありがと。」
「おう。でも、黎のこと好きな女の子もいっぱいいるんだから、別に陽太だけじゃなくていいんだぞ?」
そういってくしゃりと頭を撫でてくれる。くすぐったくて、でも隼くんの心配が伝わってきてうれしかった。
「んじゃ、教室戻ろうか。」
「うん。」
陽ちゃんを、無理だとわかってても、あきらめられない。きっと、これからも、ずっと
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