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5月
苛立ち
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「・・・どうしたの、陽ちゃん?」
「あ、いや、別に・・・」
電車の中。いつもは逆のセリフ。いつものくせで何気なく黎をみたときに、形のいい薄い唇が視界に入り、動揺した。だって俺は、みて、しまったのだ。球技大会の日。裏庭で、
黎と隼が、キスをしているところを。
黎を心配して、いつもの場所に探しに行ったら、ちょうど、隼が黎を押し倒すところだったのだ。びっくりして、動けなくて。そのまま踵を返して教室に戻ってしまった。同性愛者に偏見があるわけではない。否定しようとも思ってない。けど、長くいる幼馴染二人が、そうで。キスまでしかも、学校でするような仲だったなんて・・・知らなかったこと、教えてもらえなかったことがショックだった。隠しているなら、追及してはいけないのだろう。でも、なんでもないようにふるまうのは、正直、厳しい。それでも俺は二人が・・・付き合っている、という事実を絶対誰にも言わないと心に誓った。
*****
「黎。俺、明日の朝から先に行く。」
「・・・え?」
「ちゃんと、起こしに行くし朝ご飯も作る。けど、作ったら先に行くわ。」
「なん・・・で・・・?」
「真姫を迎えに行くため。」
「・・・っ!」
本当だった。考えたのだ。隼と黎を密かに応援するにはどうすればいいか。そして、結論。
「代わりに、隼がそっち行く。だから、明日から隼と来てくれ。」
真姫と隼には話しを付けてあった。これならみんな傷つかず、幸せになれる。俺も、真姫と朝から来れる。一石二鳥だ。
「わかった・・・」
そういって、眠そうに机の上で丸まった。なにも、わがままも、疑問も言わない黎に、やっぱり俺じゃなくてもよかったのか、と。俺より隼がいいのか、と。ほんの少しそう思って。胸が痛んで。そんなことを思った自分が、馬鹿みたいでおもわずちょっと笑ってしまった。
*****
部活終わり。もう6時をこえている。黎は、帰りはいつも先に帰ってしまっていた。真姫はダンス部で同じ時間までやっているので、最近は一緒に帰ることが多かった。隼たちもいるので、二人きりじゃないのがちょっと残念だが。
「え!?よーた、毎日迎えに来てくれんの?一緒に登校!?やりっ!」
「真姫がよろこんでくれてよかったわ」
「そりゃあよろこぶよっ!」
「駅まで行くから、ちゃんと時間通り来いよ~?」
「よーたこそ、遅れるなよ?」
「お前らそういういちゃいちゃ、二人の時やれよ~」
「てか陽太。黎は?」
「ん?」
「秋野さんに言ってないの?」
「いうことでもなくね?」
「教えてよ、よーた!」
「あー別に毎日隣の家の黎を起こして一緒に登校してるだけ。」
「・・・通い妻?」
「ぶっwwww」
「幼馴染の枠を超えまくってるのはわかるけど、妻って・・・」
「そうじゃね?てかなんで?」
「あいつ、一人暮らしなんだ。生活能力もゼロだし。夕飯も、毎日俺の家で食ってく。」
「家族みたいだなーでも、いいの?私と行くことにして。」
「起こせば問題ないし。隼に迎えに行ってもらおうかと思ってるし。」
「は?なんで?」
「家近いだろ。心配なとこもあるから、迎えにってやって。」
「隼だけずりー俺も行く!」
「直輝まで・・・」
「頼んだ。」
「あーあーあーーーわかったよ・・・ったく・・・」
直輝もいるが、これで黎は隼と登校できる・・・よかった。黎は・・・黎には、今までのことをすべて忘れて、幸せになってほしいから。ほんとは、俺が幸せにしたか・・・って、それじゃまるで結婚するみたいじゃないか俺、と自分で自分にツッコミを入れてしまった。
「あ、いや、別に・・・」
電車の中。いつもは逆のセリフ。いつものくせで何気なく黎をみたときに、形のいい薄い唇が視界に入り、動揺した。だって俺は、みて、しまったのだ。球技大会の日。裏庭で、
黎と隼が、キスをしているところを。
黎を心配して、いつもの場所に探しに行ったら、ちょうど、隼が黎を押し倒すところだったのだ。びっくりして、動けなくて。そのまま踵を返して教室に戻ってしまった。同性愛者に偏見があるわけではない。否定しようとも思ってない。けど、長くいる幼馴染二人が、そうで。キスまでしかも、学校でするような仲だったなんて・・・知らなかったこと、教えてもらえなかったことがショックだった。隠しているなら、追及してはいけないのだろう。でも、なんでもないようにふるまうのは、正直、厳しい。それでも俺は二人が・・・付き合っている、という事実を絶対誰にも言わないと心に誓った。
*****
「黎。俺、明日の朝から先に行く。」
「・・・え?」
「ちゃんと、起こしに行くし朝ご飯も作る。けど、作ったら先に行くわ。」
「なん・・・で・・・?」
「真姫を迎えに行くため。」
「・・・っ!」
本当だった。考えたのだ。隼と黎を密かに応援するにはどうすればいいか。そして、結論。
「代わりに、隼がそっち行く。だから、明日から隼と来てくれ。」
真姫と隼には話しを付けてあった。これならみんな傷つかず、幸せになれる。俺も、真姫と朝から来れる。一石二鳥だ。
「わかった・・・」
そういって、眠そうに机の上で丸まった。なにも、わがままも、疑問も言わない黎に、やっぱり俺じゃなくてもよかったのか、と。俺より隼がいいのか、と。ほんの少しそう思って。胸が痛んで。そんなことを思った自分が、馬鹿みたいでおもわずちょっと笑ってしまった。
*****
部活終わり。もう6時をこえている。黎は、帰りはいつも先に帰ってしまっていた。真姫はダンス部で同じ時間までやっているので、最近は一緒に帰ることが多かった。隼たちもいるので、二人きりじゃないのがちょっと残念だが。
「え!?よーた、毎日迎えに来てくれんの?一緒に登校!?やりっ!」
「真姫がよろこんでくれてよかったわ」
「そりゃあよろこぶよっ!」
「駅まで行くから、ちゃんと時間通り来いよ~?」
「よーたこそ、遅れるなよ?」
「お前らそういういちゃいちゃ、二人の時やれよ~」
「てか陽太。黎は?」
「ん?」
「秋野さんに言ってないの?」
「いうことでもなくね?」
「教えてよ、よーた!」
「あー別に毎日隣の家の黎を起こして一緒に登校してるだけ。」
「・・・通い妻?」
「ぶっwwww」
「幼馴染の枠を超えまくってるのはわかるけど、妻って・・・」
「そうじゃね?てかなんで?」
「あいつ、一人暮らしなんだ。生活能力もゼロだし。夕飯も、毎日俺の家で食ってく。」
「家族みたいだなーでも、いいの?私と行くことにして。」
「起こせば問題ないし。隼に迎えに行ってもらおうかと思ってるし。」
「は?なんで?」
「家近いだろ。心配なとこもあるから、迎えにってやって。」
「隼だけずりー俺も行く!」
「直輝まで・・・」
「頼んだ。」
「あーあーあーーーわかったよ・・・ったく・・・」
直輝もいるが、これで黎は隼と登校できる・・・よかった。黎は・・・黎には、今までのことをすべて忘れて、幸せになってほしいから。ほんとは、俺が幸せにしたか・・・って、それじゃまるで結婚するみたいじゃないか俺、と自分で自分にツッコミを入れてしまった。
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