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5月
苛立ち side隼
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黎をみると、この前のことを思い出して心拍数が上がる。俺の好みは、大和撫子系の清楚女子なんだけど。黎の美貌は、何年みててもまったく見慣れない。直輝が言ってることを理解できなくもないのだ。なにしろ本当に、人間なのかを疑う美しさなのだ。線も細く、びっくりするくらい体毛もない。身長は高いし、髪も女子にしては短いかなという長さでやっと、あぁ男の子かと分かるレベルなのだ。小さいころはよく女装とかさせられていたが、これがまぁ絶世の美少女で。たしかにその時はちょっと・・・好み・・・というか、完璧に好みだったけど。でも、男だ。それが、裏庭で・・・
正直に言うと、くらっときた。黎を押し倒して黎を見下ろしたとき、このまま襲ってしまいたいとも、思った。
黎がずっと陽太が好きなことをわかっていなかったら、黎が俺相手に少しでも頬を赤らめたら・・・やばかったかもしれない。すぐにおちゃらけて、ごまかしたけど。黎とは別に普通に過ごせてる。けど・・・陽太が、おかしい。あいつは、嘘をつくのが信じられないレベルでへたくそだ。感情表現が、わかりやすいのだ。だからすぐわかる。あの、陽太が。黎を、溺愛してやまない陽太が・・・
黎を、避けている。
幼馴染として、あいつらを今まで見てきたが・・・こんなことは一度もなかった。直輝や俊哉も気が付いて、なにがあったのかとしつこく聞いてくる。だけど、俺としても全く、皆目見当がつかない。今まで黎がちょっと拗ねて陽太にあたる・・・みたいなことはあったけど。本当に、どうしたのだろうか。かわいそうなのは黎だ。「朝いっしょに行けない」と言われたことにショックを受け、陽太の前じゃなかったら、倒れそうなほどだった。体が弱く、身内にすら心が許せず、家にいても常に緊張している黎。そんな黎が唯一、心から信頼し、愛しているのが陽太。そんなこと、あいつだってわかってるはずなのに。それから、ときどき俺のほうをみてくるのも気になる。迎えに行くのも代わりにやってほしいと言われてしまった。10年来の、幼馴染の心がわからない。はやく、仲直りしてほしいが。
*****
俺と直輝で黎を迎えに行くようになってから二週間ほどたった。相変わらず秋野さんと陽太はいちゃいちゃしていて、イラッとくることも少なくない。日に日に、黎の顔色も悪くなっていた。陽太の視線も、頻度が増している。いい加減・・・いい加減、限界だ。
「秋野さん。ちょっと陽太借りてく。」
「は?ちょっ・・・なんだよ・・・?」
昼休み。秋野さんと弁当を食べていた陽太を強引に屋上まで連れ出した。本当は鍵がかかっているのだが、合鍵を持っているので問題なかった。(違法ではない。決して。この高校の南京錠はすべて同じ鍵で開くので、一つ持っていればなんでも開けられるのだ。)
「おいっ・・・離せよ。」
「・・・あぁ。」
「なんだよ、わざわざこんなとこに呼び出して。」
「なんだよ?わかってないとは言わせない。」
「は?・・・もしかして、黎のことか。それなら俺は距離を置くから・・・」
「それが意味わかんねぇって言ってんだよ!お前、ここんとこずっと俺のこと見てきてたし。なんで黎と距離置くのかちゃんと言えよ!!」
「え・・・いや、だって。」
突然目が泳ぎだす陽太。なんなんだろうか。
「言えよ!黎が、このままだとかわいそうだろ!?」
「お前らが・・・お前らが球技大会の日、裏庭でキスしてたからお前にいろいろ譲って一緒にいられるようにしてやってんだろ!?なのになんで怒ってんだよ!??」
「え・・・?」
唖然とするのは今度はこっちの方だった。キス・・・キスって・・・
「あぁぁぁぁ!!?」
「うおっ!!」
な、あ、え、もしかして・・・
「陽太、あれ、見てたの!?教室にいたんじゃないの?」
とたん気まずげに顔をそらす陽太。
「・・・黎が心配で探しに行って。そしたらお前らがキスしてたから。」
「誤解!!!!ごめん、陽太!!!!!」
ま じ か よ
「は・・・?」
「あ、あれはその黎が・・・とにかくまぁいろいろあったんだよ、でも俺は黎のことは友達としか思ってないから!本命、齋藤だし!!!」
「いやでも・・・」
「キスはしてない、顔近づけただけ!!!ふざけてたの!!!!!誤解、誤解だから!!!!!」
「隼がそこまで言うなら・・・」
「ほんっとうにごめん、ここまでの奇行も全部俺のせいか・・・マジでごめん、俺は、お前の黎に手出しする気なんて一ミクロンもない!」
「はぁ・・・そうだったのかよ・・・」
お前の、否定しないとこが安定だな。
「じゃあわかったわ・・・もう教室戻っていい?」
「全然いい。本当にごめん。でも早く仲直りしろよ、俺のせいとはいえ。」
「おう。」
叫びたい。穴があったら入りたいなくても掘る。本当に黎にも陽太にも悪いことしたなぁ・・・
朝は曇っていたくせに、見上げた空は、むかつくぐらい晴れ渡っていた。
正直に言うと、くらっときた。黎を押し倒して黎を見下ろしたとき、このまま襲ってしまいたいとも、思った。
黎がずっと陽太が好きなことをわかっていなかったら、黎が俺相手に少しでも頬を赤らめたら・・・やばかったかもしれない。すぐにおちゃらけて、ごまかしたけど。黎とは別に普通に過ごせてる。けど・・・陽太が、おかしい。あいつは、嘘をつくのが信じられないレベルでへたくそだ。感情表現が、わかりやすいのだ。だからすぐわかる。あの、陽太が。黎を、溺愛してやまない陽太が・・・
黎を、避けている。
幼馴染として、あいつらを今まで見てきたが・・・こんなことは一度もなかった。直輝や俊哉も気が付いて、なにがあったのかとしつこく聞いてくる。だけど、俺としても全く、皆目見当がつかない。今まで黎がちょっと拗ねて陽太にあたる・・・みたいなことはあったけど。本当に、どうしたのだろうか。かわいそうなのは黎だ。「朝いっしょに行けない」と言われたことにショックを受け、陽太の前じゃなかったら、倒れそうなほどだった。体が弱く、身内にすら心が許せず、家にいても常に緊張している黎。そんな黎が唯一、心から信頼し、愛しているのが陽太。そんなこと、あいつだってわかってるはずなのに。それから、ときどき俺のほうをみてくるのも気になる。迎えに行くのも代わりにやってほしいと言われてしまった。10年来の、幼馴染の心がわからない。はやく、仲直りしてほしいが。
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俺と直輝で黎を迎えに行くようになってから二週間ほどたった。相変わらず秋野さんと陽太はいちゃいちゃしていて、イラッとくることも少なくない。日に日に、黎の顔色も悪くなっていた。陽太の視線も、頻度が増している。いい加減・・・いい加減、限界だ。
「秋野さん。ちょっと陽太借りてく。」
「は?ちょっ・・・なんだよ・・・?」
昼休み。秋野さんと弁当を食べていた陽太を強引に屋上まで連れ出した。本当は鍵がかかっているのだが、合鍵を持っているので問題なかった。(違法ではない。決して。この高校の南京錠はすべて同じ鍵で開くので、一つ持っていればなんでも開けられるのだ。)
「おいっ・・・離せよ。」
「・・・あぁ。」
「なんだよ、わざわざこんなとこに呼び出して。」
「なんだよ?わかってないとは言わせない。」
「は?・・・もしかして、黎のことか。それなら俺は距離を置くから・・・」
「それが意味わかんねぇって言ってんだよ!お前、ここんとこずっと俺のこと見てきてたし。なんで黎と距離置くのかちゃんと言えよ!!」
「え・・・いや、だって。」
突然目が泳ぎだす陽太。なんなんだろうか。
「言えよ!黎が、このままだとかわいそうだろ!?」
「お前らが・・・お前らが球技大会の日、裏庭でキスしてたからお前にいろいろ譲って一緒にいられるようにしてやってんだろ!?なのになんで怒ってんだよ!??」
「え・・・?」
唖然とするのは今度はこっちの方だった。キス・・・キスって・・・
「あぁぁぁぁ!!?」
「うおっ!!」
な、あ、え、もしかして・・・
「陽太、あれ、見てたの!?教室にいたんじゃないの?」
とたん気まずげに顔をそらす陽太。
「・・・黎が心配で探しに行って。そしたらお前らがキスしてたから。」
「誤解!!!!ごめん、陽太!!!!!」
ま じ か よ
「は・・・?」
「あ、あれはその黎が・・・とにかくまぁいろいろあったんだよ、でも俺は黎のことは友達としか思ってないから!本命、齋藤だし!!!」
「いやでも・・・」
「キスはしてない、顔近づけただけ!!!ふざけてたの!!!!!誤解、誤解だから!!!!!」
「隼がそこまで言うなら・・・」
「ほんっとうにごめん、ここまでの奇行も全部俺のせいか・・・マジでごめん、俺は、お前の黎に手出しする気なんて一ミクロンもない!」
「はぁ・・・そうだったのかよ・・・」
お前の、否定しないとこが安定だな。
「じゃあわかったわ・・・もう教室戻っていい?」
「全然いい。本当にごめん。でも早く仲直りしろよ、俺のせいとはいえ。」
「おう。」
叫びたい。穴があったら入りたいなくても掘る。本当に黎にも陽太にも悪いことしたなぁ・・・
朝は曇っていたくせに、見上げた空は、むかつくぐらい晴れ渡っていた。
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