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5月
苛立ち side黎
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「・・・っ」
陽ちゃんと行かなくなってから、二週間を過ぎた。ここのところ、ひどい頭痛が続いていた。原因は、はっきりしている。ストレス。陽ちゃんに、避けられているという現実にひどいストレスを感じていた。昼間はほとんどしゃべることができず、夕飯を食べに日村家にお邪魔するときだけ、必要最低限しゃべっている。苦しくて苦しくて苦しくて。
なんで?あの、なにもない、苦しいだけの暗闇から助けてくれたのは陽ちゃんなのに。陽ちゃんも僕を捨てるの?嫌いになっちゃったの?今までも無理してたの?苦しい。悲しい。さびしい。
生きている意味を見いだせない。陽ちゃんといなかったら、意味がない。
会いたい。話したい。触れたい。抱きしめてほしい。頭を撫でてほしい。陽ちゃんの、優しくて落ち着く声で「大丈夫だから」って言ってほしい。そばにいて。そばにいたい。好き。大好き。
あまりの苦しさに死んでしまいたくなるけど。会えなくなる。それに・・・隼くんや、春川君は心配してくれていて、申し訳ないから。朝は、陽ちゃん以外のいつもの3人が迎えに来てくれている。僕のことを、元気づけようとしてくれているのも、いくら鈍い僕でも、わかっていた。僕に元気がない理由なんて、隼くん以外は知らないだろうけど。
「なんだよ真姫~」
「陽太こそ~w」
窓際の席でよかった。休み時間の教室、中央で仲良さげに話している二人なんて見たくないから。頬杖を突き、見たくもなんともない外の景色をぼーっと眺める。
「だからさ~デート行こうよ~?」
「いやいや、試験だろ?」
「じゃあベンキョーしにいこっ!」
「やんのかよ~?」
「ちょっと、やるし~!」
ずきり。
鋭い痛みが走った。思わず頭を押さえる。つらかった。
「大丈夫?」
痛む頭を、優しくなでられた。
「隼くん・・・」
「保健室、行こうか、黎。」
にこりと優しく微笑む隼くん。
「・・・うん。」
隼くんの袖につかまり、教室を後にした。
「屋上・・・」
「そ。保健室じゃ先生いるし。」
「でも・・・授業・・・」
「黎、すっごい顔色悪かったし、みんな保健室行ったんだって思ってくれるよ。」
「え・・・顔色・・・」
「なに、気づいてないの。真っ青だよ。頭、痛いんでしょ?」
「うん・・・」
限界だった。隼くんが、あまりにも優しくて。
「ひっく・・・」
「黎!?ごめん。ごめん、泣かないで。」
「ちがっ・・・隼くんのせいじゃない・・・」
あふれる涙は止まらなかった。隼くんが、誰もいないところを選んでくれたのがありがたかった。
「いや、違う。・・・俺の、せいだ。陽太が黎を避けてるのは俺のせいなんだ。本当に、ごめん。」
どういうこと・・・?
「隼くん・・・?」
「球技大会の日、俺が黎のこと押し倒してたのが、キスしてたみたいに見えてたみたいで。それで、陽太が俺たちが付き合ってるって勘違いして。どうしていいかわからず避けちゃったって。」
「え・・・?」
「本当にごめん。黎。あんな紛らわしいことして。陽太まで誤解させて。今、黎を泣かせてる。俺、最低だ。嫌いになっていいよ。黎のことは。守るって決めてたのに。」
隼くんのほうが、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「そっか・・・じゃあ・・・陽ちゃんは僕が嫌いになったんじゃないの・・・?」
「それは違う。絶対にない。今も昔も、これからも。陽太は、気づいてないかもしれないけどあいつの優先順位の一位は、いつも黎だよ。黎を、ずっとずっと大切にしてる。」
「・・・?」
「わかんなくていいよ。わかられても、妬けるし。でも黎、これだけは覚えといて。みんな、黎のこと大好きなんだよ。明良も直輝も、陽太も。もちろん俺も。だから自分一人で悩んだり・・・死のうとしたりなんてしないで。そんなことされたら、俺たちも悲しくて生きていけなくなる。」
隼くんの言葉のひとつひとつがうれしくて。余計に泣いてしまった。自分のことが好きだと言ってくれる人なんて、誰もいないと思ってた。陽太が言ってくれた時は、世界が変わって、何度も何度も何度も、夢じゃないかと思った。自分のことが好きだと言ってくれる人なんて一人でもいたら十分だと思ってたのに。一人しかいないと思ってたのに。
「わっ!?黎!!?」
ぎゅっ、と、隼くんに力いっぱい抱き着き、顔をうずめる。日村家のテレビで、やっていた。好きな人にはこうするのだ。
「隼くんのこと、嫌いになんてならない。なるわけないっ・・・僕も、隼くんとかのこと、大好きだよ。」
「でも、俺・・・」
「あれだって、もとはといえば僕のためにしてくれたことじゃんっ・・・」
「黎・・・」
「陽ちゃんが変な勘違いしたのが悪いんだ。隼くんにも、迷惑かけて。ちゃんと、言わなきゃ。」
隼くんがそっと、僕の背中に手を回し、優しく抱きしめ返してくれた。そしてもう一方の手で、頭を撫でてくれる。
「黎は、強くなったね。」
「・・・?」
「あはは。でも、こんなことしてたら、また誤解されちゃうからさ。黎、離れて?」
「・・・やだ。だって、この前みてたテレビでやってた。好きな人。大事な人にはこうやって抱き着いてキスするんでしょ?」
「・・・なんのテレビ?」
「えっと・・・あなたにささげるあい・・・っていうやつだったかな。」
「あー黎。それはドラマだ。しかも、ちょっと違う。好きは好きでも、likeじゃなくてloveのほうにするやつだ。黎で言う、陽太。だからこれは、陽太にやってやれ。」
「えっ・・・!」
顔が熱い・・・そういうことだったの・・・?
「そーいうちょっと浮世離れしたこととかが、心配なんだよなぁ・・・」
「む・・・」
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ、チャイムなった。もうそんな経った!?戻るぞ、黎。」
「まって・・・」
陽ちゃんが僕を避けてない。それどころか、大事に思ってくれている。うれしくて、顔がにやけてしまう。頭痛はすっかり治っていた。
陽ちゃんと行かなくなってから、二週間を過ぎた。ここのところ、ひどい頭痛が続いていた。原因は、はっきりしている。ストレス。陽ちゃんに、避けられているという現実にひどいストレスを感じていた。昼間はほとんどしゃべることができず、夕飯を食べに日村家にお邪魔するときだけ、必要最低限しゃべっている。苦しくて苦しくて苦しくて。
なんで?あの、なにもない、苦しいだけの暗闇から助けてくれたのは陽ちゃんなのに。陽ちゃんも僕を捨てるの?嫌いになっちゃったの?今までも無理してたの?苦しい。悲しい。さびしい。
生きている意味を見いだせない。陽ちゃんといなかったら、意味がない。
会いたい。話したい。触れたい。抱きしめてほしい。頭を撫でてほしい。陽ちゃんの、優しくて落ち着く声で「大丈夫だから」って言ってほしい。そばにいて。そばにいたい。好き。大好き。
あまりの苦しさに死んでしまいたくなるけど。会えなくなる。それに・・・隼くんや、春川君は心配してくれていて、申し訳ないから。朝は、陽ちゃん以外のいつもの3人が迎えに来てくれている。僕のことを、元気づけようとしてくれているのも、いくら鈍い僕でも、わかっていた。僕に元気がない理由なんて、隼くん以外は知らないだろうけど。
「なんだよ真姫~」
「陽太こそ~w」
窓際の席でよかった。休み時間の教室、中央で仲良さげに話している二人なんて見たくないから。頬杖を突き、見たくもなんともない外の景色をぼーっと眺める。
「だからさ~デート行こうよ~?」
「いやいや、試験だろ?」
「じゃあベンキョーしにいこっ!」
「やんのかよ~?」
「ちょっと、やるし~!」
ずきり。
鋭い痛みが走った。思わず頭を押さえる。つらかった。
「大丈夫?」
痛む頭を、優しくなでられた。
「隼くん・・・」
「保健室、行こうか、黎。」
にこりと優しく微笑む隼くん。
「・・・うん。」
隼くんの袖につかまり、教室を後にした。
「屋上・・・」
「そ。保健室じゃ先生いるし。」
「でも・・・授業・・・」
「黎、すっごい顔色悪かったし、みんな保健室行ったんだって思ってくれるよ。」
「え・・・顔色・・・」
「なに、気づいてないの。真っ青だよ。頭、痛いんでしょ?」
「うん・・・」
限界だった。隼くんが、あまりにも優しくて。
「ひっく・・・」
「黎!?ごめん。ごめん、泣かないで。」
「ちがっ・・・隼くんのせいじゃない・・・」
あふれる涙は止まらなかった。隼くんが、誰もいないところを選んでくれたのがありがたかった。
「いや、違う。・・・俺の、せいだ。陽太が黎を避けてるのは俺のせいなんだ。本当に、ごめん。」
どういうこと・・・?
「隼くん・・・?」
「球技大会の日、俺が黎のこと押し倒してたのが、キスしてたみたいに見えてたみたいで。それで、陽太が俺たちが付き合ってるって勘違いして。どうしていいかわからず避けちゃったって。」
「え・・・?」
「本当にごめん。黎。あんな紛らわしいことして。陽太まで誤解させて。今、黎を泣かせてる。俺、最低だ。嫌いになっていいよ。黎のことは。守るって決めてたのに。」
隼くんのほうが、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「そっか・・・じゃあ・・・陽ちゃんは僕が嫌いになったんじゃないの・・・?」
「それは違う。絶対にない。今も昔も、これからも。陽太は、気づいてないかもしれないけどあいつの優先順位の一位は、いつも黎だよ。黎を、ずっとずっと大切にしてる。」
「・・・?」
「わかんなくていいよ。わかられても、妬けるし。でも黎、これだけは覚えといて。みんな、黎のこと大好きなんだよ。明良も直輝も、陽太も。もちろん俺も。だから自分一人で悩んだり・・・死のうとしたりなんてしないで。そんなことされたら、俺たちも悲しくて生きていけなくなる。」
隼くんの言葉のひとつひとつがうれしくて。余計に泣いてしまった。自分のことが好きだと言ってくれる人なんて、誰もいないと思ってた。陽太が言ってくれた時は、世界が変わって、何度も何度も何度も、夢じゃないかと思った。自分のことが好きだと言ってくれる人なんて一人でもいたら十分だと思ってたのに。一人しかいないと思ってたのに。
「わっ!?黎!!?」
ぎゅっ、と、隼くんに力いっぱい抱き着き、顔をうずめる。日村家のテレビで、やっていた。好きな人にはこうするのだ。
「隼くんのこと、嫌いになんてならない。なるわけないっ・・・僕も、隼くんとかのこと、大好きだよ。」
「でも、俺・・・」
「あれだって、もとはといえば僕のためにしてくれたことじゃんっ・・・」
「黎・・・」
「陽ちゃんが変な勘違いしたのが悪いんだ。隼くんにも、迷惑かけて。ちゃんと、言わなきゃ。」
隼くんがそっと、僕の背中に手を回し、優しく抱きしめ返してくれた。そしてもう一方の手で、頭を撫でてくれる。
「黎は、強くなったね。」
「・・・?」
「あはは。でも、こんなことしてたら、また誤解されちゃうからさ。黎、離れて?」
「・・・やだ。だって、この前みてたテレビでやってた。好きな人。大事な人にはこうやって抱き着いてキスするんでしょ?」
「・・・なんのテレビ?」
「えっと・・・あなたにささげるあい・・・っていうやつだったかな。」
「あー黎。それはドラマだ。しかも、ちょっと違う。好きは好きでも、likeじゃなくてloveのほうにするやつだ。黎で言う、陽太。だからこれは、陽太にやってやれ。」
「えっ・・・!」
顔が熱い・・・そういうことだったの・・・?
「そーいうちょっと浮世離れしたこととかが、心配なんだよなぁ・・・」
「む・・・」
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ、チャイムなった。もうそんな経った!?戻るぞ、黎。」
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