温もり

本の虫

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8月

波の音 side黎

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だいぶ遅くなりました。






ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-






頭が痛い。波の音さえも頭痛の種でしかない。
昼間は、いつもより全然調子が良くて、みんなで遊べて夢みたいだった。だけど、女の人たちが来て全部終わってしまった。陽ちゃんには言えていないけど。本当は、女の人が、苦手だった。お母さんもおばさんも怖い人で、僕をいじめたから。化粧のにおいとかするだけで吐き気がする。でも、陽ちゃんが心配するって知ってるから、言わなかった。それに、元から知ってる人とか同い年は比較的嫌悪感は低かったし。
でも今日のは無理だった。赤い唇とか脳裏にいろいろフラッシュバックしては、叫んで陽ちゃんに縋り付きそうになった。でも、同時に思ったのだ。やっぱり、僕には胸はないし。子どもも産めない。陽ちゃんだってやっぱり、女の子のほうが好きなんじゃないかって。七夕の日を思い出してそんなことないって自分に言い聞かせても全然信用できなくて。楽しかったのに楽しくなくなってた。




「すまんなー部屋、2部屋しか空きがなくてな・・・」
「いえ、宿にタダで泊めさせていただいてるだけで十分です!」
「隼、おべっかとかいらない。もともとここは部屋も少ないし客も少ないつぶれかけ宿だかrって痛い痛い痛いおじさんギブギブ!!」
「まったく貴様は・・・いいから風呂入って寝ろ。」
「なにもかもほんとありがとうございます!あと、なんか明良がすみません・・・」



「部屋割りどうする!?どうするーーー!!?」
「黎と陽太、残り3人でしょ当然。」
「えーなんで!!!?いっつも陽太ばっかり!!!」
「陽太は過保護で親バカだから。離れろっつても離れないだろうし。だいたい黎は9時半くらいに電池切れるから。」
「黎とがいいな俺は。早く寝たいし。なっ、黎?」
「えっ、あ・・・うん・・・」
「ちょっと、ちゃんと聞いてた?wまあ、決定だろこれで。さっさと寝ようぜ。疲れた。」
「おまwwじじいかよwww」
「・・・直輝。話がある。(拳で)語り合おうか?」
「かっおがぁあああああ笑ってないいいいいいいwwww」
「直輝、お前のことは忘れない・・・!」
「お前らwwおやすみ~」
「おや・・・すみ・・・」





今日はいつもより動いて、猛烈にだるくて眠かった。なんかふわふわしてて足元もおぼつかない。さりげなく支えてくれる陽ちゃんに甘えて寄りかかる。
「疲れた?もうすぐだからがんばれ。」
「ん~~~」
もう一押ししてみたら、あっさりとお姫様抱っこしてくれる。
「れいー軽すぎ。もうちょっと食べろよーっと。着いた。あ、布団敷いてある。ありがたい。」
ふわっと布団の上に下ろされる。そのまま顔が近づいてきて、自然と唇が重なった。
「黎・・・」
「んっ、陽ちゃ・・・んぅ・・・」
舌が入ってきてかき乱していく。息が、続かない。
「はっ、くるしっ・・・んぁ」
「っ・・・すまん、黎。寝ようか。」
その一言に絶望的な気分になった。
「・・・・・・だ。」
「え?黎?」
「・・・や、だ!なんで!どうして陽ちゃんはずっと抱いてくれないの!?付き合い始めでもう一か月たつのに!キスだけじゃん!やっぱり、僕が男だから?昼間のお姉さんたちみたいな巨乳ほんとは好きなんでしょ!!!」
「黎、落ち着けって。」
「いやだ!!!!」
かっこ悪い恥ずかしい最悪。頭痛と眠気でどうにかしてるに違いない。陽ちゃんの顔がまともに見れない。泣きそうだった。というか、泣いてる。ほっぺが生あったかくて気持ち悪い。
「黎。俺は黎以外好きじゃないよ。はっきりわかった。あの女たちに絡まれて気持ち悪いだけだった。黎以外に受け付けない。大好きだ。だから、大事にしたい、傷つけたくない。守ってあげたい。」
「え・・・」
「泣くなよ、黎。黎が泣いてると俺もつらい。愛してる、黎。」
静かに抱きしめられて、頭を撫でられる。だんだん安心して意識が遠のいてきて。でも、言わなきゃって思った。
「愛・・・してる・・・よ・・・」
そのまま、真っ暗になった。優しい、優しい波の音が聞こえた。






*****


隼side



やっぱり・・・。昨日から黎が思い詰めてるのはわかってた。だから強引に二人部屋にしたのだ。でも、仲直りできたみたいだ。
「だからといって抱き合って寝るのもどうかと思うぞ・・・俺が起こしに来てなかったらどうなってたか。」
ぼそっとつぶやいてみたが、起きる気配がない。
「夫婦円満でよいことで・・・。いい加減、起きろ!二人とも!!!!!」
まあこんな二人を見守ってくのも悪くないかな。
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