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106章
元魔王様と冒険者の国 8
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ダングスと共にギルドへ戻ったジル達。
背が高く声の大きいダングスはとても目立ちやすく、ギルドに入ったら直ぐに囲まれてしまった。
「ダングスさん!やっと戻ってきてくれましたね!」
「グランドマスター、仕事が溜まっているので早急に対応して下さい。」
「ダングスさん、今度はいつ訓練に付き合ってくれるんですか?」
「グランドマスター、例の件なのですが。」
ダングスに用があるギルド職員や冒険者達が押し寄せてくる。
「落ち着けお前達、俺は一人しかいない。」
順番に話しは聞くからと落ち着いてもらう。
冒険者ギルドのトップと言うだけあって人望がある。
「奪われてしまったな。」
「人気者なの。」
「あらら、これは長引いてしまいますかね。」
既にダングスの前には列らしきものまで出来ているのだ。
「一先ず今日はギルドにいるから全員順番に要件は聞く。だが優先の客がいるからその後だ。用がある奴は待ってろ。」
どうやら先に会場まで行ったジル達を優先してくれる様だ。
この列に並ばなくていいのは有り難い。
「イストール戦武祭が楽しみなのは分かりますが業務もしっかりお願いしますね?」
「今日は逃げないで下さいよ?」
「分かった分かった。」
ギルド職員からは信用されていないのか、疑いの視線を向けられている。
仕事を放り出すのは日常茶飯事なのだろう。
「悪かったな、それじゃあ俺の部屋に行くか。」
「忙しい中すみません。」
「気にしなくていいぞ。半分は俺のせいみたいなものだからな。」
ダングスに連れられてグランドマスターの私室に向かう。
椅子に座ればグランドマスターらしく見えるから不思議だ。
「それで俺は何をすればいいんだ?」
「まだ説明していませんでしたね。実はこちらの冒険者のジルさんなのですが…。」
ダングスをギルドへ呼び戻した理由をユメノが説明していく。
「と言う事で特殊Sランクにしてもらう為にアバント公国を訪れた訳です。」
「成る程、それだけの実力と実績があるとは益々楽しみだ。是非俺と戦ってもらいたいところだな。」
説明を聞き終わったダングスはジルとの戦いをより一層楽しみに感じている。
ジルが紛れも無い強者と知ってやる気を漲らせているところを見るとダングスは戦闘狂なのだろう。
「それは考えておくと言っているだろう?」
「前向きに頼むぞ。」
その顔にはジルと戦いたいと書いてある様だ。
戦闘狂に目を付けられると厄介なのはよく理解しているので小さく溜め息を吐く。
「それで発行の方は問題無いですか?」
「条件は満たしている様だからな。今日中に渡してやろう。」
「ありがとうございます。」
一先ずジルとの約束を果たせそうでユメノは一安心と言った様子だ。
「それで話しの中に出てきた原初の龍の素材を買う金も必要なんだったな?まさか特殊Sランクを値引き交渉に利用するとは。」
「あははは、実力はあるので問題無いかなと思いまして。」
ダングスから呆れた様な目を向けられるユメノ。
特殊Sランクとはそう簡単になれるものでは無く、ギルド側からも滅多に提案する事は無いのだ。
値引き交渉に利用するなんて前代未聞である。
「他のギルドマスター連中には黙っておけよ。俺は手段の一つとして使っても構わないと思ってるが、そう簡単に増やすべきでは無いと考える奴も多いからな。」
「分かっています。」
ダングスは認めてもユメノの行いを良しとしない者は少なからずいる。
目を付けられない様に気を付けろと忠告してくれた。
「ですがギルドの利益になると考えての行動なので、そこは考慮してもらえると助かります。」
「ジャミールの王都ギルドが利益を上げれば、巡り巡ってここの利益にもなるからな。」
ギルドにとって利のある行動であればダングスも文句は無い。
「それでどのくらいの援助をしてもらえますか?あっ!その前にジルさん、例の物を。」
「そうだったな。」
ジルが無限倉庫から大量の荷物を取り出して並べていく。
出発前にユメノから預かっていた物だ。
「何だこれは?」
「ユメノからの賄賂だ。」
「人聞きの悪い言い方をしないで下さい。これは私の誠意です。」
「あー、金を借りる礼って事か。まあ、貰っておいてやる。」
これから大金を借りようと言うのに手ぶらでは借りにくいだろう。
ダングスはそれを察して素直に受け取った。
「ちなみに素材は今も持っているのか?俺も直接見てみたい。」
「あるぞ。」
ユメノに売る予定のレテルシエルの鱗を取り出す。
グランドマスターであるダングスと言えど、この素材には驚かずにはいられない様子だ。
「こいつは立派な鱗だな。原初の龍の素材の中で鱗を見るのは二度目だ。」
「え?前にも取り扱った経験があるんですか?」
「かなり昔の事だけどな。それにこれ程綺麗な状態でも無かった。」
この鱗は剥がれ落ちたばかりと言うのもあって完品に近い。
レテルシエルが粗雑に扱っていなくて良かった。
「当時はどのくらいの値段が付いたのでしょうか?私は白金貨百枚相当だと判断したのですが。」
「当時は状態が悪くても白金貨四十枚程だったから妥当じゃないか?」
「そうですか。」
自分の目利きが間違っていなくて一安心と言った様子だ。
「特殊Sランクで値引き交渉するんだったな。まあ、それで引けるのは白金貨十枚くらいだろう。」
「え!?それだけですか?」
思ったよりも少ない金額にユメノが驚いている。
「本人は特殊Sランクに拘りがある訳では無いんだろう?」
「そうだな、あれば便利くらいだ。」
「だったらそれくらいじゃないか?」
ジルにとっては権力を持っていられれば便利と言う感覚でしかない。
無ければそれでも困る事は無いのだ。
「そ、そうなると予算が。」
「一ギルドで簡単に出せる額じゃないからな。しょうがない、素材で儲けた分から返済するのであれば白金貨九十枚出してやろう。ジャミール王都ギルドは評判が良いから特別だ。」
「グランドマスター!」
ダングスの言葉にユメノは感動しながら喜ぶのだった。
背が高く声の大きいダングスはとても目立ちやすく、ギルドに入ったら直ぐに囲まれてしまった。
「ダングスさん!やっと戻ってきてくれましたね!」
「グランドマスター、仕事が溜まっているので早急に対応して下さい。」
「ダングスさん、今度はいつ訓練に付き合ってくれるんですか?」
「グランドマスター、例の件なのですが。」
ダングスに用があるギルド職員や冒険者達が押し寄せてくる。
「落ち着けお前達、俺は一人しかいない。」
順番に話しは聞くからと落ち着いてもらう。
冒険者ギルドのトップと言うだけあって人望がある。
「奪われてしまったな。」
「人気者なの。」
「あらら、これは長引いてしまいますかね。」
既にダングスの前には列らしきものまで出来ているのだ。
「一先ず今日はギルドにいるから全員順番に要件は聞く。だが優先の客がいるからその後だ。用がある奴は待ってろ。」
どうやら先に会場まで行ったジル達を優先してくれる様だ。
この列に並ばなくていいのは有り難い。
「イストール戦武祭が楽しみなのは分かりますが業務もしっかりお願いしますね?」
「今日は逃げないで下さいよ?」
「分かった分かった。」
ギルド職員からは信用されていないのか、疑いの視線を向けられている。
仕事を放り出すのは日常茶飯事なのだろう。
「悪かったな、それじゃあ俺の部屋に行くか。」
「忙しい中すみません。」
「気にしなくていいぞ。半分は俺のせいみたいなものだからな。」
ダングスに連れられてグランドマスターの私室に向かう。
椅子に座ればグランドマスターらしく見えるから不思議だ。
「それで俺は何をすればいいんだ?」
「まだ説明していませんでしたね。実はこちらの冒険者のジルさんなのですが…。」
ダングスをギルドへ呼び戻した理由をユメノが説明していく。
「と言う事で特殊Sランクにしてもらう為にアバント公国を訪れた訳です。」
「成る程、それだけの実力と実績があるとは益々楽しみだ。是非俺と戦ってもらいたいところだな。」
説明を聞き終わったダングスはジルとの戦いをより一層楽しみに感じている。
ジルが紛れも無い強者と知ってやる気を漲らせているところを見るとダングスは戦闘狂なのだろう。
「それは考えておくと言っているだろう?」
「前向きに頼むぞ。」
その顔にはジルと戦いたいと書いてある様だ。
戦闘狂に目を付けられると厄介なのはよく理解しているので小さく溜め息を吐く。
「それで発行の方は問題無いですか?」
「条件は満たしている様だからな。今日中に渡してやろう。」
「ありがとうございます。」
一先ずジルとの約束を果たせそうでユメノは一安心と言った様子だ。
「それで話しの中に出てきた原初の龍の素材を買う金も必要なんだったな?まさか特殊Sランクを値引き交渉に利用するとは。」
「あははは、実力はあるので問題無いかなと思いまして。」
ダングスから呆れた様な目を向けられるユメノ。
特殊Sランクとはそう簡単になれるものでは無く、ギルド側からも滅多に提案する事は無いのだ。
値引き交渉に利用するなんて前代未聞である。
「他のギルドマスター連中には黙っておけよ。俺は手段の一つとして使っても構わないと思ってるが、そう簡単に増やすべきでは無いと考える奴も多いからな。」
「分かっています。」
ダングスは認めてもユメノの行いを良しとしない者は少なからずいる。
目を付けられない様に気を付けろと忠告してくれた。
「ですがギルドの利益になると考えての行動なので、そこは考慮してもらえると助かります。」
「ジャミールの王都ギルドが利益を上げれば、巡り巡ってここの利益にもなるからな。」
ギルドにとって利のある行動であればダングスも文句は無い。
「それでどのくらいの援助をしてもらえますか?あっ!その前にジルさん、例の物を。」
「そうだったな。」
ジルが無限倉庫から大量の荷物を取り出して並べていく。
出発前にユメノから預かっていた物だ。
「何だこれは?」
「ユメノからの賄賂だ。」
「人聞きの悪い言い方をしないで下さい。これは私の誠意です。」
「あー、金を借りる礼って事か。まあ、貰っておいてやる。」
これから大金を借りようと言うのに手ぶらでは借りにくいだろう。
ダングスはそれを察して素直に受け取った。
「ちなみに素材は今も持っているのか?俺も直接見てみたい。」
「あるぞ。」
ユメノに売る予定のレテルシエルの鱗を取り出す。
グランドマスターであるダングスと言えど、この素材には驚かずにはいられない様子だ。
「こいつは立派な鱗だな。原初の龍の素材の中で鱗を見るのは二度目だ。」
「え?前にも取り扱った経験があるんですか?」
「かなり昔の事だけどな。それにこれ程綺麗な状態でも無かった。」
この鱗は剥がれ落ちたばかりと言うのもあって完品に近い。
レテルシエルが粗雑に扱っていなくて良かった。
「当時はどのくらいの値段が付いたのでしょうか?私は白金貨百枚相当だと判断したのですが。」
「当時は状態が悪くても白金貨四十枚程だったから妥当じゃないか?」
「そうですか。」
自分の目利きが間違っていなくて一安心と言った様子だ。
「特殊Sランクで値引き交渉するんだったな。まあ、それで引けるのは白金貨十枚くらいだろう。」
「え!?それだけですか?」
思ったよりも少ない金額にユメノが驚いている。
「本人は特殊Sランクに拘りがある訳では無いんだろう?」
「そうだな、あれば便利くらいだ。」
「だったらそれくらいじゃないか?」
ジルにとっては権力を持っていられれば便利と言う感覚でしかない。
無ければそれでも困る事は無いのだ。
「そ、そうなると予算が。」
「一ギルドで簡単に出せる額じゃないからな。しょうがない、素材で儲けた分から返済するのであれば白金貨九十枚出してやろう。ジャミール王都ギルドは評判が良いから特別だ。」
「グランドマスター!」
ダングスの言葉にユメノは感動しながら喜ぶのだった。
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