【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
941 / 1,122
106章

元魔王様と冒険者の国 9

しおりを挟む
 グランドマスターの部屋で少し待っているとダングスが戻ってくる。
金庫からユメノに渡す金を取ってきてくれたのだ。

「ほら、白金貨九十枚だ。」

「ありがとうございます!」

 ダングスの差し出した大きな金袋を嬉しそうに受け取るユメノ。
これでジルから購入するレテルシエルの鱗の代金を確保出来た。

「そんな大金を簡単に出せるとは儲かっているな。」

「このギルドは一番最初に出来た事もあり、ギルドの本部の様な立ち位置だ。各ギルドから定期的に売上の一部を収めてもらってるから金なら余りまくってるんだ。」

 このギルドには各国のギルドから様々な物が集まってくる。
その中には金も含まれており、その総資産は貴族でも太刀打ち出来無い程らしい。

「そのおかげでこうして素材も買える訳ですから有り難い限りです。それではジルさん、こちらをどうぞ。」

「ああ、確かに受け取った。」

 ダングスからユメノに渡された金袋を今度はジルが受け取る。
白金貨九十枚もあればレテルシエルも大満足だろう。
そしてこれでレテルシエルの鱗はジャミール王都ギルドの物だ。

「ではジャミールに戻ったら素材は渡そう。それまでは我が預かっておく。」

「はい、お願いします。」

 ユメノが嬉しそうに頷く。
早速帰った後の鱗の運用方法を模索し始めた。
これ程高価な素材を扱うのは初めてなので、どうすればギルドの利益になりつつ関係者が満足出来るかを考える。
レーテルの意向も伝えてあるのでユメノなら大丈夫だろう。

「ダングス、先程金なら余りまくっていると言ってたな?」

「余ってるだけでタダで渡すなんて事は出来無いぞ。」

「そんな事は言わん。ダングスもユメノの様に原初の龍の素材を買わないかと言う提案だ。」

「何?」

「え!?まだ持ってるんですか!?」

 ジルの提案に二人が驚く。
まさか希少で滅多に出回る事の無い原初の龍の素材を複数持っているとは思わなかったのだ。

「ああ、こっちは鱗では無く牙だがな。」

「「牙(だと)!?」」

 二人の驚きが更に増す。
思わず身を乗り出している。

「と言っても完品では無い。本来の半分程と言ったところか。」

 そう言いながら無限倉庫の中から取り出して見せる。
元がドラゴンと言う巨大な魔物故に、半分の大きさと言ってもとんでもなく大きい。

「原初の龍の牙なんてとんでもないですよ!?ドラゴン種の中でも牙や爪は超高額で取り引きされています!」

「それが原初の龍となるとな。鱗よりも高くなるのは確実だ。」

 二人がジルの取り出した牙を見ながら言う。
ドラゴン種の牙や爪は武器に用いられる最高峰の素材だ。
しかも原初の龍となればその価値は計り知れない。

「ほう、牙とはそれ程なのか。ユメノはこちらの方が良かったか?」

「い、いえ。さすがに手が出せないですよ。」

 ユメノが首を大きく横に振りながら言う。

「完品で無いのに白金貨百枚を超えるのか?」

「世界最高峰の素材だからな。これで武器を作ればどれ程の代物が出来る事か。」

 国宝級の武器が出来上がるのは間違い無いだろう。
だからこそ素材の段階で手の出せる者は限られてくる。
誰もが欲する素材ではあるが、王侯貴族、豪商、高ランク冒険者くらいしか手が出せない。

「ふむ、やはり原初の龍の素材とはとんでもなく高価な物なのだな。」

「当たり前だろう?原初の龍自体遭遇する事が稀なんだ。その素材をこれだけ持っているお前は一体何者なんだ?」

 グランドマスターとして様々な経験をしてきたが一日にこんなに驚かされたのは初めてだ。
だからこそジルと言う人族が気になる。

「ダングスさん、そう言った質問は無しでお願いします。ジルさんは詮索されるのを嫌っていまして、私との取り引き関係が解消される可能性もありますので。」

「おっと、それは悪かったな。」

「今後気を付けてくれればいい。」

 ジルは色々と話せない事が多い。
ユメノはそれを理解して取り引きしてくれているのでジルにとっても有り難い存在だ。

「違法性は無いんだな?」

「それは保証しよう。」

 龍人族の里から原初の龍の許可を得て貰ってきた物だとは言えないが違法性は皆無だ。
レテルシエルに沢山貰ったので少しくらい売っても無限倉庫の中に在庫は充分だ。

「違法性が無いならギルドとしては文句は無いな。せっかく提案してくれたんだ、俺の方でも一つ買わせてもらおうか。そうだな、白金貨二百枚でどうだ?」

「白金貨二百枚!?」

「そんなに高額でいいのか?」

 ダングスの提示した額にユメノが驚いているがジルも同意見だ。
完品でも無いのにはまさか鱗の二倍の値段が付けられるとは思わなかった。

「多少は色を付けているが、それでも損はしないだろう。これだけの大きさだから剣なら数本は作れそうだしな。それにジルの機嫌を良くしておけばイストール戦武祭参加の可能性も上がりそうだろう?」

「そう言った魂胆か。ならばその値段で売らせてもらおう。」

「おう、また金庫に行ってくる。」

 ダングスは再び部屋と金庫を往復するのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...