【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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27章

元魔王様とダンジョン探索 7

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 ジルの放った魔法に床が耐えられず、大人一人が余裕で通れそうな穴が空く。

「これが無駄な戦闘を省くダンジョンの攻略法だ。生半可な力では壊れないし他の者に注意する必要もあるけどな。さて、修復されない内に入るぞ。」

 威力を調節しないと階層を何個も壊して誰かを巻き込む可能性がある。
魔法も選ぶ必要があるので誰でも出来る訳では無い特殊な方法だ。

「…すっっっごく常識外れな攻略法だわ。」

 大穴に飛び込んでいくジルを見てルルネットが呟く。
予想外の行動に驚きながらも後に続いて穴に飛び込んで二階層へと降り立つ。
その後もルルネットの感知スキルで下の状態を調べながらジルが魔法で床を破壊し、無理矢理階層を降っていった。

「ふぅ、やっと10階層か。」

 超級魔法の連発によって魔力がそれなりに減った。
そろそろ戦闘の事も考えて温存しておくべきだろう。

「こんなダンジョン攻略ずるい!思ってたのと違う!」

 そう言ってルルネットが抗議してくる。
既にダンジョンの最高到達階層の半分を超えている。
しかしやった事と言えば感知のスキルで調べて大穴を開けて降りるだけの作業だ。
魔物との戦闘は一回もしていない。

「そう騒ぐな。ここからは戦闘もさせてやる。」

「約束よ?」

 その言葉にルルネットが機嫌を直す。
ジルとしてもいつまでもこんな事をしていたら直ぐに魔力切れとなってしまう。
歩きながら少し休んで魔力を回復させる必要がある。

「降りたのにも理由があるんだぞ?浅い階層の魔物なんて戦ってもリターンが少ない。」

 上の階層程弱い魔物ばかりであり、ドロップする素材も微妙な物が多いので戦ううまみが少ないのだ。
どうせなら少し下の階層の魔物と戦う方がいい。

「確かにスライムとかゴブリンとかだとあまり触りたくないから同意見だわ。」

 低ランクの魔物の定番である。
スライムは触ると粘液が付くし、衣類や装備を溶かしてくる様な種類もいるので嫌われている。
ゴブリンは他種族の雌と交尾して増えると言う習性が一番女性に嫌われている理由だ。

「この階層ならルルネットにも良い訓練になるだろう。ほら、早速お出ましだぞ。」

 進行方向にオークを一体確認する。

「オークね、やっとダンジョンらしくなってきたわ!」

 ルルネットが短剣を二つ抜いて構える。
オークは離れているのでまだ気付いていない。

「我は基本的に戦闘中危なくなるまで介入しない。自由にやってみろ。」

「放任主義なのはジルの良いところよね。それじゃあ早速、魔力を糧とし、火炎の矢よ、敵を焼き貫け、ファイアアロー!」

 ルルネットが詠唱して初級火魔法を使用する。
火の矢が無数に空中に現れてオーク目掛けて飛んでいく。

「ブヒゥ!?」

 突然火の矢に強襲されてオークがパニックになっている。
火の矢が当たって燃えている部分を消そうともがいている。

「フレイムエンチャントを使うまでも無いわね!」

「ブヒッ!?」

 火にばかり気を取られていたオークはルルネットの接近に気付かなかった。
短剣で背中を十字に斬り裂かれてオークは煙の様に姿を消した。

「本当に消えるのね。外の魔物とは大違いだわ。」

「無事倒せたみたいだな。」

「楽勝よ!」

 ルルネットは片手でVサインを作りながら言う。
確かにダンジョンでの初戦闘ながらも危なげなかった。
遠距離攻撃で注意を逸らしつつ、急接近からの攻撃に繋げられているのもよかった。
遠距離攻撃手段を身に付け、戦闘の幅が大きく広がった。

「ドロップ品は肉だな。」

 オークの消えた場所にはドロップアイテムの葉に包まれた肉塊が落ちている。
これはオーク肉であり、豚肉近い美味しい肉だ。

「ジル、回収して。」

 ルルネットが拾って差し出してくる。
肉は直ぐに食べるか持ち帰らないとダンジョン外まで保たず悪くなってしまう。
無限倉庫のスキルを使えるジルだからこそ、食材をドロップした状態のまま保てるのだ。

「初のダンジョン戦闘記念に美味しく食べないとね!」

「勝って嬉しいのは分かるが油断はするなよ?」

 ダンジョンの中は魔物やトラップが沢山ある。
気を抜いて行動すれば手痛い目に遭う危険がある。

「分かっているわよ、魔装や詠唱破棄もまだまだなんだからね。それでもこの程度の魔物に遅れは取らないわ!」

 自分の実力についてしっかり理解している様だ。
ルルネットはまだまだ戦闘能力が仕上がっていない。
この年齢にしては強い方なのは間違い無いが、驕らず油断しないは良い事だ。

「ふむ、ダンジョン中くらいは詠唱破棄の戦闘方法を体験させてやるか。」

「詠唱破棄の戦闘方法を?どうやって?」

「これを貸してやる。」

 そう言ってルルネットの手に二つの指輪を取り出して乗せる。

「何これ?魔法道具?」

「ああ、ファイアアローとクイックボムの魔法が込められた魔法道具だ。魔力は魔法と同じく消費するが即座に発動させられるぞ。」

 これは魔法の適性が無くても特定の魔法を使える様になる魔法道具である。
以前セダンの街のビーク商会で同じ様な魔法道具が売られていたが、それと同じ系統の魔法道具だ。

「え!?それって結構珍しくて高い物よね?」

 ルルネットは驚きながら言う。
初級魔法しか使えなくてもそう言った魔法道具は価値が高い。

「ダンジョン中だけ付ける事を許す。いずれは詠唱破棄をした状態で習得する魔法だからな。実戦で戦闘に取り入れる訓練をしておけ。」

「分かった!ジル、ありがとう!」

 ルルネットは二つの指輪を手に嵌めて、年相応の笑顔で喜んでいる。
魔法が使える様になる魔法道具と言う、指輪にしては物騒な効果が付いており、それで喜んでいるのは貴族令嬢としていいのだろうかと少し心配になるジルだった。
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