春風散らすはさくら花

桜月みやこ

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side さくら

05.

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次の日──日曜日は、午前中ははーちゃんの部屋でそのままのんびりして、たくさん甘えて、
お昼前に二人でお買い物に行って、買ってきたお弁当と残ってたお惣菜を食べて……

離れるのは何だかすごく寂しかったけど、健ちゃんも帰って来るだろうからって夕方に家に帰った私は、玄関で二人分の靴を見つけてあれって首を傾げた。

「健ちゃん、歌乃ちゃん来てるの?」

家の中に向かって声をかけたら、少ししてから二階の健ちゃんの部屋から少し不機嫌そうな健ちゃんが出て来た。

「来てる──ていうか姉ちゃんなんで帰って来るわけ」
「え??だって夕飯の支度しないとだし……あ、歌乃ちゃんが何か持ってきてくれた、とか……?」

少し期待してそう聞いた私に、健ちゃんは持ってきてないと首を振って、そしてうーんと眉を寄せる。

「ハルにぃから返信ないどころか既読もつかないからてっきり上手く行ったもんだと思ってたんだけど……まさか、姉ちゃん。ハルにぃと何もなかった?」
「………へっ!?」
「今日はただ出かけてただけ……じゃないよな。金曜と同じ服だし」
「え、えと……その………っ」

健ちゃんにじぃっと見られて、どう答えようってオロオロしてるうちに、健ちゃんは何だか納得したみたいに頷いた。

「上手く行ったんだったらさ、ハルにぃんとこにもう一泊してきて」
「えっ……でも健ちゃんの夕飯……」
「歌乃に作って貰うから大丈夫。姉ちゃんはハルにぃに作ってあげなよ── あ、着替えと明日学校行くカバンも持ってっといて」
「え……?え?でも」
「鈍いなぁ。姉ちゃんにいられると邪魔って言ってんの」
「じゃま………」

がーんってなったけど……
待って。
歌乃ちゃんが来てて、そして私は邪魔。

 ──つまり健ちゃんは、歌乃ちゃんと、うちで………

って思ったら、かーって顔が熱くなって、私は慌てて自分の部屋から明日の分の着替えと学校行くカバンを持って来て、お邪魔しました!!って家を飛び出して……はーちゃんの家のインターホンを鳴らした。
すぐにドアが開いて、はーちゃんが顔を出す。

「あれ、忘れ物でもあったか?」

不思議そうに言われて、ううんって首を振った私の荷物に気付いたのか、はーちゃんがまた不思議そうな顔をした。

「あの……健ちゃんが帰って来てたんだけど……歌乃ちゃんが一緒で……その、邪魔だからもう一泊してきてって……言われて……」

良い?って恐る恐る聞いたら、はーちゃんは驚いたみたいな顔して、そしてすぐに当たり前だろってお家に入れてくれた。



その日もはーちゃんのお部屋でたくさんたくさん甘えて、またしちゃって──
そしてやっと朝一緒に行きたかったって、何度か見かけた事あるんだよって話せた。

はーちゃんは何で声かけないんだよ!気付かない俺も悪いけど!ってものすごく落ち込んで、
だから「明日は一緒に行っても良い?」ってお願いしたら、はーちゃんは勿論って頷いてくれた。

明日には親達帰ってきちゃうからもう一回だけさせてって言われて、もう一回だけして、
次の日の朝はーちゃんと一緒に家を出たら……健ちゃんと歌乃ちゃんと鉢合わせちゃった。

慌ててる歌乃ちゃんは可愛いかったけど、「当然」みたいな顔してる健ちゃんにはお姉ちゃんとして後でお話をしないとダメかしらなんて思って、帰って来てからお泊りさせちゃうのはどうかと思うって言ってみたら「歌乃の親父さん木曜から今日まで出張だったから、家に一人で置いておく方が心配」って言われちゃったら何にも言えなくて……結局そうだね、て終わっちゃった。


その日から月曜と水曜ははーちゃんと一緒に行けるようになって、金曜日の帰りも待ち合わせて一緒に帰るようになって──
早織さんは面倒くさがりとか言ってたけど、土日も──さすがに毎週ってわけにはいかなかったけど、嫌な顔なんてちっともせずにデートしてくれた。
そのせいで付き合い始めた事がすぐにママと早織さんにバレちゃったけど、早織さんからは「うちのバカ息子よろしくねー」なんて言われて、反対されなくて良かったってホッとしたりして。


そうして私が就職してからちっとも会えない日が続いて、はーちゃん不足になって寂しくて仕方なくなって。
だから次の年、はーちゃんの就職と同時に、味方についてくれたママと一緒にパパを説得して、同棲を始めるんだけど……



それはまだ、少し先の未来の話。


~~ Fin. ~~



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
春風をフォローするつもりでしたが。
一途女子って良いよね(´∀`*) とか思っていましたが。

冒頭書いてて、「あれ?さくらってわりとヤバい子かな??(゚∀゚)」 と思ってしまったのはナイショです………。

さくらから見た春風はカッコイイようです。
実際春風はそれなりにモテる……というよりは"憧れる"という感じかな、と。
脳内はあんなですが、ほとんど表(声)には出てないので、寡黙で真面目そうに見えちゃうのです。

でも今回も春風の脳内は「さくら可愛い。やべー、やわらかい。さくら可愛い。すげー気持ちいい。さくら可愛いさくら可愛いさくら可愛い……(エンドレスリピ)」ですのでご安心下さい(?)


学生時代はラブラブいちゃいちゃして過ごしますが、社会人になったさくらが先輩からちょっかいかけられたりして春風がヤキモキしたりしちゃうのかな……なんて妄想もしてみたりしつつ………
これにて春風とさくらのお話はおしまいです。

お付き合いいただきましてありがとうございました!!
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