ブラウンは魔法研究員に仕返ししたい

桜月みやこ

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09.

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「やはり簡易では駄目だな」

 ひくひくと小さく身体を震わせているマーシャを抱き抱えながら、ブラウンは真っ二つに割れてしまった簡易ベッドに溜め息を落とす。

「大丈夫か」
「ん……っ」

 簡易ベッドが壊れた瞬間、ブラウンは咄嗟にマーシャをがっしりと抱き込んで、マーシャは魔法を使って自分たちを宙に浮かべた。
 まだ吐精途中だったブラウンの男根がマーシャの中からずるんっと抜けてしまったのでそこらに白濁が散ってしまったが、まぁマーシャの魔法があれば問題ないだろう。
 困るのはやはり真っ二つになってしまったベッドだ。
 ブラウンは、どうやらひどく疲れているらしい、早くも自身の腕の中で眠りに落ちそうになっているマーシャに視線を落とす。

「このまま寝かせてやりたいところだが、さてどうするか……」

 呟いたブラウンに答えるようにマーシャがもにょもにょと何か呟いて、もぞと身じろぐ。
 ブラウンが小さく名を呼ぶと、ひどく億劫そうに顔と腕を上げたマーシャはくるりと指を回した。
 途端、二人の身体や床の汚れがすっきりと清められて、無惨な姿になっていた簡易ベッドの輪郭がぼやけたかと思ったら、瞬きの間に姿を変えた。

「……おいおい」

 嘘だろ、と思わず漏れたブラウンの呟きは、けれどマーシャにはもう届かなかったらしい。
 ことんっと体重のかかり方が変わったマーシャを抱え直して、ブラウンは「簡易」ではなくなってしまった、何やらふかふかそうなベッドにマーシャを横たえる。
 ベッドの寝心地が気に入ったのか、ふにゃっと頬を緩めて完全に眠りに落ちたマーシャを、ブラウンは何とも言えない顔で眺めた。
 修復魔法だって難しいと聞くのに、マーシャはほぼ意識のないこんな状態で完全に別物に造り変えてしまったのだ。

「優秀、というか、これは規格外っていうんじゃないか?」 

 何やらとんでもないヤツに好かれてしまったものだと溜め息を落としたくなる反面、そんなマーシャとこれから先の人生を歩んでいけるのだとしたら退屈などしなさそうだと面白く思う自分に、ブラウンは肩を竦める。
 さて、そろそろ執務に戻るかと床に落ちている衣服を拾い上げたブラウンは、そこにうねうねと蠢く物体を見つけた。
 どうやら簡易ベッドが壊れた際に巻き込まれはしなかったらしい。
 怪我(?)などしていなさそうなバルディーアを拾い上げると、すやすやと眠っているマーシャの手に握らせて、ブラウンは執務室へと戻った。


 その後何事もなかったような顔で夜まで執務を行ったブラウンは、すっかりと帰り支度を整えてから仮眠室へと戻った。
 まだ気持ち良さそうに眠っているマーシャの頬を撫でてみると、んん、と小さく呻く。

「そろそろ起きろ、マーシャ」
 
 ぺしぺしと軽く頬を叩くと、マーシャはぼんやりと目を開ける。

「――ぶらうんさま」

 ブラウンの顔を見てふにゃ、と笑んだマーシャの頬を撫でると、マーシャは嬉しそうにブラウンの手の平に頬を擦り付けてまた目を閉じてしまう。

「こら、寝るな、帰るぞ。――それとももう一発ここでヤられたいか?」

 何やら大人しくなっているバルディーアをマーシャの手越しに握ってみれば、ぬちゃっとした感触にかマーシャがぱちりと目を開けた。

「……ブラウン様……」

 パチパチと数度瞬きをしてから、マーシャはのろのろと身体を起こす。
 そして室内を見回してあ、と小さな声を上げた。

「目は覚めたか?」
「はい……すみません、最近バルちゃんにかかりっきりでほとんど寝てなかったもので」

 ふぁ、と欠伸をしたマーシャにブラウンは呆れたような視線を向ける。
 バルディーアとの感覚共有やら調教やらを睡眠時間を削ってまでやる必要ないだろうと思ったけれど、そこは口には出さず黙ってマーシャに服を渡す。
 それを受け取ったマーシャはもそもそと服を身につけると、床に転がっていた箱を手元に寄せて、添い寝していたバルディーアを大切そうに箱に収める。

「俺の家で良いな」

 そんな言葉と共にひょいと抱き上げられて、マーシャはへ? とブラウンを見上げる。
 
「全然抱き足りない。今夜は寝かさないから、覚悟しておけよ」

 ここでたっぷり寝たから問題ないだろう? とニヤリと笑ったブラウンにマーシャは咄嗟に魔法を使って逃げ出そうとしたけれど、目の前でバングルをチラつかされてしまったために、結局「バングルこわい」とブラウンの腕の中で身体を縮こまらせるしかなかった。

 そうしてブラウンの家に連れ込まれたマーシャは散々啼かされたものの「ブラウン様の方が回数が多いのはズルい!!」と訴えて、繋がったままブラウンの後孔にバルディーアを挿れる事に成功した。
 勿論今回はバルディーアを硬化させる事も忘れない。
 挿れられながらだった為に少々加減が上手く行かなくてカッチカチにしてしまったおかげで、すぐ耳元でブラウンの苦しそうな声を存分に堪能しつつ抱かれるというプレイを愉しんだ。
 難点はバルディーアと密着していないと感覚共有が上手くいかないところだ。
 くそっと悪態つきながら激しく責め立ててくるブラウンに縋りついて、胸筋と上腕二頭筋に潰されそうになりながら幾度も絶頂しながら、マーシャはぼんやりと「今度はくっついていなくても感覚共有出来るようにならなくっちゃ」などと考えていた。

 二人と一匹の夜は、ブラウンの呻き声と獣じみた息遣いにマーシャの嬌声、そしてバルディーアの粘液によるぬっちゃぬっちゃという粘着音と共に更けていった――。
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