獣耳王国にはBLが満ちている、と人間の王女は手記に残「やめろ!!」

トウ子

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さて、唐突だが性癖の話をさせてもらおう。

私はスパダリ攻めより、普通なら攻め様ぽい、女相手ならスパダリっぽい男が押し倒されるのが好きだ。つまり、宰相閣下とか間諜文官とかオジサマ侍従長とか!
ピュアで不器用な方が攻め派なのだ。攻めより受けの方が上手うわて派なのだ。攻めには受けの掌の上でコロコロされて欲しいんだ。分かる?
あと、筋肉ムチムチな男は雄っぱいがあるじゃない?だから攻めが似合うと思う。国王も騎士団長も猛犬侍従も筋肉自慢で雄っぱいがあるから攻めなの。分かる?逆でもいいけど、私はそっち派なのだ。体格の良い方が華奢を押し倒すという解釈ではなく、雄っぱいが……!
……何を言ってるのか謎だろうが、理解するのは諦めて欲しい。腐女子の特殊性癖サガだ。

ということで、騎士団長は攻めであって欲しい。

つまり、こういうことだ。









「アウエル文官」
「おや、騎士団長」
「……ランズとお呼び捨て下さいと、お願いしているでしょう」

悲しげに耳を伏せながら、ランズはアウエルに近づいた。体格の割につぶらで愛らしい瞳には、素朴な寂しさが浮かんでいる。

「ふふ、懐かしい話を持ち出しますね」
「私を騎士団長などと呼ばないで下さい。そんなことをするなら、私はあなたを師匠とお呼びしますよ」
「おやめなさいな。騎士団長に師匠などと呼ばれては、私が困ります」

肩をすくめてクスクス笑うアウエルに、ランズは真摯に言い募った。

「あなたに習った暗殺術が、何度も身を守りました。あなたは間違いなく、私の師匠だ」
「ふふ、まったく……謙虚な仔熊だ」
「ふざけないで。子供扱いはよしてください」

ドン、と両手の間にアウエルを捕らえ、心優しい雄熊は焦がれる瞳を向ける。

「何度お伝えすれば良いのです?何度言えば、あなたは信じてくれるのですか?私が、あなたを、愛していると」
「勘違いですよ、ランズ」

弱々しくかぶりを振り、アウエルはどこか苦しげに否定する。

「少年の日の、大人への憧れを拗らせただけに過ぎない。一時の感傷です」
「ちがう!」

激情のままに、ランズが壁を殴る。耳のすぐ横で壁が砕けた音がして、パラパラと粉塵が舞った。

「どうしたら……どうしたら、分かって下さるのか!?」

ぐしゃりと顔を歪ませて、ランズは普段は優しく輝く瞳に怒気と狂気を孕ませた。

「分かってくださらないのならば……あなたのカラダに、分からせて差し上げます」




「あ、アァッ!や、やめなさ……んあァッ」
「はぁッ、これでお分かりでしょう!?私はあなたを、で愛しているのです!アァッ」
「うっ、ぐ、勘違いで……ぅあがッ」
「まだ仰るか!?」
「ぁ……かはっ」

ガンッと奥深くまで貫いて、グリグリと最奥を抉り込まれる。あまりの衝撃に、呼吸もできなくなったアウエルが空気を求めるように喘いだ。パクパクと口を開閉するだけのかつての師匠に、ランズは闇を宿した瞳で囁く。

「私が欲情し、己の身の破滅と引き換えでも欲するのは、アナタだけなのです……ッ」
「ぁ……あ……ぅ……」
「愛しい私のアウエル様、どうか永遠に、私のモノに……!」

相手に焦がれる睦言は、強すぎる快楽に意識を手放した狐の元には届かない。手に入らない年上の男を求めて、心優しい雄熊の純情は、次第に狂気へと色を変えていくのだった。






「あぁ、可哀想なランズ。……私の掌の上とも知らないで」

初めての情交に疲れ果て、こんこんと眠る雄熊の年より幼い寝顔を見ながら、アウエルは慈愛に満ちた表情を浮かべて囁いた。

「お詫びに、死ぬまで愛してあげますからね?……愛しい愛しい、私の仔熊」

その目には、確かな狂気が宿っていたが、幸いにも眠っていたランズは気づかなかった。









「ってのが良いわけよ!わかる!?神様!」

脳内再生された素晴らしすぎる名エロシーンをせっせと紙に書き写した私は、完成した最高のR指定同人誌を胸に抱えながら天を仰いで叫んだ。この良さが分からないとかマジであり得んわ。

「よっし、お供えばっちり!頼んだわよぉ?」

寝台の下という私の祭壇に同人誌を仕込み、三回手を合わせてから、私は雄々しく立ち上がった。

「いざ、出陣!……いでよ魔法のヤバイ筒!」

前回よりパワーアップした双眼鏡片手に、私は部屋を抜け出した。本日はあの二人が城の裏で密会するという情報を同志より得ている。多分あの子が狐の手下なんだろうけれど、私の小説の大ファンだから情報提供は惜しまないらしい。狐ドンマイ。

「さて、行くか」

アウエルもランズも鋭いからな。前回の覗きより三倍くらい遠い距離から見るのだ。

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