8 / 65
本編
気が狂うほどの快感押し寄せる後悔
しおりを挟む
「ちょちょちょ、ま、待って!待って待って待って!」
「待てない。待たない。どれだけ我慢してきたと思ってるの」
「無理無理無理!心の準備が!」
早速寝台に私を押し倒して下着みたいな寝巻きを引っ剥がそうとするコーリーの手を、私は必死に押さえつけた。早い。展開が早い。予定と違う。予想と違う。こんなのむり。
「今日は聖夜だよ?カミラだって心の準備は出来てるんじゃないの?こんな扇情的な格好までして待てだなんて……それともそういう趣向?それなら付き合うけど。踏みつけて『待て』って言ってくれる?せっかくならその格好を下から見たいしね」
「違うわよ!」
私は全力で喚いた。とんでもない性癖の持ち主だと思われたついでに、コーリーのとんでもない性癖まで明らかになった気がするが、そんなことは気にしていられない。このままではコーリーに主導権を完全に握られてしまう。
「わ、私は、私がご奉仕してコーリーにご起立ねがう予定だったの!その心構えできたのよ!私が押し倒される展開についてはまだ心構えが出来てないのよ!」
「……カミラ」
憤懣やる方ないとばかりに肩を怒らせて、弾劾するごとく人差し指を突きつけたが、コーリーは感動にジーンとしたように目をうるうると潤ませた。
「なんて素敵なんだカミラ!」
「えっあ、ま、ちょっ!わあーっ!」
力任せに抱き締められ、グリグリと硬い灼熱で下腹部を抉られる。動揺に叫ぶ私をよそに、コーリーは弾んだ声で感激していた。
「僕に奉仕してくれるつもりだったの!?え、それはものすごく楽しみだよ!でも今日は記念すべき初夜だからねっ!それは次回に取っておいて、今夜は僕にカミラを隅々まで愛でさせて欲しいなっ」
「次なんかないわよっ!なんだったのよ私の覚悟は!」
ペラペラと勝手なことばかり宣うコーリーに、私はもはや半泣きだ。いつの間にか極薄ガウンは剥ぎ取られているし、下着もいつでも脱がせられるように背中のリボンが解かれている。なんだこの手練手管。絶対慣れてるじゃん。随分と余裕じゃん。この嘘つきめ。
「ううううっ、アンタの親指サイズの息子をどうやって成長させるかめちゃくちゃ悩んだんだからね!?少なくとも中指サイズ、できれば掌サイズに、って……なのに何なのよその前腕サイズは!」
「えへへっ、カミラに褒められると照れるなぁ」
「褒めてないわよこの詐欺師!」
涙目で睨み上げると、コーリーは「うっ」と唸って胸を抑えた。そして赤らんだ顔で私を見下ろして、拗ねたように言う。
「ベッドの上でその顔は反則だよ、カミラ。コレで計算してないって言うんだから、君はとんだ魔性の女だよね」
「意味わかんないことばっか言ってんじゃないわよ!……あっ」
申し訳程度に胸元の肌を覆っていた布があっさりと床に落とされる。後は紐みたいなパンツだけだ。
「うぅ……」
全身をほとんどあますところなく寝室の光の下に晒されて、私は呆然とした後に真っ赤になって顔を覆った。頭の中が真っ白で、体を隠すということが浮かばなかったのだ。
「あぁ……綺麗だよ、カミラ。夢に見ていた通り、いや、それ以上だ」
「ぅ……ばかぁ……っ」
「あー、かわいい」
感動したような声で詠嘆するコーリーに、まともな返事をすることもできない。感極まったように呟いたコーリーがそのまま覆い被さってきた。
「んっ、ひゃんっ!」
「うわぁ、おっぱい柔かぁ……それに真っ白……桃色の果実をちゅーちゅー吸ったらどうなるのかな、赤く熟れた木苺になるのかな」
「やめてよ変なこと言わないで!」
オトナ向けの安い三文小説みたいな台詞を吐かれて、私は羞恥に狂いそうだ。コーリーがこんな下衆で低俗な言葉責めしてくるとは思わなかった。完璧なのにどこか抜けていて可哀想なコーリーをしっかり者の私が嗜め慰め宥めて導く……学生時代と同じく今夜もそんな予定でいたのに、何でこうなったの!?
「勉強しておいてって言ったのは君だろう?半年間、あらゆる教師に師事してきたからね!童貞とはいえ百戦錬磨と言って差し支えない。安心して身を任せてほしい」
「意味わかんないわよ!」
胸を張るコーリーはやけに自信満々で、どこで学んできたか知らないが意味不明だ。百戦錬磨の童貞て何よ。ちっとも安心できないわよ!
足をバタバタとばたつかせて逃げ出そうとするが、コーリーに綺麗に押さえ込まれてしまって抜け出せない。男女差もあるとはいえ体術はやっぱり幼少時から鍛えられてきたコイツには負ける。悔しい、などと唇を噛んでいたら。
「こら、唇噛んじゃダメだよ」
「んむっ」
笑いながら言ったコーリーが、チュッチュッチュッと小鳥のようなキスを降らせてくる。そして私が意外な攻撃にびっくりして固まったその隙に、コーリーは私の最後の防御まで全て脱がせてしまった。
「なんて綺麗な裸身なんだ……」
「恥ずかしいんだから馬鹿なこと言わないで!」
誰にも見せたことがない秘密の茂みまで光の下に曝け出し、私の防御力はゼロどころかマイナスだ。生まれて初めて神様とやらに助けを求めてしまいそうである。
しかも私を見下ろしたコーリーが、まるで絵画でも見ているような真顔で、しみじみと言うもんだから、顔から火が出そうだ。
「あぁ……もう我慢できない……ッ」
「ちょっと待っ、んッやんっ!」
蕩然とした面持ちで呻くと、コーリーは私に覆い被さってきた。待て待て待て、と顔を押しやるが、力比べでは勝てない。コーリーの唇が私の胸の頂点に届いてしまう。
「だから待てないって言ってるじゃないか!」
「きゃあっ、んんんっ、いたっ、痛いってば」
乱暴に叫んで乳首にむしゃぶりついてくるコーリーはいつもとは様子が違う。優しい面差しはどこへやら、今のコーリーは飢えた狼……いや、発情薬で中毒になっている狼のようだ。強く吸われて痛む胸に、思わず背中をそらせて逃げ出そうとする。しかし、むしろ胸をコーリーの顔に押しつけるような仕草になってしまい、余計に煽ってしまった。
「ああ、ああ、やわらかい!なんておいしいんだ……!」
「あっ、あっん、やっ、やめてぇっ」
ちゅうちゅうと吸い付かれ、舌でベロベロと舐めまわされ、甘噛みされ、尖らせた舌先でツンツンとつつかれる。興奮丸出しの童貞が覚えてきたというあらゆる方法で片胸を翻弄され、私は髪を振り乱して泣き叫んだ。痛いのだ、痛かったのだ。それなのに。
「んんっ、むりぃーッ」
「無理じゃないよね?つんつんに尖って、真っ赤に腫れてる。感じてるんでしょ?」
「あーーっ」
もう片方の胸もゆるやかに揉み上げられ、先端をコロコロと指の腹で転がされる。二本の指で挟み込まれてピンと立ち上がった胸の蕾をギュッと摘まれたら、思わず甘い悲鳴が口から飛び出した。
「ははっ、かわいぃ」
「んやーっ!やだー!」
パンパンに股間の豪剣をを腫れ上がらせているくせに、コーリーはまだ余裕ある様子で私を翻弄している。納得できない。
「あんた、ほんとに童貞なわけ!?」
「ふっ、もちろんだよっ?ははっ、なにそれ褒め言葉?」
「くっ、んっ、んんッ、だ、だって変でしょ!?なんでそんな、余裕あるのよっ」
八つ当たりじみた私が怒鳴り散らした言葉に、コーリーは照れたように笑って、テヘ、と舌を出した。
「それは……ここに来る前に、三回自分で出してるから、かな?」
ふんわりと頬を染めて言われた台詞に、私は思わず目を見開いた。
「はぁ!?んんんあっ!?」
「簡単にイッちゃったら、終わりにされちゃうといけないからさ、コッチも必死なんだよ」
初夜に不能状態に陥るけど一人の時は元気、とは聞いていたけれど、それにしてもヤリ過ぎでしょ!
むしろ三回出した後に何で今もこんなにビンビンにお元気なわけ!?教本には「基本的に男性は一度射精したら終わり、元気がある方は二回から三回程度することもあるので女性側も体力配分に気をつけましょう」て書いてあったわよ!?
「馬鹿じゃないの!?」
「馬鹿だよ」
ドン引きよ!と睨みつけるが、コーリーは堂々と言い切って、切なげに目を細める。そしてグッと私を抱き寄せて耳元で囁いた。胸の底に渦巻く炎を抑え込むように、熱い声で、激しい求愛の言葉を。
「僕は君が好きなんだ」
ひゅっ、と息を呑む。流石にこの状況で、この愛の言葉を流すことなんて出来やしない。
無言になる私に、コーリーは見栄も外聞もなく、ただ純粋な好意だけを語り、切々と訴えた。
「カミラにくびったけで、散々アプローチしたのに袖にされまくって、諦めて他の女と試そうにも息子はピクリともしない。もうこりゃ何もかも投げ打ってカミラを手に入れるしかないなって思って、死ぬほどしょうもない契約を結んで君を体だけでも手に入れようとしてるんだ。これが恋に溺れた大馬鹿者の末路だよ」
「……コーリー」
聞かなかったことにしたいのに、嬉しくて悲しくて、貰った言葉をしっかり覚えておきたくて、私の頭の中はぐちゃぐちゃだ。ちっとも思考が定まらない。沈着冷静な私はどこに行ったのだろう。
「でも、むりよ。無理なのよ」
泣き出しそうな声で私は拒否した。身分の違いはひっくり返せない。どれだけ愛があったって、愛のもとに結婚したって、絶対うまくいかない。私はコーリーには完璧な幸せを掴んで欲しいのだ。私じゃそれはあげられない。
「分かってよ、無理なの」
「無理じゃない」
しかし弱々しい私の言葉を、コーリーは力強く否定して、そしてにっこりと笑った。
「今夜のうちに、絶対に結婚するって言わせてみせるからね」
「やっ、絶対言わないんだから!」
「意地っ張りだなぁ……ま、そんなところも好きなんだけれど」
地団駄を踏む駄々っ子のように叫んだ私に、コーリーは死ぬほど色気のある顔で余裕たっぷりに囁いた。
「僕が絶対に君を幸せにするから。……はやく諦めて、僕と結婚して」
そこから負けず嫌いな私は、とても頑張った。処女なのにかなり善戦したと言えるだろう。
けれど戦いは翌朝、いや翌昼まで続き、結局私は一瞬の油断で勝負に負けた。
「もうやだ!信じられない!」
「ふははっ、僕の勝ちだね」
「馬鹿コーリー!卑怯者め!」
「何とでも言うがいいさ、勝ちは勝ちだからね」
指一本動かせそうにない疲労の中で私はコーリーを罵った。しかし勝ち誇ったような顔で幸福そうに破顔するコーリーは気にする様子もなく私の頬に口付ける。
「可愛かったよ、僕の奥さん」
「うるさい!」
「熱烈なプロポーズありがとう」
「うるさいうるさいうるさーい!」
類似の発言でも可、なんて聞いていなかったのだから、私の意思が弱いせいじゃないんだからね!
「待てない。待たない。どれだけ我慢してきたと思ってるの」
「無理無理無理!心の準備が!」
早速寝台に私を押し倒して下着みたいな寝巻きを引っ剥がそうとするコーリーの手を、私は必死に押さえつけた。早い。展開が早い。予定と違う。予想と違う。こんなのむり。
「今日は聖夜だよ?カミラだって心の準備は出来てるんじゃないの?こんな扇情的な格好までして待てだなんて……それともそういう趣向?それなら付き合うけど。踏みつけて『待て』って言ってくれる?せっかくならその格好を下から見たいしね」
「違うわよ!」
私は全力で喚いた。とんでもない性癖の持ち主だと思われたついでに、コーリーのとんでもない性癖まで明らかになった気がするが、そんなことは気にしていられない。このままではコーリーに主導権を完全に握られてしまう。
「わ、私は、私がご奉仕してコーリーにご起立ねがう予定だったの!その心構えできたのよ!私が押し倒される展開についてはまだ心構えが出来てないのよ!」
「……カミラ」
憤懣やる方ないとばかりに肩を怒らせて、弾劾するごとく人差し指を突きつけたが、コーリーは感動にジーンとしたように目をうるうると潤ませた。
「なんて素敵なんだカミラ!」
「えっあ、ま、ちょっ!わあーっ!」
力任せに抱き締められ、グリグリと硬い灼熱で下腹部を抉られる。動揺に叫ぶ私をよそに、コーリーは弾んだ声で感激していた。
「僕に奉仕してくれるつもりだったの!?え、それはものすごく楽しみだよ!でも今日は記念すべき初夜だからねっ!それは次回に取っておいて、今夜は僕にカミラを隅々まで愛でさせて欲しいなっ」
「次なんかないわよっ!なんだったのよ私の覚悟は!」
ペラペラと勝手なことばかり宣うコーリーに、私はもはや半泣きだ。いつの間にか極薄ガウンは剥ぎ取られているし、下着もいつでも脱がせられるように背中のリボンが解かれている。なんだこの手練手管。絶対慣れてるじゃん。随分と余裕じゃん。この嘘つきめ。
「ううううっ、アンタの親指サイズの息子をどうやって成長させるかめちゃくちゃ悩んだんだからね!?少なくとも中指サイズ、できれば掌サイズに、って……なのに何なのよその前腕サイズは!」
「えへへっ、カミラに褒められると照れるなぁ」
「褒めてないわよこの詐欺師!」
涙目で睨み上げると、コーリーは「うっ」と唸って胸を抑えた。そして赤らんだ顔で私を見下ろして、拗ねたように言う。
「ベッドの上でその顔は反則だよ、カミラ。コレで計算してないって言うんだから、君はとんだ魔性の女だよね」
「意味わかんないことばっか言ってんじゃないわよ!……あっ」
申し訳程度に胸元の肌を覆っていた布があっさりと床に落とされる。後は紐みたいなパンツだけだ。
「うぅ……」
全身をほとんどあますところなく寝室の光の下に晒されて、私は呆然とした後に真っ赤になって顔を覆った。頭の中が真っ白で、体を隠すということが浮かばなかったのだ。
「あぁ……綺麗だよ、カミラ。夢に見ていた通り、いや、それ以上だ」
「ぅ……ばかぁ……っ」
「あー、かわいい」
感動したような声で詠嘆するコーリーに、まともな返事をすることもできない。感極まったように呟いたコーリーがそのまま覆い被さってきた。
「んっ、ひゃんっ!」
「うわぁ、おっぱい柔かぁ……それに真っ白……桃色の果実をちゅーちゅー吸ったらどうなるのかな、赤く熟れた木苺になるのかな」
「やめてよ変なこと言わないで!」
オトナ向けの安い三文小説みたいな台詞を吐かれて、私は羞恥に狂いそうだ。コーリーがこんな下衆で低俗な言葉責めしてくるとは思わなかった。完璧なのにどこか抜けていて可哀想なコーリーをしっかり者の私が嗜め慰め宥めて導く……学生時代と同じく今夜もそんな予定でいたのに、何でこうなったの!?
「勉強しておいてって言ったのは君だろう?半年間、あらゆる教師に師事してきたからね!童貞とはいえ百戦錬磨と言って差し支えない。安心して身を任せてほしい」
「意味わかんないわよ!」
胸を張るコーリーはやけに自信満々で、どこで学んできたか知らないが意味不明だ。百戦錬磨の童貞て何よ。ちっとも安心できないわよ!
足をバタバタとばたつかせて逃げ出そうとするが、コーリーに綺麗に押さえ込まれてしまって抜け出せない。男女差もあるとはいえ体術はやっぱり幼少時から鍛えられてきたコイツには負ける。悔しい、などと唇を噛んでいたら。
「こら、唇噛んじゃダメだよ」
「んむっ」
笑いながら言ったコーリーが、チュッチュッチュッと小鳥のようなキスを降らせてくる。そして私が意外な攻撃にびっくりして固まったその隙に、コーリーは私の最後の防御まで全て脱がせてしまった。
「なんて綺麗な裸身なんだ……」
「恥ずかしいんだから馬鹿なこと言わないで!」
誰にも見せたことがない秘密の茂みまで光の下に曝け出し、私の防御力はゼロどころかマイナスだ。生まれて初めて神様とやらに助けを求めてしまいそうである。
しかも私を見下ろしたコーリーが、まるで絵画でも見ているような真顔で、しみじみと言うもんだから、顔から火が出そうだ。
「あぁ……もう我慢できない……ッ」
「ちょっと待っ、んッやんっ!」
蕩然とした面持ちで呻くと、コーリーは私に覆い被さってきた。待て待て待て、と顔を押しやるが、力比べでは勝てない。コーリーの唇が私の胸の頂点に届いてしまう。
「だから待てないって言ってるじゃないか!」
「きゃあっ、んんんっ、いたっ、痛いってば」
乱暴に叫んで乳首にむしゃぶりついてくるコーリーはいつもとは様子が違う。優しい面差しはどこへやら、今のコーリーは飢えた狼……いや、発情薬で中毒になっている狼のようだ。強く吸われて痛む胸に、思わず背中をそらせて逃げ出そうとする。しかし、むしろ胸をコーリーの顔に押しつけるような仕草になってしまい、余計に煽ってしまった。
「ああ、ああ、やわらかい!なんておいしいんだ……!」
「あっ、あっん、やっ、やめてぇっ」
ちゅうちゅうと吸い付かれ、舌でベロベロと舐めまわされ、甘噛みされ、尖らせた舌先でツンツンとつつかれる。興奮丸出しの童貞が覚えてきたというあらゆる方法で片胸を翻弄され、私は髪を振り乱して泣き叫んだ。痛いのだ、痛かったのだ。それなのに。
「んんっ、むりぃーッ」
「無理じゃないよね?つんつんに尖って、真っ赤に腫れてる。感じてるんでしょ?」
「あーーっ」
もう片方の胸もゆるやかに揉み上げられ、先端をコロコロと指の腹で転がされる。二本の指で挟み込まれてピンと立ち上がった胸の蕾をギュッと摘まれたら、思わず甘い悲鳴が口から飛び出した。
「ははっ、かわいぃ」
「んやーっ!やだー!」
パンパンに股間の豪剣をを腫れ上がらせているくせに、コーリーはまだ余裕ある様子で私を翻弄している。納得できない。
「あんた、ほんとに童貞なわけ!?」
「ふっ、もちろんだよっ?ははっ、なにそれ褒め言葉?」
「くっ、んっ、んんッ、だ、だって変でしょ!?なんでそんな、余裕あるのよっ」
八つ当たりじみた私が怒鳴り散らした言葉に、コーリーは照れたように笑って、テヘ、と舌を出した。
「それは……ここに来る前に、三回自分で出してるから、かな?」
ふんわりと頬を染めて言われた台詞に、私は思わず目を見開いた。
「はぁ!?んんんあっ!?」
「簡単にイッちゃったら、終わりにされちゃうといけないからさ、コッチも必死なんだよ」
初夜に不能状態に陥るけど一人の時は元気、とは聞いていたけれど、それにしてもヤリ過ぎでしょ!
むしろ三回出した後に何で今もこんなにビンビンにお元気なわけ!?教本には「基本的に男性は一度射精したら終わり、元気がある方は二回から三回程度することもあるので女性側も体力配分に気をつけましょう」て書いてあったわよ!?
「馬鹿じゃないの!?」
「馬鹿だよ」
ドン引きよ!と睨みつけるが、コーリーは堂々と言い切って、切なげに目を細める。そしてグッと私を抱き寄せて耳元で囁いた。胸の底に渦巻く炎を抑え込むように、熱い声で、激しい求愛の言葉を。
「僕は君が好きなんだ」
ひゅっ、と息を呑む。流石にこの状況で、この愛の言葉を流すことなんて出来やしない。
無言になる私に、コーリーは見栄も外聞もなく、ただ純粋な好意だけを語り、切々と訴えた。
「カミラにくびったけで、散々アプローチしたのに袖にされまくって、諦めて他の女と試そうにも息子はピクリともしない。もうこりゃ何もかも投げ打ってカミラを手に入れるしかないなって思って、死ぬほどしょうもない契約を結んで君を体だけでも手に入れようとしてるんだ。これが恋に溺れた大馬鹿者の末路だよ」
「……コーリー」
聞かなかったことにしたいのに、嬉しくて悲しくて、貰った言葉をしっかり覚えておきたくて、私の頭の中はぐちゃぐちゃだ。ちっとも思考が定まらない。沈着冷静な私はどこに行ったのだろう。
「でも、むりよ。無理なのよ」
泣き出しそうな声で私は拒否した。身分の違いはひっくり返せない。どれだけ愛があったって、愛のもとに結婚したって、絶対うまくいかない。私はコーリーには完璧な幸せを掴んで欲しいのだ。私じゃそれはあげられない。
「分かってよ、無理なの」
「無理じゃない」
しかし弱々しい私の言葉を、コーリーは力強く否定して、そしてにっこりと笑った。
「今夜のうちに、絶対に結婚するって言わせてみせるからね」
「やっ、絶対言わないんだから!」
「意地っ張りだなぁ……ま、そんなところも好きなんだけれど」
地団駄を踏む駄々っ子のように叫んだ私に、コーリーは死ぬほど色気のある顔で余裕たっぷりに囁いた。
「僕が絶対に君を幸せにするから。……はやく諦めて、僕と結婚して」
そこから負けず嫌いな私は、とても頑張った。処女なのにかなり善戦したと言えるだろう。
けれど戦いは翌朝、いや翌昼まで続き、結局私は一瞬の油断で勝負に負けた。
「もうやだ!信じられない!」
「ふははっ、僕の勝ちだね」
「馬鹿コーリー!卑怯者め!」
「何とでも言うがいいさ、勝ちは勝ちだからね」
指一本動かせそうにない疲労の中で私はコーリーを罵った。しかし勝ち誇ったような顔で幸福そうに破顔するコーリーは気にする様子もなく私の頬に口付ける。
「可愛かったよ、僕の奥さん」
「うるさい!」
「熱烈なプロポーズありがとう」
「うるさいうるさいうるさーい!」
類似の発言でも可、なんて聞いていなかったのだから、私の意思が弱いせいじゃないんだからね!
2
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる