腐れ縁の公爵令息に契約結婚を迫られていますが、離婚してくれなさそうだから嫌です

トウ子

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番外編

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「まぁ仮に、王太子ご夫妻がたとえこの国一番のラブラブ夫婦だったとしても!相手の言うことを全部丸呑みできるって訳じゃないのよ」

オヨヨと泣き崩れている馬鹿夫を仁王立ちで見下ろしながら、私は懇々と説教を続けた。今後同じ過ちを二度も三度も四度も五度も起こさないためだ。

「それなのに夢薔薇のリスクを説明せずに渡すなんて、大間違いよ?本っっ当に馬鹿じゃないの!?」

私がカンカンに怒っているのに、コーリーは膝を抱えて不貞腐れたように私を見上げた。そしてフンと顔を背けて口を尖らせた。

「まぁでも、王太子はきっと昨夜使ったろうし、もう遅いよ」
「あああああっ!!神よ王太子殿下の股間をお守りください!」

思わず膝をついて手を合わせて神に祈ってしまった私に、諸悪の根源はケラケラと笑いながら首を振った。

「神様ねぇ、たとえ神様がいたとしてもそんな変な守ってくれないと思うよ」
「黙んなさい元凶が!神よ、この天才のくせに死ぬほどポンコツな男から王太子殿下の股間をお守りください!!」

私は改めて床に額ずいて神に祈った。王太子殿下の股間に、今もきちんとスティック一本とボールが二個付いておりますように!頼む、王室の未来がかかっているのだ!わりとガチで。

「まぁまぁ、そんな心配しなくても!奥さんのエイダ嬢は、なんでか分かんないけど王太子のことを盲愛してるから大丈夫だよ」

ニコニコしながら私を宥める男に、私は頭を掻きむしって喚く。本当に納得できない、なんで神はこの頭のおかしい男に才能だけでなく権力と財力も与えてしまったのか!

「殿下にも妃殿下にも失礼よ言葉を慎みなさい!そして何度も何度も言ったけど、愛してるからと言って全て受け入れられる訳ではないの!」

今後は夢薔薇には、被術者が術者の願いを本心から嫌がっている場合は術返しされるように設定しよう。被術者の本心が丸出しになるけどまぁ無理矢理プレイになるよりはマシだろう。あと私には効かないように設定しよう。……コーリーに解呪できないような魔法って可能かしら。呪術と霊術を組み合わせればいける?

「たしかになぁ……」

私が内心でそんなことを考えていると知らないコーリーは、不満げな納得顔で私を見て呟いた。

「カミラ、僕のことを愛しているはずなのに、僕のお願いはいつも拒否するもんねぇ」
「……チッ」

僕は悲しいよ、と呟くコーリーに、私は完全にカチンとくる。そして反射的に、これまでなされたコーリーのの内容を瞬時に思い出し、思わず行儀悪く舌打ちしてしまった。

「あ~の~ねぇ~?」

顔だけは天の遣いのように秀麗なのに、内面は魔の眷属としか思えない己の夫を睨んで、私は目を見開いて吐き捨てた。

「コーリーが許容範囲のオネダリばっかりするからでしょ!この頓珍漢の非常識男がっ!」
「でも今回のは違うよ!?絶対カミラも気にいるから!!」
「やっぱり今日も何かあるのか!」

そんな気がしていたと、内心でうんざりと毒づきながらあからさまにため息をつく。しかしコーリーは気にする様子も欠片もない。いそいそと近くにやってきて、私の目の前に春本のページを開いてみせた。この変態め。

「ここ読んで!快楽管理についての項……これやりたいんだ!」
「いやよ!」
「嫌じゃないって、きっとカミラも気にいるよ!」
「んなわけないでしょっ!」

案の定とんてもないをしてきた。私は即座に切り捨てたが、コーリーは目を輝かせながらグイグイと迫ってくる。

「それに、これは浮気防止にも良いらしいんだよ!カミラは飽きっぽいから、僕は飽きられるんじゃないかと心配なんだ、哀れな夫の頼みを聞いてくれないか?」
「聞き捨てならないわね!誰が飽きっぽいって言うのよ!」
「カミラだよ!気に入っていた服やアクセサリーも、すぐに中古商に売っちゃうだろう!?」
「うっ」

その通りだが、それにはきちんと理由があるのだ。

「だって中古商ってば掘り出し物ばっかりなんだもの!良い古書や何に使うのか謎な魔道具とか見つけると欲しくなっちゃうんだもの!だから代わりに売ってるだけで、別に飽きてる訳じゃないわ!」
「普通に買い足せば良いじゃないか!」

その通りだが、趣味嗜好に金を使うのは堅実に育った私の金銭感覚が許さないのだ。だから欲しいものがあるときは、手持ちのものを売って、その分のお金を手に入れて買うのだ。理にかなっているじゃないか。

「僕があげたネックレスを売ったの、忘れてないからね!」
「死ぬほど不愉快な思い出があるから仕方ないでしょうがッ!」
「愛のメモリーなのに!?」
「ストーカー用魔道具でしょうが!」

このポンコツ夫め、アンタは己の記憶を改竄しすぎだ!
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