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神殿送りになった転生ヒロイン、隣国の皇太子のMっ気を開花させてしまったので責任を取ります
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しおりを挟む「大帝国第十八代皇太子アルベルトは、父バルトルト皇帝を斃し、帝位を簒奪することを決意した!」
「殿下……ッ」
護衛二人がヒュッと息を飲み、そのまま片膝をつき剣を掲げた。騎士達が主に永遠の忠誠を誓う時の、特別な仕草だ。そして私も金縛りにあったように、まっすぐ棒立ちになったまま、この目の前の男の言葉に聞き入ってしまった。
「親殺しの悪名など知ったことか!悪戯に国を疲弊させ、民を苦しめる男が帝位にある方が、よほど神の意に反するであろうよ!」
問答無用で人に話を聞かせてしまう。それはカリスマ性と言うべき彼の素質なのかもしれない、と後になって私は思った。
「このままあの男に権力を持たせてはならぬ!今すぐ国にとって返し、目にものを見せてくれるわ!」
「殿下、よくご決心なさいましたッ!」
「我らはこの命尽きるまで、殿下について参ります!」
まるで映画のワンシーンのような感動の名場面が繰り広げられている横で、私はみっともなく口を開閉しながら、目を白黒させていた。
「……え?皇太子?簒奪?皇帝?」
さっきまでの情けなさはどこへやら、雄々しく高らかに言い放たれた宣言に、私は思考が停止した。
「ちょ、ま、え?アナタまさか隣の国の皇太」
「と言うわけだ」
「は???」
ガシッと肩を抱かれ、目に力強い光を浮かべた男が、ニヤリと笑って私に告げた。
「聞いてしまったのだ。もちろんお前もついてきてくれるな?天才聖女殿?」
「うげっ!?」
なんていう面倒な!という私の内心を察したのか、イケメン改めアルベルトは、跡が残るほどの強さで私の肩を掴む。そして目を爛々と輝かせて言い放ったのだ。
「逃げるなよ?散々煽ったからには、お前にも協力してもらうぞ?」
「そんな勝手に決められても困りますけど!?」
いや本当にやめて!?私はエロいことと、ひとから褒められることが好きなだけの、軟弱な現代人なので!対岸の火事の燃えっぷりを眺める性根の腐った雑魚女なんです!散々ヤンヤと囃し立てましたけど、火中の栗は拾いたくないです!
なんて内心でワーワー反論していたのだが、ギリギリと食い込む指が恐ろしくて言葉にならない。私は光魔法全振り系ヒロイン、攻撃力はゼロに等しいのだ。普通に怖い。
「お前、一生聖女でいる気はないんだろ?じゃあこの機会に抜けておけばいいじゃないか。神殿にも皇太子の名で協力要請して還俗申請してやる」
「あー、くぅ、それはありがたい……っ!」
一定期間ご奉公して十分に貢献したと認められないと、本人からの申し出で神殿から出ることは不可能だ。しかも私は処罰的な意味合いで髪を切られて聖女になってるから、このショートカットヘアが成人女性として適切な長さ、つまりあと三十センチメートルほど伸びるまで、基本的には還俗出来ない。
少なくともあと三年は神の庭で奉公する予定だったのだ。今の暮らしもやりがいがあって悪くないが、このツヤツヤなお肌とピチピチのボディを見せつける相手もなく、女盛りを棒に振るのも残念だと思っていた。ついでに私はヒロインチートで処女を失ってもバリバリ聖なる魔法が使えるはずなので、魔力に対する未練もない。
「……よし!わかったわ、アナタに協力してあげる!」
私が熟考の末に頷くと、アルベルトはパッと表情を明るくして、私の肩を抱き直した。掴まれていたところが普通に痛い。指の跡、絶対ついてる。
「おぉ、生臭聖女!お前にも良心はあったんだな!」
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