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神殿送りになった転生ヒロイン、隣国の皇太子のMっ気を開花させてしまったので責任を取ります
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しおりを挟む「いや、完全に打算だからそのへんは期待しないで」
またもや聖女に夢見る発言をしている単純イケメンを切って捨て、私は顔を上げると浮かれている面々を見渡した。
「とりあえず治癒魔法かけ損ねた人たちのために一度戻らせてよ。あと、次の聖女が来るまではムリ」
「なっ!そんな暇は」
「あのねぇ!」
腕を組んで堂々と宣言すると、三名は困惑するように互いに顔を見合わせた。アルベルトの宣言でテンションマックスな彼らは、このまま隣国に殴り込みに行く気だったようだ。しかし。
「アンタ達の頭脳がここで寝てるのよ!?脳筋三人で突っ込んでも瞬殺されるに決まってるでしょ!とりあえずこの魔狼にやられた弱っちぃ騎士が起きるまで待ちなさい!」
「ぐうっ」
痛いところを突かれたと言わんばかりに胸を押さえてアルベルトが呻く。そして気まずそうに足元で寝る男を見下ろした。自分を庇って死にかけた騎士を担いで行くつもりだったのか?それとも治ったと分かったらすっかり忘れていたのか。どちらにせよ足りない。配慮と思慮が。
「第一、今日アンタが順番を無視して横入りしてきたせいで、治癒を待ってる子もいるのよ?アンタの無茶振りのせいで、午後に行くはずだった孤児院の訪問も待たせてるんだから」
「うっ、それはすまなかった」
私には聖女のお役目があり、それをきちんと日々果たしているのである。そこを忘れてもらっては困る。
「確かにアナタ、一人でも国燃やせそうなくらい魔力高そうだけれど、……なぁんか詰めが甘そうだから一緒に行ってあげるわよ。でも今すぐじゃない。とりあえず味方に連絡出したり、手を回しておきなさいよ」
「そ、そうだな」
私が適当に口にした助言に大人しく頷くアルベルトは、傲慢な言動のわりに妙に素直で可愛げがある。こういうところがギャップ萌えに繋がるのかしらね。
「命からがら逃げ出してきたくせに、何勢いで殺されに帰ろうとしてるのよ。馬鹿なの?」
「ぐっ、血気盛んなのは国民性だ!」
「へぇー、アナタの喜怒哀楽が激しいのも国民性?」
「そうだ!」
「直情径行で猪突猛進なのも?」
「……国民性だよ!」
「あははっ、認めるのね」
ギリギリと歯噛みしながら、なんでも国民性で押し切ろうとするアルベルトを半笑いで眺めて、私はニヤリと笑った。
「大人しく聖女様のいうこと聞きなさいな、アルベルトサマ」
「あーーっ、くそ!言い方が腹立つな!馬鹿聖女!」
「あはははっ、低レベルな罵倒が育ちの良さを表してるわぁ~、感情昂るとおめめウルウルするのね?可愛い~」
「してないだろ!?どこまでも腹が立つ女だな!?」
「あはははっ、光栄だわ」
そうそう、思い出したわ。
この悔しそうな潤んだ目に歯軋りせんばかりの顔、記憶にあるもの。
アルベルトは、続編の隠しルートの攻略対象だ。
なんてこったい、私としたことが!
髭が生えてるし、全然気づかなかった。
ワイルド系は興味なかったから、すっかり顔を忘れてたわ。
「お前、なんでそんなに偉そうなんだよ!?馬鹿にするのも大概にしろ、この小娘が!」
「アンタとそう年齢変わらないでしょ」
というか、設定通りなら私の一個下でしょう。
褐色肌ワイルド系、しかし年下のドS皇太子。刺さる人には刺さる設定だったのよねぇ~!
まぁ、前世の私には刺さらなかったんだけど。
「えー、このルートって、どんなイベントあったっけなぁ?忘れちゃったや」
続編の主人公と違って、私は知力じゃなくて聖なる光魔法全振り系ヒロインなんだからね。
神様、そのへんうまくやってほしいわ。
私はせっかく転生したからには、やりたいことしかやりたくないんだから!
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