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神殿送りになった転生ヒロイン、隣国の皇太子のMっ気を開花させてしまったので責任を取ります
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ちなみに、その後も普通に暗殺イベントは乱発された。
「あっっっ、殿下後ろ後ろ後ろにあーーーッ」
なにせアルベルト様のルートは、ニ作目で最難関と呼ばれていた。主人公と手に手を取り駆け出し、背中合わせに戦い抜き、数多の敵を切り伏せて、数多の罠を切り抜けて、やっとのことで王冠を手に入れる……そんな手に汗握るバトルゲームなのだ。乙女ゲームなのに恋愛要素は薄い。
「うぐァッ」
「ぎゃああああああ殿下ァアアア」
当たり前と言えば当たり前だが、常に一撃必殺を狙ってやってくる敵。当たれば確実に死ぬ攻撃しか飛んでこない。ゆえに警戒を怠ることはできず、油断が命取りなのだが。
「アルベルトさまぁあああッ!?」
アルベルト様は一日に何度も切られ刺され射られた。そのどれもが、一撃でも当たれば死ぬようなヤバい攻撃ばかりである。そのため攻撃を受けたら死亡とみなされ、アルベルト様ルートは即ゲームオーバーとなるように設定されていた……のだが。
「気安く切られんじゃないわよこの馬鹿!」
この場には、オキテ破りな天才聖女様がいるので、ゲームはオーバーせず、常に続行された。世界のバグだ。
「いいかげん私に安穏とした睡眠時間を寄越せこの間抜けッ!」
「うがっ」
ドカンと破裂するように聖魔法がぶつけられ、アルベルト様の裂けた背中が乱暴にくっつく。力任せにジッパーを閉めた時のようで、何度見ても少し不気味だ。……などと考えていたら。
「ねぇ何をボンヤリしてんのよそこのへっぽこ騎士ッ!」
「ひゃっ!?は、はいっ」
ブチ切れたユリア様に吠えられて、俺は飛び上がった。地面に降り立つと同時に気をつけの姿勢をとる。やばいめちゃくちゃ怒ってる。光の魔力がバチバチ漏れ出して、雷を背負っているかのようだ。すごく怖い。
「オリバーあんた、イロイロ気づいてんでしょ!?なのになんで何の役にも立たないのよ!?」
「うっ」
「アンタねぇ、鈍くはなくても、トコトントロイのよッ!」
「ううっ、面目ございません……」
確かに俺はイベントの発生条件も把握しているはずなのに、何故いつも後手に回ってしまうのか……。
「ヤバイって分かってんなら、アルベルトが殺られる前に自分で殺るか、それが出来ないならもっと的確にッ、この馬鹿でも分かるように教えるかしなさいよ!ギャーギャー騒ぐだけで何の役にも立ってないじゃないの!」
「うっ、すみません!」
俺は前世から、咄嗟の判断とかいうやつが死ぬほど苦手なのだ。テンパリ癖は転生しても治らないのか……。我ながら落ち込んでいると、般若の如き顔つきのユリア様からも鞭が飛ぶ。
「次にやったら問答無用で叩き出すからねッ!?」
既にアルベルト様を尻に敷いているユリア様は、現在この集団の最高権力者である。ユリア様が叩き出すと言ったら本当にやる。
俺はごくりと唾を飲み、身の引き締まる思いで宣言した。
「はいっ、次こそは必ず未然に防いでみせます……!」
まぁ、フラグだったが。
「あっっっ、殿下後ろ後ろ後ろにあーーーッ」
なにせアルベルト様のルートは、ニ作目で最難関と呼ばれていた。主人公と手に手を取り駆け出し、背中合わせに戦い抜き、数多の敵を切り伏せて、数多の罠を切り抜けて、やっとのことで王冠を手に入れる……そんな手に汗握るバトルゲームなのだ。乙女ゲームなのに恋愛要素は薄い。
「うぐァッ」
「ぎゃああああああ殿下ァアアア」
当たり前と言えば当たり前だが、常に一撃必殺を狙ってやってくる敵。当たれば確実に死ぬ攻撃しか飛んでこない。ゆえに警戒を怠ることはできず、油断が命取りなのだが。
「アルベルトさまぁあああッ!?」
アルベルト様は一日に何度も切られ刺され射られた。そのどれもが、一撃でも当たれば死ぬようなヤバい攻撃ばかりである。そのため攻撃を受けたら死亡とみなされ、アルベルト様ルートは即ゲームオーバーとなるように設定されていた……のだが。
「気安く切られんじゃないわよこの馬鹿!」
この場には、オキテ破りな天才聖女様がいるので、ゲームはオーバーせず、常に続行された。世界のバグだ。
「いいかげん私に安穏とした睡眠時間を寄越せこの間抜けッ!」
「うがっ」
ドカンと破裂するように聖魔法がぶつけられ、アルベルト様の裂けた背中が乱暴にくっつく。力任せにジッパーを閉めた時のようで、何度見ても少し不気味だ。……などと考えていたら。
「ねぇ何をボンヤリしてんのよそこのへっぽこ騎士ッ!」
「ひゃっ!?は、はいっ」
ブチ切れたユリア様に吠えられて、俺は飛び上がった。地面に降り立つと同時に気をつけの姿勢をとる。やばいめちゃくちゃ怒ってる。光の魔力がバチバチ漏れ出して、雷を背負っているかのようだ。すごく怖い。
「オリバーあんた、イロイロ気づいてんでしょ!?なのになんで何の役にも立たないのよ!?」
「うっ」
「アンタねぇ、鈍くはなくても、トコトントロイのよッ!」
「ううっ、面目ございません……」
確かに俺はイベントの発生条件も把握しているはずなのに、何故いつも後手に回ってしまうのか……。
「ヤバイって分かってんなら、アルベルトが殺られる前に自分で殺るか、それが出来ないならもっと的確にッ、この馬鹿でも分かるように教えるかしなさいよ!ギャーギャー騒ぐだけで何の役にも立ってないじゃないの!」
「うっ、すみません!」
俺は前世から、咄嗟の判断とかいうやつが死ぬほど苦手なのだ。テンパリ癖は転生しても治らないのか……。我ながら落ち込んでいると、般若の如き顔つきのユリア様からも鞭が飛ぶ。
「次にやったら問答無用で叩き出すからねッ!?」
既にアルベルト様を尻に敷いているユリア様は、現在この集団の最高権力者である。ユリア様が叩き出すと言ったら本当にやる。
俺はごくりと唾を飲み、身の引き締まる思いで宣言した。
「はいっ、次こそは必ず未然に防いでみせます……!」
まぁ、フラグだったが。
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