俺の幼馴染がエロ可愛すぎてヤバい。

ゆきゆめ

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こんな日もあるよね。

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現在、俺は藤咲家の前にいる。
 時刻は朝、登校時間だ。
 隣にユキはいない。ひとりだ。

 今朝はユキが起こしに来ていなかったのだ。
 不思議に思ってユキにメッセージを送ったのだが、返事はない。スマホを見ていないらしい。

 だが連絡ができないなら直接尋ねてみればいいだろということで、俺は見慣れた幼馴染の家に来ていた。
 見慣れたと言っても、ここに来るのは結構久方ぶりな気がする。最近はユキに来てもらってばかりだったからなぁ。

 さて、突っ立っていても近所の方に怪しがられる。さっさと訪ねてみよう。


 しかし俺が藤咲家の敷地へ足を踏み入れると、ちょうど玄関からひとりの男性が出てきた。

 ビシッとスーツを着ている。そしていかにもお堅そうに見える眼鏡と、固めた髪。
 ユキとサユキの父親・藤咲健斗ふじさきけんとだ。
 それなりに有名な弁護士らしいが、詳しくは知らない。

 祖母の死後、後見人となってくれているのだが俺自身があまり親しいというわけではなかった。

 むしろユキと仲が良い俺は目の敵にされているような気さえする。

 健斗がこちらに気づく。

「……君か。どうしたんだ……というのは聞くまでもないか」

 健斗は家の方をちらと見やってため息をつく。

「どうも。ご無沙汰してます。あの……」

「ユキのことだろう? それなら直接確認するといい。まったく、困ったものだよ」

「は、はぁ……」

 どういうことだ?
 呆れたように話す健斗だが、俺にはイマイチ話が見えない。

「それより、だ」

「は、はい」

「ユキとは、何もないだろうね?」

「何も、とは?」

「うちのユキに手を出していないだろうね、ということだ」

「へ? も、もちろんですよ。は、はは……」

 むしろ俺が襲われそうですが!

「ユキは可愛いからな。もう可愛くて可愛くて、目に入れても痛くないくらいだ」

 親バカじゃん……。概ね同意だけど。

「だから、君がいつ間違いを犯さないものかと心配で仕方がないのだよ。いいかい、君たちはまだ高校生だ。くれぐれも自分の立場を弁わきまえた行動を取るように」

「は、はい。もちろんです」

 俺は背筋を伸ばして返事をする。

「ふむ。まあ、君のことは信頼しているよ。……信頼、しているよ」

 なぜ二回言った。

 大事なことなので?
 絶対信頼されてねぇ!

「それと、だ。ええと、その、だね……」

「何でしょう?」

 途端に健斗がもじもじと態度を曇らせる。

「ユキは、君の前で私のことを話したりしないかね。例えば、ほら、お父さんと結婚したいとか」

「ないですね」

 きっぱりと、スピーディに、端的に告げる。
 てか結婚て。あんたの中でユキはまだ幼児なのか。サユキと混同してないか?

「そ、そうか……。ま、まあいいんだ。私には可愛い可愛いサユキがいるからね……た、例えユキに嫌われていたとしても……」

 おい、なんか泣きそうなんだがこの人。いい大人が。朝から。

「もしかしたら私に会いたくないからユキは君の家に入り浸っているんじゃないかと気が気でなくてだな……。ああ……昔はお父さんと結婚する! って何度も言ってくれたのに……」

 やばいやばいなんかスイッチ入ってるぞ語り始めたぞ。娘の成長に戸惑う父親の泣き言なんて聞きたくねぇ……。

「いや、そ、そうですね。べつに嫌っているってことは無いと思いますよ」

「ほ、本当かね……?」

「はい、本当。本当です」

 ユキが父親について話すところなんてもう何年も見てない気がする。だがまあ嫌っているという事実があるわけでもない、はずだ。

「そうか……少し安心したよ。おっと、もうこんな時間か。私は行かせてもらうよ」

「あ、はい。お気をつけて」

「ああ。君もしっかりと、学生の本分を忘れず過ごすようにな」

 そんな言葉を残して、健斗は去った。

 いやあ……親バカ全開だったな……。
 正直あまり相手したくない……。

 と、気を取り直して藤咲家を訪ねるとしよう。忘れかけていたが、健斗が意味深な反応を示していたし、気になることだらけだ。

 とりあえずインターホンを押してみる。
 返事はない。おかしいな。
 ユキたちがいるはずだと思うんだが。

 鍵は開いているし、入ってみるか……。

 ドアノブを回し、玄関へ入る。

 すると、

「だーかーらー、今日は休みますっ」

「ユキっ、風邪ひいてるわけでもないのに休めるわけないでしょう?」

「でもこんな顔、ヒロさんに見せられませんっ」

 なんだが奥の部屋から言い合っている声が聞こえた。
 ユキと、ユキの母・深雪みゆきの声だと思われる。

「あのー? 紘ひろですけどー?」

「え、ヒロさんっ!?」

「あらもうこんな時間」

 ユキの驚く声が聞こえた。
 もうずっと何かを言い合っていたのだろうか。

「ほら、ユキ。紘くんに説明してあげなさい」

「でもぉ……」

 こちらに顔を出すのを渋っている様子のユキだったが、深雪に背中を押されて玄関に出てくる。

 その姿は制服ではない。
 ぶかぶかのパーカーを着ていて、頭にはフードを深く被っていた。
 マスクもしていて顔がほとんど見えない。

「えっと……ヒロさん」

「ど、どうしたんだ?」

 かつてない幼馴染の様子に、俺も動揺を隠せなかった。

「そのぉ……ですね……えっと……」

 もじもじとするばかりで言葉を紡げないユキ。その姿は拗ねた子供のようだ。
 なんだか先ほどの健斗とも似ている。親娘だなぁ……。

 そんなことを思いながらユキが話してくれるのを待っていると、トテトテとサユキがこちらにやって来た。

「あ~、ヒロくん。おはよ~ございます!」

「おう~おはよう~サユ~」

 抱きついてきたサユを抱っこしてやる。
 それに気を良くしたのかサユキは舌ったらずながらも饒舌に語る。

「あんね~ねぇねはね~にーきび? ができちゃったんだって~。おでことほっぺがね~なんかね、赤いの。ぽちんてしてるの。かわいそうなの」

「あ、こらサユちゃん! 言っちゃダメって言ったでしょ!?」

「あ。……えへへ~。忘れてたぁ~」

「……にーきび? ニキビ、か?」

「ぁうぅ……うぅ~~~~~~」

 俺が確認するように目を向けると、ユキは真っ赤になって俯き、呻き出した。
 よく見ると、マスクの端から少しだけ赤いぽちんが覗かせていた。

 つまり、なんだ?
 ニキビができたから、学校休むと?
 恥ずかしいから?
 なんじゃそりゃ。

「ヒロさんっ。見ないでくださいっ」

 視線に気づいたユキがさらに両手で顔を覆う。もう顔がほとんど見えやしない。

「あ~う~~~、と、とにかくっ。そういうことですからっ。ヒロさん今日はひとりで学校行ってくださいっ」

 恥ずかしさに耐えられなくなったらしいユキはそんな言葉を残して奥へ引っ込んだ。

 こんなに取り乱しているユキは新鮮で、こんなことを思っていい場面なのかはわからないが可愛いと思ってしまった。

 できることならしっかり顔を見せて欲しかった。

「ねぇね、怒った……?」

「まあ、そうだなぁ。あとで謝ろうな?」

「うん。サユ謝る。プリンも用意するね」

「それがいい」

 サユキとそんな話をしていると、今度は深雪が出てきた。
 ユキと似た、美人な人だ。

「ごめんなさい、紘くん。朝から慌ただしくて」

「いえ、大丈夫ですよ。それよりユキはどうするんです?」

「そうねぇ、あの子も一度言ったら頑固だし……今日は休ませましょうかねぇ」

「それがいいかもですね」

 深雪の言葉に俺も同意する。
 なんだかんだ言って、娘に甘いのだ。
 それにユキは学校での成績なんかも良いため、1日程度休んだところで皆勤賞を逃すだけである。

「肌荒れは疲れやストレスなんかが原因にもなりますから。今日は栄養のあるものを食べてもらって、それからたくさん寝てもらいましょう」

「疲れ……それはやっぱり、俺のせいですよね。俺、ユキに世話焼かれてばっかで……」

 それはずっと、俺自身が気にしていることだ。生活をユキに頼り過ぎている。

 俺はひとりなんだ。
 自分のことくらいは自分で出来なくてどうするのか。

「ああ、いえいえ。それはいいんですよ。あの子がやりたくてやってることですから」

「そう、ですか……」

「それに、ニキビができた顔で男の子の前に出たくないっていう乙女心も、わかってあげてくださいね」

 深雪は優しく微笑んだ。

 乙女心を理解できているとはとても言えないが、その微笑みにつられて俺は頷いた。


 それから藤咲家を後にし、俺はひとり登校ルートを歩く。

 ひとりでの登校なんて、いつぶりだろう。

 なんだか寂しいような、新鮮なような。

 今日は暇な一日になりそうだなぁ。
 放課後はユキのお見舞いに行ってあげようか。いや、きっと会ってくれないだろうなぁ……。
 
 ユキのいない一日。
 どう過ごしたものかと試行錯誤しながら、俺は校舎を目指したのだった。
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