人狼坊ちゃんの世話係

Tsubaki aquo

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エピソード30

♡別れの詩(4)

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 掠れ声で囁かれた内容に、
 目眩を覚えるほどの衝動に襲われたが、なんとか耐える。
 ついで僕は自身の手をバンさんの膝裏に異動すると、
 彼の腰を抱え上げた。

「んっ……」

 足の間から、バンさんは期待に濡れた眼差しでこちらを見上げてくる。
 僕は彼の欲求には答えず、尻房を左右に押し開き穴口に舌を這わせた。

「ちょっ、おまっ……も、挿れろって……!」

 唾液を塗り込めるようにして、
 皺の一つ一つを丁寧に舐める。

「ば、かっ……ぁ、なんで……
 焦らすなよ……」

「ふやけるまで舐めないと、切れちゃいますよ。
 僕の今、凄く大きくなってるから」

「いい、大丈夫だからっ」

「僕が嫌なんですってば」

 舌先を穴口に捻じ込み、中を拡げるように動かす。
 続いて、僕は唾液で濡らした指をそっとソコへ挿入した。

「ゆ、りあ……マジで、もう俺っ……」

 ゆっくり、ゆっくり、奥を目指す。
 指を包み込む粘膜は燃えるように熱く、
 収縮を繰り返す肉の輪は、痛いほど締め付けてくる。

「熱い……」

 僕は、人さし指でバンさんのいい場所を探った。

「ぁ……!」

 1度引いて、今度は中指も一緒に中へ押し込む。
 コリコリした部分を突きながら、
 足を抱くように片方の手を前に回し、屹立を扱いた。

「ぅあっ、おまっ……あっ、あぁっ、あっ!」

 耳の脇で、ピクピクとバンさんの足先が跳ねる。

「やめっ、イク……イクからっ……」

「バンさん、凄いよ……指、噛み千切られそう……」

 僕は唸るように告げた。
 今にも彼の中に押し入りたくてたまらない。

「ん、ぐっ……ぅ……も、ムリ……」

 勢いよく白濁が噴き上がるまで、
 そう時間はかからなかった。

「ユリア……ぁ、ユリア、ユリアッ、
 ダメだ、もうっ、出る、出る出る……うぁ……!」

 ねっとりとした白が、バンさんの華奢な胸に飛び散り、
 鼓動に呼応するように中の肉道がうねる。

「あ……ぁ……」

「たくさん出たね」

 陶然として胸を上下させるバンさんを見下ろし、僕は微笑んだ。
 でも中を弄る手も、屹立を扱く手も止めない。

「ひ、ぁ……あっ……ユリっ、手っ……」

「ここから、もっと気持ち良くなれるでしょ?」

「やめっ、イッたばっかだって……ぁぐっ、うっ……」

 果てたばかりの敏感な身体を責め立てる。
 がっちりと腰を抱いているせいで、
 彼はろくな抵抗もできずにされるがままだ。

「ひっ、ぁっ、あっ、あっ、うぁっ、あっ!」

 逃げられないと観念したのか、
 バンさんは目を閉じて、ベッドのシーツをキツく握りしめた。

 荒々しく胸が上下する。
 半開きになった唇からは、飲み下し切れなかった唾液がこぼれて顎を伝った。

「ふっ、ぅ、あっ……あっ」

 後孔の締め付けがどんどん緩くなって、
 指が滑らかに出入りする。
 僕は薬指も押し込んで、3本の指で中を丁寧に拡げた。
 もちろん、引き続き前も。

「……て、くれよ……頼む、から……」

「もう少しだけ」

「う、ふぅう……ば……や、ろ……っ」

 中を弄る指がふやけそうになってやっと、僕は指を抜いた。

 バンさんは腕を目元に押し付け、胸を喘がせていた。
 薄い胸は淫らに濡れて、ヘソに溜まった白が、つ、と、
 脇腹を伝い、シーツを濡らす。

 僕は力の抜けた彼の足を担ぎ直した。
 それから手早く自身のズボンをくつろげ、
 抑え付けられた痛みで悲鳴を上げていた欲情を取り出す。

「挿れるよ、バンさん」

「へ……?」

 焦点の合わない視線がさまよい、やがて彼は僕を見た。
 今にも押し入ろうとしていた熱を一瞥して、ギョッとする。

「え、あ、待っ……」

 僕は腰を進めた。
 ソコは、たくさん解しただけあって、
 ひとつの抵抗もなく、僕の滾りを飲み込む。

「っ、ぅう、ぁっ……」

 一息に、指では到底届かない場所をこじ開け、
 傘張る先端を突き入れた。

 パンッ! と、激しい打擲音が弾け、

「~~~~~~~ッッッ!」

 バンさんが勢いよく背を仰け反らせる。
 その腰を抱いたまま、僕は間髪入れずに彼の身体を揺さぶった。

「あっ、ぁっ、あっ、あああああっ!」

 バンさんの唇から、悲鳴のような嬌声が溢れ出る。

「……っ」

 僕はふぅふぅと荒く呼吸を繰り返しながら、
 彼を揺さぶり続けた。

 気遣ってあげたりだとか、
 そんな余裕なんてなかった。

「バンさん……可愛い……」

「もっ、や……おか、おかひくなっ、あっ……あっ、あぁっ……」

 バンさんの目尻から涙が散る。
 唇から、小さな舌がこぼれ出る。

 彼を甘く蕩かしたいと思う一方で、
 めちゃくちゃに泣かせたい衝動をこらえられない。

 バンさんが、縋るようにこちらに手を伸ばしてくる。
 僕はその手に指を絡めた。

「傍にいるよ。ほら……僕はここにいるよ」

 声をかけると、少しだけバンさんは安心したように吐息をこぼした。

 ……バンさんって、こんなに小さかったっけ?

 泣きじゃくりながら射精する彼を見下ろして、
 ふと、僕はそんなことを思った。

 こんなに細い人だったっけ?

 引き締まっているとは言え、バンさんは小柄だった。
 細かった。加えてその身体は傷だらけだった。

 家族を守るために、たくさん頑張ってきた証だ。
 そんな彼は、家族だけじゃなくて僕のことも守ってくれた。
 逃げることでしか自分を保てなかった僕に、
 彼は、戦う勇気をくれた。

「好きだよ、バンさん。
 大好きだよ……」

 甘えて、よりかかって、八つ当たりをした僕を、
 それでも彼は見捨てないでくれた。
 愛してくれた。

「バンさん……」

「ん、んんっ、んむぅっ……」

 呼吸を奪うように口付けた。

 骨の髄まで啜って、彼の全てを胃に収めるように、
 僕はバンさんを貪る。
 彼を『剥いて』いく。

 もっとも無垢な姿になるまで。
『僕』のことが……見えなくなるまで。

「ふ、ぅ……ぅう、も、や……
 ぃ、イク、の、止まらなっ……ひ、ぅあ……や……ぁ」

 放られた快楽の果てに、自我を置き忘れてきたかのように、
 バンさんがだらしなく喘ぐ。

「あなたの隣を歩けるくらい、強くなるから。
 絶対に、あなたのこと……幸せにするから……」

 僕は涙と汗で濡れた頬に、たくさんキスを落としながら、
 本能に突き動かされるまま彼を抱き、
 その最奥に想いの丈を何度も注ぎ込んだ……。
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