僕はまだ料理人ではないけれど異世界でお食事処を開きます。

佐間瀬 友

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18話 カレーと交換

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こねて丸めておいた生地を薄く延ばす。空焼きしておいたフライパンにポイっと入れて少し待つ。
その間に次の生地をまた伸ばしておく。しばらく経つとぷくっと膨れてくるのでひっくり返して軽く焼いたら出来上がり。インドカレーだとナンが有名だけどチャパティも素朴であっさりしていてパクパクいけるくらい美味しい。

シュミットさんが持ってきてくれた新しいお皿と小さいボウルを早速使ってみる。

「はい、お待たせ。」
お腹を空かせたクローディアの前にカレーと焼立てのチャパティを1枚置く。
うん、木の食器っていいな。いつもより料理が美味しそうに見える気がする。

ひとくち食べた彼女の顔がぱあーと明るくなった。良かった気に入ってもらえたようだ。
美味しそうに食べてくれるクローディアが可愛くて思わず頭を撫でたくなる。大人が子供の頭を撫でたくなるのはこんな気持ちなのだろうか?

ジェイとシュミットさんの二人が椅子を二つ持ってきてくれたので、元からあった椅子を真ん中に置いてテーブル代わりにする。

二人にもカレーとチャパティを皿にのせて出した。
これをちぎってつけて食べてみてくださいとクローディアに言ったのと同じように説明する。
ふたりは恐る恐るちぎったチャパティをカレーにつけて口にする。
それはそうだろう、カレーは食べたことがない人にとっては、きっと結構勇気がいる見た目と匂いだ。

「う、まい!」「...うん。」
ふたりからそれぞれ声が上がる。良かった~。
「辛さは抑え気味だから食べやすいと思うんですけど。好みでもっと辛くすることもできますよ。」

「へ~、ほんと美味しいなこれ。カレーって言うんだっけ?」
ジェイがそう言うともう一切れカレーをつけて口に放り込んだ。
「はい。今回はチャパティにしてみましたが、お米に掛けて食べても美味しいですよ。お米ってありましたっけ?この国。」

「あるある。イモを食べることが多いけどコメもあるよ。試してみたいなぁ。」
「今日は用意がないですけど良かったらまた今度作りますよ。」

「いや~。ほんと皆にも食べさせてやりたいよ。なんなら、ここで食堂でもやったら?」

そんな話をしている間にもクローディアはどんどんお代わりをしていく。僕もどんどんチャパティを焼いていくけどなかなか追いつけない。

う~ん、フライパンよりバーベキューで使うような鉄板があるといいかも。お好み焼きとか焼くのにも便利だし。カネルがいるから鉄板でもきっと火加減は大丈夫そうだ。
でも、お好み焼きはソースを作らないとなぁ。マヨネーズは結構簡単に作れるけど、ソースは手間がかかる。やっぱり、調味料がネックだよな。そんなことを考えながら黙々とチャパティを焼き続ける。

ああ、でもそれよりもテーブルと椅子かなぁ。

「あの、シュミットさん?」さっきから無言で黙々と食べているシュミットさんに声を掛ける。
「...?」
「追加でここに置くテーブルと、椅子の注文をお願いできますか?」

まあ、今回みたいなこともあるしやっぱりテーブルと椅子をワンセットぐらい用意しておいた方がいいだろう。

シュミットさんは少し考えた後ビックリすることを言いだした。
「...。また、カレーを食べさせてくれるなら、テーブルと椅子を交換に作る。」

「え?!いえさすがにそれは安すぎますよ。カレーならまた食べに来てください。」

「...。じゃあ、カレー5回分。」それでも安すぎるでしょと思ったが、シュミットさんは引かなかった。

「いいんじゃねえか?シュミットがそれでいいって言っているんだし。」
ジェイが助け舟を出してくる。

「はあ、でも。じゃあ、せめて椅子は叔母さんに頼んで買ってもらうので、テーブルとカレー5回分でどうでしょうか?」まあそれでもずいぶん安いけど。
「...。わかった。それでいい。直ぐに作ってくる。大きさはどうする?」
「え、ははい。じゃあ、4人掛けの物で。大きさは良く分からないので、あまり大きすぎない一般的なものでお任せします。」

「...。天板に柄は入れても良いか?」

う~ん、天板はシンプルな方が汚れも拭きやすくていいなあ。

「いえ、天板には入れないでもらえると。」
明らかにシュミットさんがシュンとなるのが分かった。そんなに、模様を掘りたいのだろうか。
「あ、あのじゃあテーブルの足と、椅子の背もたれのの部分に少し模様を入れてください。」
申し訳なくなって付け足すと、彼の顔が今度は明るくなる。良かった。
「...。帰ってすぐ作る。」
そう言ってシュミットさんはあっという間に帰って行った。

残ったバルマンさんが不満げに言った。
「いいな~。カレー5回分かぁ。」
だから別に、カレーぐらい作るのにと思う。
「なあ、俺んちで何か欲しいものない?」
でも、あ!欲しいものがあった。
「あの~、料理でつかう鉄板が欲しいんですけど。こういう四角くてコンロの上に置けるような。」
「え、まじ?いいよいいよ!じゃあ、それとカレー5回分で!」また、5回分なのか。
ジェイはやった~、と喜んで帰って行った。

テーブル、椅子、鉄板は3日後には届いていた。
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