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舞踏会の準備
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結局、精霊王の行方についてその後、シエルの口から語られることはなかった。
朝食の席でどんな夢を見たのかとしつこく聞きたがるのはいつものこと。
なんで、人の夢なんて知りたいのかしら。
そうこうしている間に、私の社交界デビューの日となった。
舞踏会自体は日が落ちる頃から始まるのだけれど、もちろん準備をするのは随分前から始まる。
乳母が辞めたあとに雇ったメイドのマリーとサンドラが、我が家に来てから初の大仕事とばかりに張り切って、今まで用意してきた成果を遺憾なく発揮していた。
マリーとサンドラは見た目は対象的で、マリーは小柄で赤毛、ちょこまかと動き回る様は可愛い子ネズミみたい。サンドラは銀髪でスラッと背が高くどちらかと言うとちょっとクールな感じに見える。
二人とも私より年上ではあるけど、まだ十代だ。
王妃様が紹介してくださった例のデザイナーのマダムローズモンドと、ほぼ二人が話し合って(私が口を挟む余地はなかった)私に最高に似合うデザインになったそうだ。
マダムはふくよかな中年の女性で、なかなか他の誰も着こなせないような個性的なドレスを着こなしていた。年の割には明るい張りのある艶々の肌にピンクの頬紅を濃い目につけていて、十代のマリーとサンドラと同じテンションで話していた。
「王妃様より生地は隣国より取り寄せました最上の物をお預かりしていまして、この色合いといい軽い素材といい、さすが王妃様です!」
そういってマダムローズモンドが持ってきたのは見たことがないくらい薄くて軽いシフォン地の淡いグリーンの反物だった。
「素敵です!お嬢様の濃いエメラルドグリーンの目にとっても似合います!」
「で、こちらの最上のシフォン地をですね、このパールホワイトの光沢のあるシルク地に贅沢にも幾重にか重ねて...。」
「やはり公式デビューの舞踏会ですから初々しさがあった方が良いですものね!」
等々…
もう、3人でどうぞ勝手にされてください。といった感じだった。
どんな派手なものになるのかとドキドキしていたので、出来上がった品物を見た時にはほっとした。
淡いグリーンのシフォンでフワッとした軽やかなラインが清楚な感じで、確かに私の明るい金髪と濃いグリーンの目に合っていた。夜の舞踏会に着ていくものなので、胸元と背中は広く開いていたが、オフホワイトのレースが贅沢に縫い付けられていて嫌らしい感じには全く見えない。
着付けが終わった頃に部屋の扉がノックされる。
「リリアナ?そろそろ着替え終わったかい?」
シエルが私の返事と共に滑るように入ってくる。
「旦那様お待たせいたしました。もう、終わりますので。」
サンドラがそういって頭を下げる。
私も鏡越しにシエルを見る。
シエルが仕事に行く時は白いシャツに黒いローブ姿だ。ローブには銀糸で凝った刺繍が施してはあったけど、全体的にシンプルな格好だ。
ふだん舞踏会などの席には参加しないシエルも、流石に今日は私に合わせてくれたのだろう。
シルバーの縁取りが入った襟の高い、深いブルーのジャケット、ふんだんに襟元にフリルの入った光沢のあるシャツ、肩まである漆黒の髪を後ろでひとつにきっちりまとめて撫で付けた様に思わず鏡越しに見惚れる。
何て言うか無駄に色気が駄々漏れしているというか。
マリーとサンドラがシエルを見てほぅっとため息を着くのが聞こえた。
前世でも結局この色気に周囲がやられてしまい結婚まで、強引に持ち込まれてしまった。
きっと今夜も女性達の視線を釘付けにする事だろう。
ふ~っとわたしも別の意味で思わずため息が出てしまい、マリーとサンドラにコルセットが苦しいのかと心配される。
まあ、苦しいにはくるしいけど、今のタメ息はコルセットのせいでは無いような気がしてふるふると頭を降って考えを振り払った。
朝食の席でどんな夢を見たのかとしつこく聞きたがるのはいつものこと。
なんで、人の夢なんて知りたいのかしら。
そうこうしている間に、私の社交界デビューの日となった。
舞踏会自体は日が落ちる頃から始まるのだけれど、もちろん準備をするのは随分前から始まる。
乳母が辞めたあとに雇ったメイドのマリーとサンドラが、我が家に来てから初の大仕事とばかりに張り切って、今まで用意してきた成果を遺憾なく発揮していた。
マリーとサンドラは見た目は対象的で、マリーは小柄で赤毛、ちょこまかと動き回る様は可愛い子ネズミみたい。サンドラは銀髪でスラッと背が高くどちらかと言うとちょっとクールな感じに見える。
二人とも私より年上ではあるけど、まだ十代だ。
王妃様が紹介してくださった例のデザイナーのマダムローズモンドと、ほぼ二人が話し合って(私が口を挟む余地はなかった)私に最高に似合うデザインになったそうだ。
マダムはふくよかな中年の女性で、なかなか他の誰も着こなせないような個性的なドレスを着こなしていた。年の割には明るい張りのある艶々の肌にピンクの頬紅を濃い目につけていて、十代のマリーとサンドラと同じテンションで話していた。
「王妃様より生地は隣国より取り寄せました最上の物をお預かりしていまして、この色合いといい軽い素材といい、さすが王妃様です!」
そういってマダムローズモンドが持ってきたのは見たことがないくらい薄くて軽いシフォン地の淡いグリーンの反物だった。
「素敵です!お嬢様の濃いエメラルドグリーンの目にとっても似合います!」
「で、こちらの最上のシフォン地をですね、このパールホワイトの光沢のあるシルク地に贅沢にも幾重にか重ねて...。」
「やはり公式デビューの舞踏会ですから初々しさがあった方が良いですものね!」
等々…
もう、3人でどうぞ勝手にされてください。といった感じだった。
どんな派手なものになるのかとドキドキしていたので、出来上がった品物を見た時にはほっとした。
淡いグリーンのシフォンでフワッとした軽やかなラインが清楚な感じで、確かに私の明るい金髪と濃いグリーンの目に合っていた。夜の舞踏会に着ていくものなので、胸元と背中は広く開いていたが、オフホワイトのレースが贅沢に縫い付けられていて嫌らしい感じには全く見えない。
着付けが終わった頃に部屋の扉がノックされる。
「リリアナ?そろそろ着替え終わったかい?」
シエルが私の返事と共に滑るように入ってくる。
「旦那様お待たせいたしました。もう、終わりますので。」
サンドラがそういって頭を下げる。
私も鏡越しにシエルを見る。
シエルが仕事に行く時は白いシャツに黒いローブ姿だ。ローブには銀糸で凝った刺繍が施してはあったけど、全体的にシンプルな格好だ。
ふだん舞踏会などの席には参加しないシエルも、流石に今日は私に合わせてくれたのだろう。
シルバーの縁取りが入った襟の高い、深いブルーのジャケット、ふんだんに襟元にフリルの入った光沢のあるシャツ、肩まである漆黒の髪を後ろでひとつにきっちりまとめて撫で付けた様に思わず鏡越しに見惚れる。
何て言うか無駄に色気が駄々漏れしているというか。
マリーとサンドラがシエルを見てほぅっとため息を着くのが聞こえた。
前世でも結局この色気に周囲がやられてしまい結婚まで、強引に持ち込まれてしまった。
きっと今夜も女性達の視線を釘付けにする事だろう。
ふ~っとわたしも別の意味で思わずため息が出てしまい、マリーとサンドラにコルセットが苦しいのかと心配される。
まあ、苦しいにはくるしいけど、今のタメ息はコルセットのせいでは無いような気がしてふるふると頭を降って考えを振り払った。
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