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ファーストダンス
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まだ、いらっしゃるのは先だと思っていたけど、もうそんな時間になっていたらしい。
さすがにシエルも怒気を治め、リカルドも軽口を叩くのを止めると、国王夫妻がいらっしゃる玉座に目をやる。
お二人がフロアより高くなった玉座のある場所に立ちフロアを見渡す。
前方から頭を下げる人達のさざ波のような衣擦れが、私たちの居る入り口近くまで静かに押し寄せて来る。女性たちは色とりどりのドレスを持ち上げて膝を折り、男性は胸元に片手を当てて頭を下げた。
私たちも、もちろんそれに倣って頭を下げる。
国王夫妻がそれぞれ腰かけられると、今度は先触れを告げた従者が頭を上げるように声を掛けた。
前方を見ると、侍女達に連れられたお子様方が国王夫妻に並んで小さな椅子に腰かけている。
その可愛らしさに思わずと言ったため息があちこちから上がった。
遅い時間の催しには、参加しないと思っていたけど今回はお顔を出されたみたい。
さすがに一番下の王女様は少し眠そうだけど。
続けて従者が、今日社交界デビューで国王に挨拶に伺う者の名前を読み上げ始めた。
「いけない!早く陛下の元まで行かないと!」
本当ならもっと早めに前の方へ行っていなくてはならなかったのに、まだ大丈夫だと思って油断していた。自分のあいさつの順番に控えていないなんて、不敬もいいところ。
「大丈夫だ。」
シエルが慌てる私の私の片手を取り、人込みの中に一歩踏み出した。
不思議なことにこれだけ人が居るにもかかわらず、シエルはスルスルと人の間を抜けて行く。
まるで、どこに通り道があるのかすべて把握しているようだ。
実際、彼には見えているのだろう。
対する私は必死に手を引かれてついて行くと、ポンっと玉座の下にいきなり出た。
まだ私の名前は呼ばれておらず、ふうっと息をついて呼吸を整える。
しばらくして私の名前が呼ばれると、シエルが手を引いてエスコートしてくれる。玉座の前に出ると先程と同じように最敬礼をして国王一家にご挨拶をした。
「リリアナ、これで貴方も大人の仲間入りね。おめでとう。」
王妃様がお声を掛けてくれる。
「リリアナの社交デビューを見たいと言いはるから、今宵だけは特別に我が家のおちび達も参加させたのだ。」今度は陛下から説明があった。
そうだったのね。なぜ、お子様達が夜会に参加させてもらえたのか不思議だったのだ。
「まあ、ありがとございます、王子様、王女様方。」
お子様達にもお礼を申し上げると、緊張に強ばっていた顔が自然と笑顔になるのが自分でも分かった。
「さあ、ではお前たちはここまでですよ。」
王妃様が侍女に子供達を寝かしつけるように指示を出す。
「「「 は~い。」」」
お子様たちも取り敢えず目的は果たせたからか、しぶしぶではあったが笑顔で手を降りながら下がっていく。
挨拶は私が最後だったようで、シエルと私が挨拶を終えて横に下がると、国王様がさっと手を上げて音楽がまた始まった。
今まで、待たされていた人々がまた踊りの輪の中に飛び込んでいく。
「リリアナ、私と踊っていただけますか?」
シエルが芝居がかった仕草で私の正面に立つと手を取って自分の口元へ寄せる。
一瞬、前世の光景がフラッシュバックして見え心臓がはね上がった。
でも、シエルの目を除き込むとからかっているような表情が見えて現実に帰る。
ダメダメ!ここでぼ~としてまた同じことを繰り返してはだめ!
気合いを入れ直してにっこりと余所行きの笑顔を張り付ける。
「はい、ぜひお願い致します。お父様?」お父様と言うところを強調する。
「リリアナ!」
シエルは眉間に皺を寄せて睨み付けてきたが、素知らぬ顔をしてホールの中央へと足を踏み出した。
周りの好奇心に溢れた目も気にならないわけではなかったけど、頑張って無視することにした。
きっとシエルと一緒いる限り注目を浴びるのは仕方がない。
前世はほとんど引きこもっていたから、そんなことも知らないですんだけど…。
曲に合わせてステップを踏みつつ、そっと下からシエルの顔を盗み見る。
「何だ?」
「いいえ。一緒に踊るのは初めてですけどお上手ですね。」
「…初めてか。そうだな。」
何だろう?子供の頃一緒に踊ったことがあったのだろうか?
今生では初めてだったと思ったけど?
それとも、前世の奥さんとそっくりになってきた私を見て昔を思い出しているのかしら?
結局、それ以上は会話も弾まず曲を終えてしまった。
さすがにシエルも怒気を治め、リカルドも軽口を叩くのを止めると、国王夫妻がいらっしゃる玉座に目をやる。
お二人がフロアより高くなった玉座のある場所に立ちフロアを見渡す。
前方から頭を下げる人達のさざ波のような衣擦れが、私たちの居る入り口近くまで静かに押し寄せて来る。女性たちは色とりどりのドレスを持ち上げて膝を折り、男性は胸元に片手を当てて頭を下げた。
私たちも、もちろんそれに倣って頭を下げる。
国王夫妻がそれぞれ腰かけられると、今度は先触れを告げた従者が頭を上げるように声を掛けた。
前方を見ると、侍女達に連れられたお子様方が国王夫妻に並んで小さな椅子に腰かけている。
その可愛らしさに思わずと言ったため息があちこちから上がった。
遅い時間の催しには、参加しないと思っていたけど今回はお顔を出されたみたい。
さすがに一番下の王女様は少し眠そうだけど。
続けて従者が、今日社交界デビューで国王に挨拶に伺う者の名前を読み上げ始めた。
「いけない!早く陛下の元まで行かないと!」
本当ならもっと早めに前の方へ行っていなくてはならなかったのに、まだ大丈夫だと思って油断していた。自分のあいさつの順番に控えていないなんて、不敬もいいところ。
「大丈夫だ。」
シエルが慌てる私の私の片手を取り、人込みの中に一歩踏み出した。
不思議なことにこれだけ人が居るにもかかわらず、シエルはスルスルと人の間を抜けて行く。
まるで、どこに通り道があるのかすべて把握しているようだ。
実際、彼には見えているのだろう。
対する私は必死に手を引かれてついて行くと、ポンっと玉座の下にいきなり出た。
まだ私の名前は呼ばれておらず、ふうっと息をついて呼吸を整える。
しばらくして私の名前が呼ばれると、シエルが手を引いてエスコートしてくれる。玉座の前に出ると先程と同じように最敬礼をして国王一家にご挨拶をした。
「リリアナ、これで貴方も大人の仲間入りね。おめでとう。」
王妃様がお声を掛けてくれる。
「リリアナの社交デビューを見たいと言いはるから、今宵だけは特別に我が家のおちび達も参加させたのだ。」今度は陛下から説明があった。
そうだったのね。なぜ、お子様達が夜会に参加させてもらえたのか不思議だったのだ。
「まあ、ありがとございます、王子様、王女様方。」
お子様達にもお礼を申し上げると、緊張に強ばっていた顔が自然と笑顔になるのが自分でも分かった。
「さあ、ではお前たちはここまでですよ。」
王妃様が侍女に子供達を寝かしつけるように指示を出す。
「「「 は~い。」」」
お子様たちも取り敢えず目的は果たせたからか、しぶしぶではあったが笑顔で手を降りながら下がっていく。
挨拶は私が最後だったようで、シエルと私が挨拶を終えて横に下がると、国王様がさっと手を上げて音楽がまた始まった。
今まで、待たされていた人々がまた踊りの輪の中に飛び込んでいく。
「リリアナ、私と踊っていただけますか?」
シエルが芝居がかった仕草で私の正面に立つと手を取って自分の口元へ寄せる。
一瞬、前世の光景がフラッシュバックして見え心臓がはね上がった。
でも、シエルの目を除き込むとからかっているような表情が見えて現実に帰る。
ダメダメ!ここでぼ~としてまた同じことを繰り返してはだめ!
気合いを入れ直してにっこりと余所行きの笑顔を張り付ける。
「はい、ぜひお願い致します。お父様?」お父様と言うところを強調する。
「リリアナ!」
シエルは眉間に皺を寄せて睨み付けてきたが、素知らぬ顔をしてホールの中央へと足を踏み出した。
周りの好奇心に溢れた目も気にならないわけではなかったけど、頑張って無視することにした。
きっとシエルと一緒いる限り注目を浴びるのは仕方がない。
前世はほとんど引きこもっていたから、そんなことも知らないですんだけど…。
曲に合わせてステップを踏みつつ、そっと下からシエルの顔を盗み見る。
「何だ?」
「いいえ。一緒に踊るのは初めてですけどお上手ですね。」
「…初めてか。そうだな。」
何だろう?子供の頃一緒に踊ったことがあったのだろうか?
今生では初めてだったと思ったけど?
それとも、前世の奥さんとそっくりになってきた私を見て昔を思い出しているのかしら?
結局、それ以上は会話も弾まず曲を終えてしまった。
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