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第二章
初めてのお泊り 1
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荷台に横になって直ぐは、馬車の揺れを体全体で受けるのに慣れず、寝れるわけがないと思っていたのに、朝が早かったのと初めての旅で興奮して知らぬ間に疲れていたのだろう、あっと言う間に荷台で寝てしまった。はっと目が覚めると頭の上の空が少し暗くなっていた。起き上がると夕焼けで遠くの空が赤く染まっているのが見えた。
「綺麗。」
王都の建物の間から見える夕日とはまた違い、山間に太陽が沈んでいく様は圧巻だった。思わず漏れた声にシエルが振り向く。
「起きたか?」
「ごめんなさい。私、ずいぶん寝ていましたね。」
「いや、だが暗くなる前にそろそろ今晩寝る場所を決めないとな。」
確かに王都と違って街灯があるわけもなく日が落ちたらこの辺りは真っ暗になってしまうだろう。でも、見渡してもいつの間にか田園どころか人の手が入っていない草原と森、遠くに山々が見えるだけの景色だ。宿どころか民家もありそうもない。
シエルは私にしっかり掴まっていろと声を掛けると、今まで走っていた馬車に踏み固められた道から、左手の草原に馬車を乗り上げた。それほど背丈が高くない草が生えてはいたけど、馬車など入らない草むらに無理やり乗り入れたのでかなり揺れた。それでも頑張って馬はシエルの手綱捌きに従って道から離れて草の中を少し進んだ。
森の手前まで来るとシエルが馬車を停める。先程まで走っていた道が少し遠くに見えた。
これはもしかして、初日から野宿!
私が期待半分、不安半分の気持ちでわくわくしながら荷台に掴まっているとシエルは御者台から飛び降り、私のことを軽々と持ち上げ荷台から下ろしてくれる。
シエルは森と草原の境目に生えている一本の木に近寄るとその木を見上げて手を振り上げた。すると、不思議なことに木の枝がするするとアーチ状にシエルの目の前の地面まで伸びてきた。更に他の枝も同じように伸びてきてあっという間に木の枝と葉でできた大きな鳥の巣の様なものが出来上がった。いや、鳥の巣というよりは形は大きな鳥籠のような感じだろうか?
「リリアナ。おいで。」
呼ばれて中を覗いてみる。意外と高さがあり、長身のシエルでも充分に立っていることができた。床には柔らかそうな葉が敷かれて、手で軽く押してみるとフカフカとした。
「素敵ね。これはシエルの魔法なの?」
「いや、マティウスからの贈り物だそうだ。」
「まあ!では精霊たちが作ってくれたの?」
残念ながら私には精霊は見えないけど。
「ああ、こいつらはリリアナが大好きだからな。喜んで作っていたよ。」
シエルは気に入らなそうに説明してくれた。以前シエルの部下のリカルドや精霊王マティウス様にも言われたけど私は精霊から無条件に好かれる体質らしい。先日、リカルドがこんな話をしてくれた。
「例えるなら精霊たちにとってリリアナは、もう堪らなく大好きなお菓子って感じかな。匂いも見た目も甘さも全部好きなんだ。好きすぎてそれが無くなったら一大事みたいな。」
「お菓子って...。」
ちょっとどんな例えなの?
「え?お菓子じゃなかったら、中毒性のある酒とか薬とか?」
お菓子で良いです。
「じゃあ、シエルとリカルドは?」
「まあ僕の事は何とも思っていないんじゃないかな。珍しく自分たちが見える人間がいる。ちょっとこいつ面白いから気が向いたら話してやってもいいかなぐらいだと思うよ。勝手に話して勝手に去っていく感じ。普通に対話している大魔法使い様が異質って言うか特別。基本、精霊たちは人間の言うことなんて聞かないし興味もないって感じなんだけど、大魔法使い様には構いに来るし、大魔法使い様も精霊たちに対して一見面倒くさいっていう態度だけど本当に邪険にはしないし。少なくとも僕に対する態度よりよっぽど優しいと思う。」
なんか身内がすいません。
「もし、リリアナが精霊たちを見ることが出来たら、大魔法使い様と同じように対話できるんじゃないかな。」
ただ、それをシエルが利用して、精霊達にマティウス様を説得させて私の転生を手伝わせたと言うことを聞いていたので何とも複雑でありがた迷惑な話ではある。自分では、見えないから何とも言えないけど。とりあえず、何処にいるのか分からない精霊たちにお礼をいっておく。
「あの、ありがとう。素敵な部屋を作ってくださって。」
何となく空中に向かってお礼を言ってみる。気のせいか、ただ風が通り過ぎただけか、周りの木の葉がザワザワと音をたてた。
「明日は小さな街に泊まれるが今日は野宿で我慢してくれ。ここで食事をして寝よう。」
「我慢だなんて!こんな素敵な所に泊まれてとても嬉しい!」
きっと、どんな旅人だってこれほど素敵な場所に泊まることなんでできないに違いない。こんなに貴重な体験ができるなんて!私の言葉に賛同するようにまた回りの木々がさわさわと揺れた。
シエルははしゃぐ私を見て少し呆れたようなほっとしたような複雑な顔をした。
少しはしゃぎすぎたかしら?ちょっと恥ずかしくなって、馬車から荷物を降ろしてくると言ってシエルに背を向けた。
「綺麗。」
王都の建物の間から見える夕日とはまた違い、山間に太陽が沈んでいく様は圧巻だった。思わず漏れた声にシエルが振り向く。
「起きたか?」
「ごめんなさい。私、ずいぶん寝ていましたね。」
「いや、だが暗くなる前にそろそろ今晩寝る場所を決めないとな。」
確かに王都と違って街灯があるわけもなく日が落ちたらこの辺りは真っ暗になってしまうだろう。でも、見渡してもいつの間にか田園どころか人の手が入っていない草原と森、遠くに山々が見えるだけの景色だ。宿どころか民家もありそうもない。
シエルは私にしっかり掴まっていろと声を掛けると、今まで走っていた馬車に踏み固められた道から、左手の草原に馬車を乗り上げた。それほど背丈が高くない草が生えてはいたけど、馬車など入らない草むらに無理やり乗り入れたのでかなり揺れた。それでも頑張って馬はシエルの手綱捌きに従って道から離れて草の中を少し進んだ。
森の手前まで来るとシエルが馬車を停める。先程まで走っていた道が少し遠くに見えた。
これはもしかして、初日から野宿!
私が期待半分、不安半分の気持ちでわくわくしながら荷台に掴まっているとシエルは御者台から飛び降り、私のことを軽々と持ち上げ荷台から下ろしてくれる。
シエルは森と草原の境目に生えている一本の木に近寄るとその木を見上げて手を振り上げた。すると、不思議なことに木の枝がするするとアーチ状にシエルの目の前の地面まで伸びてきた。更に他の枝も同じように伸びてきてあっという間に木の枝と葉でできた大きな鳥の巣の様なものが出来上がった。いや、鳥の巣というよりは形は大きな鳥籠のような感じだろうか?
「リリアナ。おいで。」
呼ばれて中を覗いてみる。意外と高さがあり、長身のシエルでも充分に立っていることができた。床には柔らかそうな葉が敷かれて、手で軽く押してみるとフカフカとした。
「素敵ね。これはシエルの魔法なの?」
「いや、マティウスからの贈り物だそうだ。」
「まあ!では精霊たちが作ってくれたの?」
残念ながら私には精霊は見えないけど。
「ああ、こいつらはリリアナが大好きだからな。喜んで作っていたよ。」
シエルは気に入らなそうに説明してくれた。以前シエルの部下のリカルドや精霊王マティウス様にも言われたけど私は精霊から無条件に好かれる体質らしい。先日、リカルドがこんな話をしてくれた。
「例えるなら精霊たちにとってリリアナは、もう堪らなく大好きなお菓子って感じかな。匂いも見た目も甘さも全部好きなんだ。好きすぎてそれが無くなったら一大事みたいな。」
「お菓子って...。」
ちょっとどんな例えなの?
「え?お菓子じゃなかったら、中毒性のある酒とか薬とか?」
お菓子で良いです。
「じゃあ、シエルとリカルドは?」
「まあ僕の事は何とも思っていないんじゃないかな。珍しく自分たちが見える人間がいる。ちょっとこいつ面白いから気が向いたら話してやってもいいかなぐらいだと思うよ。勝手に話して勝手に去っていく感じ。普通に対話している大魔法使い様が異質って言うか特別。基本、精霊たちは人間の言うことなんて聞かないし興味もないって感じなんだけど、大魔法使い様には構いに来るし、大魔法使い様も精霊たちに対して一見面倒くさいっていう態度だけど本当に邪険にはしないし。少なくとも僕に対する態度よりよっぽど優しいと思う。」
なんか身内がすいません。
「もし、リリアナが精霊たちを見ることが出来たら、大魔法使い様と同じように対話できるんじゃないかな。」
ただ、それをシエルが利用して、精霊達にマティウス様を説得させて私の転生を手伝わせたと言うことを聞いていたので何とも複雑でありがた迷惑な話ではある。自分では、見えないから何とも言えないけど。とりあえず、何処にいるのか分からない精霊たちにお礼をいっておく。
「あの、ありがとう。素敵な部屋を作ってくださって。」
何となく空中に向かってお礼を言ってみる。気のせいか、ただ風が通り過ぎただけか、周りの木の葉がザワザワと音をたてた。
「明日は小さな街に泊まれるが今日は野宿で我慢してくれ。ここで食事をして寝よう。」
「我慢だなんて!こんな素敵な所に泊まれてとても嬉しい!」
きっと、どんな旅人だってこれほど素敵な場所に泊まることなんでできないに違いない。こんなに貴重な体験ができるなんて!私の言葉に賛同するようにまた回りの木々がさわさわと揺れた。
シエルははしゃぐ私を見て少し呆れたようなほっとしたような複雑な顔をした。
少しはしゃぎすぎたかしら?ちょっと恥ずかしくなって、馬車から荷物を降ろしてくると言ってシエルに背を向けた。
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