4 / 184
S.B
しおりを挟む
富山が騒がしく出て行った後、二人きりの事務所はやけに静かに感ぜられる。
圭は、園子の誕生日、家族構成、性格の書かれた紙と、写真を眺めていた。
「君が引き受けるとは思わなかった」
「理由は先ほど申し上げた通りです」
「ご尤もだが、君、探偵小説好きだったっけね」
「はい。それが何か?」
「いや」
「長瀬さん、富山男爵家の姉妹について、教えて頂けませんか?」
淡々とした口調だが、圭は乗り気の様子だ。一方、富山は今頃女学校に、突然の転校生をゴリ押ししているだろうから、諦めるしかない。
「姉の高子さんは、令嬢のお手本の様な娘だよ。パーティーに出ても、婦人としか話さない。
反対に、妹の園子さんは、流行りのドレスに華やかな装飾品、断髪で、所謂モガ(モダンガール)だね。
後ろで父親が見張っているけど、初対面の男とでも平気で話しをする」
「長瀬さんとの初対面はいつでしょう?」
「二人共、三年前。最後に会ったのは、一年前かな。二度しか会っていないけどね。
そういえば二度目に会った時、園子さんは大人しかったな。挨拶はしたけど、仏頂面で、男を避けているふしがあった。
逆に、高子さんは、大人しいのは相変わらずなのに、妙な、変な言い方だけど、色気を感じたな」
圭の目が冷たくなった。潔癖な少年の目だ。
「ち、違うよ、変な意味じゃない。俺は高子さんとは、挨拶意外関わっちゃいない。
こういう事って、興味の有無に関わらず、感づくんだよ」
「一卵性双生児なので、間違えたのでは?」
「髪型が違うよ。高子さんは長い髪を結っていたからね」
二人を思い出す。服装は全く違うが、同じ顔、同じ体型の美しい少女。
高子は常に着物で、母親から離れず、声もか細かった。
一方園子は、最新のモードを着こなし、装飾品も華美。自らの美しさに自信を持っているらしく、堂々たる振舞いであった。
同じ美しさでありながら、珊瑚と金剛石のように、全く違った雰囲気を持つ姉妹。
二人の違いは、生い立ちが大きく関わるだろう。
「双子は嫌われる」
「突然ですね。獣腹と言われるそうですね」
「畜生腹ともね。
ようは、動物のように子を生むってことで、人より下と見做される。世間体を考えて、下の子を里子に出す事が多いらしいけど、最悪の場合、命を取る」
圭は、園子の誕生日、家族構成、性格の書かれた紙と、写真を眺めていた。
「君が引き受けるとは思わなかった」
「理由は先ほど申し上げた通りです」
「ご尤もだが、君、探偵小説好きだったっけね」
「はい。それが何か?」
「いや」
「長瀬さん、富山男爵家の姉妹について、教えて頂けませんか?」
淡々とした口調だが、圭は乗り気の様子だ。一方、富山は今頃女学校に、突然の転校生をゴリ押ししているだろうから、諦めるしかない。
「姉の高子さんは、令嬢のお手本の様な娘だよ。パーティーに出ても、婦人としか話さない。
反対に、妹の園子さんは、流行りのドレスに華やかな装飾品、断髪で、所謂モガ(モダンガール)だね。
後ろで父親が見張っているけど、初対面の男とでも平気で話しをする」
「長瀬さんとの初対面はいつでしょう?」
「二人共、三年前。最後に会ったのは、一年前かな。二度しか会っていないけどね。
そういえば二度目に会った時、園子さんは大人しかったな。挨拶はしたけど、仏頂面で、男を避けているふしがあった。
逆に、高子さんは、大人しいのは相変わらずなのに、妙な、変な言い方だけど、色気を感じたな」
圭の目が冷たくなった。潔癖な少年の目だ。
「ち、違うよ、変な意味じゃない。俺は高子さんとは、挨拶意外関わっちゃいない。
こういう事って、興味の有無に関わらず、感づくんだよ」
「一卵性双生児なので、間違えたのでは?」
「髪型が違うよ。高子さんは長い髪を結っていたからね」
二人を思い出す。服装は全く違うが、同じ顔、同じ体型の美しい少女。
高子は常に着物で、母親から離れず、声もか細かった。
一方園子は、最新のモードを着こなし、装飾品も華美。自らの美しさに自信を持っているらしく、堂々たる振舞いであった。
同じ美しさでありながら、珊瑚と金剛石のように、全く違った雰囲気を持つ姉妹。
二人の違いは、生い立ちが大きく関わるだろう。
「双子は嫌われる」
「突然ですね。獣腹と言われるそうですね」
「畜生腹ともね。
ようは、動物のように子を生むってことで、人より下と見做される。世間体を考えて、下の子を里子に出す事が多いらしいけど、最悪の場合、命を取る」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる