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求婚 ニ
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むすっとした表情は山上にとって、二種類の意味があった。怒っている時と、照れている時。今は間違いなく後者であった。
「親御さんに会った?」
「あぁ」
「怒鳴られたろ」
「娘をよろしく。ってさ」
新聞を読む振りで顔をずっと下に向けているが、耳が赤く染まっているのは隠せていなかった。
「公認か。良かったな。いやぁ、めでたい」
いや俺は……とゴニョゴニョ。いつもの山上とは真逆なのが面白い。
「俺のことはもう良いだろう。長瀬君の話を聞こうじゃ無いか」
そろそろからかうのを止めないと、怒るかもしれない。
「これを読んで」
山上と勇一郎が仲良くならんで、二つの醜聞を読むと、苦り切った表情で顔を上げた。
「まずは、圭君の問題だけど……」
隼人は、宗一郎の件を二人に伝えた。
「気になるのはさぁ、どっこの新聞も伝えてない根付けを、どうしてこんな三流紙が勘付いたかってことだな」
「あの根付けがあったのは事実だけど、実際のところ、犯人の持ち物だと決まったわけじゃない。別の日に、客が落とした物かも知れないから、警察は情報を漏らしたりはしないはずだ。
となると、犯人、或いは犯行に加担した奴が、新聞記者に喋ったってことになる。
と、同時に、八田百合子が犯罪に関わっていると認め、失踪した直後に、義兄である八田育夫の醜聞が載るのは、偶然が過ぎるよな」
「八田百合子が認めたのは、娼館に少女を送り込んでいたってことだ。まだ、警察は公表していない。
なのに、義兄が男や女、果ては少女まで買っているという記事が載るのは、何やら繋がりを感じるな」
「繋がりと言うなら、この醜聞記事と娼館の事件、遊郭で起きた殺人事件は、僅かながら繋がっている。
殺された娘は、百合子さんと親しかった。圭君と百合子さんは被害者と加害者の関係だし、百合子さんと八田育夫は義理の兄妹。そこになぜか、圭君の所有していた根付けが、殺害現場から見つかった」
「八田育夫への怒りはもちろんだけど、麻上君への負の感情もありそうだな。
全てに関わっているのは、八田百合子。しかし彼女は今、行方知れずだ」
「親御さんに会った?」
「あぁ」
「怒鳴られたろ」
「娘をよろしく。ってさ」
新聞を読む振りで顔をずっと下に向けているが、耳が赤く染まっているのは隠せていなかった。
「公認か。良かったな。いやぁ、めでたい」
いや俺は……とゴニョゴニョ。いつもの山上とは真逆なのが面白い。
「俺のことはもう良いだろう。長瀬君の話を聞こうじゃ無いか」
そろそろからかうのを止めないと、怒るかもしれない。
「これを読んで」
山上と勇一郎が仲良くならんで、二つの醜聞を読むと、苦り切った表情で顔を上げた。
「まずは、圭君の問題だけど……」
隼人は、宗一郎の件を二人に伝えた。
「気になるのはさぁ、どっこの新聞も伝えてない根付けを、どうしてこんな三流紙が勘付いたかってことだな」
「あの根付けがあったのは事実だけど、実際のところ、犯人の持ち物だと決まったわけじゃない。別の日に、客が落とした物かも知れないから、警察は情報を漏らしたりはしないはずだ。
となると、犯人、或いは犯行に加担した奴が、新聞記者に喋ったってことになる。
と、同時に、八田百合子が犯罪に関わっていると認め、失踪した直後に、義兄である八田育夫の醜聞が載るのは、偶然が過ぎるよな」
「八田百合子が認めたのは、娼館に少女を送り込んでいたってことだ。まだ、警察は公表していない。
なのに、義兄が男や女、果ては少女まで買っているという記事が載るのは、何やら繋がりを感じるな」
「繋がりと言うなら、この醜聞記事と娼館の事件、遊郭で起きた殺人事件は、僅かながら繋がっている。
殺された娘は、百合子さんと親しかった。圭君と百合子さんは被害者と加害者の関係だし、百合子さんと八田育夫は義理の兄妹。そこになぜか、圭君の所有していた根付けが、殺害現場から見つかった」
「八田育夫への怒りはもちろんだけど、麻上君への負の感情もありそうだな。
全てに関わっているのは、八田百合子。しかし彼女は今、行方知れずだ」
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