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苛立ち ニ
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「仕事辞めて呑気に隠居生活するって宣言して三年経つのに、まだ影響力あるもんだから、色んな情報が集まって来るんだよな」
勇一郎は視線を上に一瞬上げると、三人とも、と始めた。
「実業家の父親を持っている。
田村は舶来品を直接買い付けて来て、裕福な家を相手に商売していたが、最近、船が沈んだらしく、資金繰りに困っている。
で、末娘をある、金持ちのドラ息子の嫁に出すことにしたらしいが」
勇一郎は言葉を区切って、圭をちらと見た。
「なにか?」
勘付いて圭が気にした風に問う。
「圭ちゃんの前じゃ言い難いが、言わんことには話が進まねぇんだよな。
その、な、見合いの日にドラ息子が娘を部屋に連れ込んで……」
「そこまででいい」
耐えかねたように、山上が止めた。が、どうやら圭も理解したらしく、皆から顔を背けた。
「わかった。
まぁ、普通なら破談になるだろうが、事情が事情だけに、田村からは文句は言い辛い。
相手の家も呆れたもんで、誰でも良いから、ドラ息子に身を固めさせたいし、嫁に貰ってやるって態度だったらしく、娘は泣き暮らしていたらしい。
その一月後だな、娘が消えたのは。
家出をしても不思議はない。しかし、娘以外に消えた物は何もなかった。二時間目が終わった休み時間に、お手洗いに行くと、仲の良い友達に言って教室を出た切り、姿が見えなくなったそうだ。
次は今回見つけた佐々木。
この家の長男は、ならず者と仲良しでな、本人もかなりの乱暴者で、親も怖がって意見できないらしい。
噂によると、長男がならず者共に、妹を差し出していたそうだ」
学習したのだろう、勇一郎の話は簡潔だった。しかし、あの少女が心を病んだ理由は伝わった。
「海部に関しては、まだ、実害はなかったらしい。
やはり資金繰りに困った両親が、ある金持ちの隠居の妾として、娘を差し出す約束で、金を受け取ったそうだ。
少しばかり救いがあったのは、娘が女学校を卒業するまでは待つって約束があったことだが、本人からしてみれば死刑宣告を受けたに等しいだろうな」
「隠居ってことは、六十過ぎか?」
「その通り。因みに嫁はまだ生きてるぞ」
山上は言葉を失ったらしく、眉間に皺を寄せながら目を瞑った。
「若く、美しいからこそ被った不幸だ。本人には何の罪もない」
勇一郎は視線を上に一瞬上げると、三人とも、と始めた。
「実業家の父親を持っている。
田村は舶来品を直接買い付けて来て、裕福な家を相手に商売していたが、最近、船が沈んだらしく、資金繰りに困っている。
で、末娘をある、金持ちのドラ息子の嫁に出すことにしたらしいが」
勇一郎は言葉を区切って、圭をちらと見た。
「なにか?」
勘付いて圭が気にした風に問う。
「圭ちゃんの前じゃ言い難いが、言わんことには話が進まねぇんだよな。
その、な、見合いの日にドラ息子が娘を部屋に連れ込んで……」
「そこまででいい」
耐えかねたように、山上が止めた。が、どうやら圭も理解したらしく、皆から顔を背けた。
「わかった。
まぁ、普通なら破談になるだろうが、事情が事情だけに、田村からは文句は言い辛い。
相手の家も呆れたもんで、誰でも良いから、ドラ息子に身を固めさせたいし、嫁に貰ってやるって態度だったらしく、娘は泣き暮らしていたらしい。
その一月後だな、娘が消えたのは。
家出をしても不思議はない。しかし、娘以外に消えた物は何もなかった。二時間目が終わった休み時間に、お手洗いに行くと、仲の良い友達に言って教室を出た切り、姿が見えなくなったそうだ。
次は今回見つけた佐々木。
この家の長男は、ならず者と仲良しでな、本人もかなりの乱暴者で、親も怖がって意見できないらしい。
噂によると、長男がならず者共に、妹を差し出していたそうだ」
学習したのだろう、勇一郎の話は簡潔だった。しかし、あの少女が心を病んだ理由は伝わった。
「海部に関しては、まだ、実害はなかったらしい。
やはり資金繰りに困った両親が、ある金持ちの隠居の妾として、娘を差し出す約束で、金を受け取ったそうだ。
少しばかり救いがあったのは、娘が女学校を卒業するまでは待つって約束があったことだが、本人からしてみれば死刑宣告を受けたに等しいだろうな」
「隠居ってことは、六十過ぎか?」
「その通り。因みに嫁はまだ生きてるぞ」
山上は言葉を失ったらしく、眉間に皺を寄せながら目を瞑った。
「若く、美しいからこそ被った不幸だ。本人には何の罪もない」
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