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寒天 二
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板の間の、そっけない部屋。一応応接間らしいが、椅子が四つと机が置かれたきりの窓すらない部屋だった。
すぐに静子は戻って来た。盆の上に小さな湯飲みを載せて。
「お待ちの間、これを召し上がっていて下さい」
目の前に置かれた物は、湯飲みの中に黒い物体。
「これは?」
「珈琲を寒天で固めた物ですの。
睦月会でお菓子などを作ってお店に置いて頂くこともありますので、色々と皆で知恵を出し合っておりますのよ。
感想をお願い致しますわね」
それでは。と、静子は出て行った。
隼人は、さっそく匙を手にしたのだが、苦い珈琲が苦手な圭は、困った顔をしている。
「食べられないのなら、俺が頂こう。君は適当な感想を言っておけばいい」
言いながら口に運ぶ。珈琲独特の苦みと、少々強い甘み。そして……。
隼人は手巾を出すと、口に入れた珈琲寒天を吐き出した。
「長瀬さん?」
圭が不審気な表情で見上げているのを気にしながらも、誰も来ない内に行動しなければとの焦りから、説明なしに、鞄の中から取り出した塵紙の上に、二人分の珈琲寒天を掻き出し、読みかけのまま放り込んでいた新聞紙の一枚に包んだ。水分が染み出していないのを確認すると、鞄にしまう。
「圭君、いいね、君はこの寒天の感想を、苦かった。と言うんだ。そうして、調子が悪そうな様子をして欲しい。車に酔った時のような感じで」
圭は真面目な顔をして、わかりました。と、答え、手巾を取り出すと、口許を覆った。
十分と経たぬ内に、静子が戻って来た。困った表情で。
「申し訳ありません。どうにも根付が見つかりませんの。私の記憶違いで、どこか別の場所に紛れ込んでいるのかもしれませんわ。
いつまでもお待たせするわけにはいきませんから、見つかりましたら、長瀬様の事務所に持って参りますということで、宜しいでしょうか?」
圭は無言で、頷いた。
「ありがとうございます。できるだけ早く持って参りますわ」
「いつでも結構ですよ。彼も、急いで必要な理由があるわけでもないし」
すぐに静子は戻って来た。盆の上に小さな湯飲みを載せて。
「お待ちの間、これを召し上がっていて下さい」
目の前に置かれた物は、湯飲みの中に黒い物体。
「これは?」
「珈琲を寒天で固めた物ですの。
睦月会でお菓子などを作ってお店に置いて頂くこともありますので、色々と皆で知恵を出し合っておりますのよ。
感想をお願い致しますわね」
それでは。と、静子は出て行った。
隼人は、さっそく匙を手にしたのだが、苦い珈琲が苦手な圭は、困った顔をしている。
「食べられないのなら、俺が頂こう。君は適当な感想を言っておけばいい」
言いながら口に運ぶ。珈琲独特の苦みと、少々強い甘み。そして……。
隼人は手巾を出すと、口に入れた珈琲寒天を吐き出した。
「長瀬さん?」
圭が不審気な表情で見上げているのを気にしながらも、誰も来ない内に行動しなければとの焦りから、説明なしに、鞄の中から取り出した塵紙の上に、二人分の珈琲寒天を掻き出し、読みかけのまま放り込んでいた新聞紙の一枚に包んだ。水分が染み出していないのを確認すると、鞄にしまう。
「圭君、いいね、君はこの寒天の感想を、苦かった。と言うんだ。そうして、調子が悪そうな様子をして欲しい。車に酔った時のような感じで」
圭は真面目な顔をして、わかりました。と、答え、手巾を取り出すと、口許を覆った。
十分と経たぬ内に、静子が戻って来た。困った表情で。
「申し訳ありません。どうにも根付が見つかりませんの。私の記憶違いで、どこか別の場所に紛れ込んでいるのかもしれませんわ。
いつまでもお待たせするわけにはいきませんから、見つかりましたら、長瀬様の事務所に持って参りますということで、宜しいでしょうか?」
圭は無言で、頷いた。
「ありがとうございます。できるだけ早く持って参りますわ」
「いつでも結構ですよ。彼も、急いで必要な理由があるわけでもないし」
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