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拳銃
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元帥はカラカラと笑った。
「大将がそんなだから、部下も珈琲を飲むことはできない。難儀な体質で、周りにはとんだ迷惑だ」
確かに、廣中大将の行く先々、珈琲の匂いを消さなければならないのだから、部下も大変には違いない。
一頻り笑うと、元帥は再び、優しい瞳を加奈子に向けた。
「貴女は先ほど、男を憎む者を集める為に睦月会を作ったというようなことを仰ったが、ならばなぜ、二人だけで決行したのだろうか?
睦月会の人に協力してもらったならば、途中すり替えられることもなかったろうに」
「憎んではいませんでした。
男の勝手な理由で離縁されたり、家庭を壊された者であっても、男を憎んでいるとは限らなかったのです。
それどころか我が子を愛おしそうに見つめながら、良人がいなければこの子もいなくなりますから。と、仰る方も。
いいえ、それよりも、彼女達を罪人にはしたくなかったのです。
同じような境遇でありながら、男を憎まない彼女達は……私達の希望だったのかもしれません」
百合子の右隣に立っている、圭の顔色の悪さが気になった。徹夜の疲れが影響しているのだろう。若ければ若いほど、体は睡眠を欲するものだ。
緊張状態が続いていたのも、原因の一つかもしれない。
百合子と加奈子の態度が軟化して、緊張も和らいでいるのが分かった。圭も緊張が解けてきているのだろう。
帰ったらすぐに休ませなければ。と考える隼人もやはり、気が抜けかけていたのだろう。
加奈子の隣で背筋を伸ばしていた百合子が、圭の方に顔を向けた。
両手が動いたと思うと、圭のズボンのポケットに差し入れた。左利きの圭は、百合子の存在する方のポケットに護身銃を忍ばせている。
気付いたらしい圭が動き出した頃には、百合子の白い指が、銃に絡みついていた。
今にも泣き出しそうな大きな目が、隼人を射貫くように見つめている。
「弾は入っていませんよ」
圭の冷静な声が響いた。
「私ごときの腕では、かえって危険ですからね」
百合子が狼狽えたのが分かった。
圭は落ち着いた様子で手を動かすと、百合子が持つ銃のシリンダー部分を上から掴んだ。
「大将がそんなだから、部下も珈琲を飲むことはできない。難儀な体質で、周りにはとんだ迷惑だ」
確かに、廣中大将の行く先々、珈琲の匂いを消さなければならないのだから、部下も大変には違いない。
一頻り笑うと、元帥は再び、優しい瞳を加奈子に向けた。
「貴女は先ほど、男を憎む者を集める為に睦月会を作ったというようなことを仰ったが、ならばなぜ、二人だけで決行したのだろうか?
睦月会の人に協力してもらったならば、途中すり替えられることもなかったろうに」
「憎んではいませんでした。
男の勝手な理由で離縁されたり、家庭を壊された者であっても、男を憎んでいるとは限らなかったのです。
それどころか我が子を愛おしそうに見つめながら、良人がいなければこの子もいなくなりますから。と、仰る方も。
いいえ、それよりも、彼女達を罪人にはしたくなかったのです。
同じような境遇でありながら、男を憎まない彼女達は……私達の希望だったのかもしれません」
百合子の右隣に立っている、圭の顔色の悪さが気になった。徹夜の疲れが影響しているのだろう。若ければ若いほど、体は睡眠を欲するものだ。
緊張状態が続いていたのも、原因の一つかもしれない。
百合子と加奈子の態度が軟化して、緊張も和らいでいるのが分かった。圭も緊張が解けてきているのだろう。
帰ったらすぐに休ませなければ。と考える隼人もやはり、気が抜けかけていたのだろう。
加奈子の隣で背筋を伸ばしていた百合子が、圭の方に顔を向けた。
両手が動いたと思うと、圭のズボンのポケットに差し入れた。左利きの圭は、百合子の存在する方のポケットに護身銃を忍ばせている。
気付いたらしい圭が動き出した頃には、百合子の白い指が、銃に絡みついていた。
今にも泣き出しそうな大きな目が、隼人を射貫くように見つめている。
「弾は入っていませんよ」
圭の冷静な声が響いた。
「私ごときの腕では、かえって危険ですからね」
百合子が狼狽えたのが分かった。
圭は落ち着いた様子で手を動かすと、百合子が持つ銃のシリンダー部分を上から掴んだ。
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