長瀬萬請負 其の二 〜祈れる乙女達〜

岡倉弘毅

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集合 二

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 勇一郎の言葉に、元帥の視線は冷ややかだった。

「そうだろうか? 滅多にできない経験だから楽しんでこようか。という雰囲気で現れそうな気がするのだが」

 圭が吹き出した。

「中らずといえども遠からずといったところか」

「ところでなぜ、富山男爵と?」

 富山家と安原家の関わりが、皆の疑問であった。

「男爵の会社に、軍がよく我儘を言っているのだよ。あれをいつまでに調達してくれだの、これが幾ら程度で欲しいとか。どんな我儘でも応えてくれるので、ついつい。

 そんなわけで香典を返しに来た男爵にまた、我儘を言ってしまったわけだよ」

 なるほど。と、皆で納得する。

「男爵は、受け取って貰えなかった香典を、睦月、如月、弥生会に寄付したそうだよ。

 本人は何も言わないが、各会の代表者が各々告げ口に来た」

 そう言うと元帥は、明るい笑顔を見せた。富山への信頼が感じられた。

 元帥が加奈子と話を始めたので、四人は遠慮して離れる。そうすると今度は静子が寄って来た。

「村越君、手紙を書いたそうだね」

 静子は悪戯っぽく笑った。

「彼は独逸語は優秀らしいですけれど、日本語は苦手のようです」

 圭が微かに反応した。

「なんて書いてあったの?」

「貴女を傷つけたお詫びに、僕は一生結婚しません。って。

 結婚できなかった時のいいわけに私を利用しないで。って、中里様に言伝をお願いしました」

 圭が小さく溜息を吐いた。宗一郎に対して圭は、溜息で始まり溜息で終わるようだ。

「彼はどうも、状況を読む能力に問題があるようだね」

「結婚しなくて良かった。って思っています」

 静子には、根付が見つかったとだけ知らせておいた。頭の良い子だけに、詳しく聞いてはいけないと感じたのか、良かった。と、笑顔を見せただけであった。

 静子と勇一郎、山上が手紙の話で盛り上がっているのを傍で聞きながら、複雑な心持であった。

 宗一郎は結婚をすまいと考えているのだろうか?

 それが静子への詫びになるとの勘違いであれば良いのだが、まだしつこく圭に言い寄るつもりなのではないかと、勘繰りたくもなる。

 規則正しい足音が聞こえた。段々と近付いてくる。

 足音の方向に視線を向けると、百合子の小さな、白い顔が目に入った。

 灰色の清楚なワンピースを身に着けた百合子は、隼人の前で立ち止った。

「長瀬様、少しお時間を頂けません?」
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