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下町 四
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母親の話は簡単だった。
二十年前、全焼した屋敷からは四体の遺体が発見され、相馬夫妻、母親の妹のいずれからも刺し傷が確認されたそうだ。弟には外傷がなかったので、生きたまま焼かれたか、首を絞められたかしたのだろう。
出火する直前に、二人の男が相馬家から出て行ったのを、近所のご隠居が目撃しているらしいが、結局、見つからなかった。
有朋は、火がまだ燃え盛っている最中に、心配して駆け付けた相馬夫妻の友人が、庭の隅で気を失っているのを見つけ、連れ帰ったそうだ。
相馬は三代続く質屋で、男の子がいなかった為、婿を取った。婿は真面目で、人当たりも良く、商売も夫婦仲も上手くいっていた。と、誰もが見ていたと言う。
白昼堂々大胆ではあるが、強盗が家族全員殺してから、金を奪い、火をつけたのだろう。と、言った。有朋は偶然、外にいて難を逃れたのであろう。と。現に、金庫は壊され、金は奪われていた。
しかしね。と、二人しかいない部屋で、母親は声を潜めた。
家付き娘の有朋の母親は、夫を下に見ていた節がある。有朋は母親そっくりだったが、弟は両親のどちらにも似ていなかった。不貞の果てにできた子だろうとの、噂もあったそうな。
今、相馬家のあった土地には、ビルヂングが建っている。広く、便利な場所であるから、不幸のあった場所でも直ぐに買い手が見つかったのだそうだ。
一人だけの話では偏っている可能性もあるので、もう二人、相馬夫妻と親しくしていた初老の男性と、週に二回、家事の手伝いに通っていた女性を紹介してもらい、話を聞いたが、三人共話の内容は変わらなかった。
義礼が嘘を吐いたのは、今の話でも明らかになった。皆、相馬夫妻の友人は、火がまだ消えていない内に現れたと証言した。つまり、火の手が上がって直ぐに連絡が行くほど親しかった友人の家を、忘れているとは思えない。
ましてや、強盗殺人、火事、と、事件の立て続けに起こった場所である。忘れられるはずがない。
しかし、誰が連絡したのだろうか? 皆、わからない。と言った。
二十年前、全焼した屋敷からは四体の遺体が発見され、相馬夫妻、母親の妹のいずれからも刺し傷が確認されたそうだ。弟には外傷がなかったので、生きたまま焼かれたか、首を絞められたかしたのだろう。
出火する直前に、二人の男が相馬家から出て行ったのを、近所のご隠居が目撃しているらしいが、結局、見つからなかった。
有朋は、火がまだ燃え盛っている最中に、心配して駆け付けた相馬夫妻の友人が、庭の隅で気を失っているのを見つけ、連れ帰ったそうだ。
相馬は三代続く質屋で、男の子がいなかった為、婿を取った。婿は真面目で、人当たりも良く、商売も夫婦仲も上手くいっていた。と、誰もが見ていたと言う。
白昼堂々大胆ではあるが、強盗が家族全員殺してから、金を奪い、火をつけたのだろう。と、言った。有朋は偶然、外にいて難を逃れたのであろう。と。現に、金庫は壊され、金は奪われていた。
しかしね。と、二人しかいない部屋で、母親は声を潜めた。
家付き娘の有朋の母親は、夫を下に見ていた節がある。有朋は母親そっくりだったが、弟は両親のどちらにも似ていなかった。不貞の果てにできた子だろうとの、噂もあったそうな。
今、相馬家のあった土地には、ビルヂングが建っている。広く、便利な場所であるから、不幸のあった場所でも直ぐに買い手が見つかったのだそうだ。
一人だけの話では偏っている可能性もあるので、もう二人、相馬夫妻と親しくしていた初老の男性と、週に二回、家事の手伝いに通っていた女性を紹介してもらい、話を聞いたが、三人共話の内容は変わらなかった。
義礼が嘘を吐いたのは、今の話でも明らかになった。皆、相馬夫妻の友人は、火がまだ消えていない内に現れたと証言した。つまり、火の手が上がって直ぐに連絡が行くほど親しかった友人の家を、忘れているとは思えない。
ましてや、強盗殺人、火事、と、事件の立て続けに起こった場所である。忘れられるはずがない。
しかし、誰が連絡したのだろうか? 皆、わからない。と言った。
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